島根編:就業も支援! コミュニティーも支援! 呑み会も支援! ――八面六臂の“おせっかい”ぶりを発揮する、松江のスーパー公務員トリオ座談会ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(14)(4/4 ページ)

» 2016年10月07日 05時00分 公開
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3号機はぐいぐい行くよ!

羽角 エンジニアコミュニティーが盛んなのはこの街の特徴の1つです。エンジニアコミュニティーって基本的には民間の活動ですが、そこに公務員としてどう関わっているんですか?

佐藤さん 代表的なものだと、月に1回、土曜日に開催される「Matsue.rb」というコミュニティーがあり、私も参加しています。参加しても仕事扱いにはならないけれど、仕事について相談したい人や意見を聞きたい人に会えるので、結果的に仕事がはかどります。

福田さん 地方のIT企業も、企業同士のグループや仕事で付き合いのある関係を基本とした枠内でエンジニア同士の交流が行われることが多くて、それが壁になっちゃう側面もあるんです。でもコミュニティーがあれば、その枠を超えて交流が広げられる。ITならではのオープンソースの思想を地域社会に取り込んだんだよね。

佐藤さん U&Iターンを増やすためにはコミュニティーって重要ですよね。企業の枠を超えて交流が横に広がるから、地域に馴染んでいきやすい。

福田さん 自分たちでいうのも何だけれど、市役所にITコミュニティーのコンシェルジュがいるってすごいことかも。U&Iターンしたエンジニアから「こういう話するなら誰だろ?」って聞かれると佐藤くんが答えられる。

佐藤さん この半年でそれを身に付けました。ぐいぐい行きましたから(笑)。人と人が仲良くしているのを見るだけでうれしいんですよ。

杉原さん 基本的にみんなおせっかいが好き。公務員の本性がコミュニティーに合ってるんですね。

福田さん ドラクエでいう「気性の荒い僧侶」なんですよ。「がんがん行こうぜっ!」ていうわりに、回復魔法くらいしかスキルはないんですが(笑)。

U&Iターンの現実

羽角 UターンもIターンも、みんながみんな満足して成功するわけじゃないって話を聞くことがありますが、島根や松江はどうですか? せっかくなんで、赤裸々なお話を伺いたいです。

福田さん 辞めた人は2人くらいだったかな。「転職して入った松江の企業が、思っていたよりもレベルが高かった」という理由で辞めていった人がいましたね。

杉原さん 「全員が高いレベルの仕事や環境を望んでる」と私たちは思っていたんだけれど、逆もあるんだなという気付きになりました。

福田さん この3年間で島根県全体で50人くらいのエンジニアがU&Iターンして来て、3人くらいがうまくいかなかった。全員うまくいくのがベストなんだろうけれど、このくらいで済んでいるのは、U&Iターンする前に丁寧に企業とマッチングするサポート体制があるし、移住した後のフォローも私たちができるだけきめ細かくするようにしているからじゃないかなと思います。

杉原さん U&Iターンの成功や失敗は、長い目で見た方がいいかもと思います。親の介護でUターンした人など、これからすごく重たい問題として表面化するかもしれないし。

福田さん 移住後のフォローはこれからも手厚くやっていきたいです。移住後に状況が変わったり、転職した会社が合わなかったりしたら、他の会社を紹介することもできますし。

杉原さん 早めに「実は……」といった相談をしてもらうには、普段からの関係作りが大切だと思います。

佐藤さん そこでもやっぱりコミュニティーですね。どんどん相談してほしいです。ほっとけないですから。

杉原さん 直接関わってU&Iターンしてくれた人たちには個人的な思い入れもあるし。困っている人を助けるのが喜びなんですよ。

福田さん やっぱり僧侶なんですね。

佐藤さん 私、実家はお寺ですし。

羽角 お後がよろしいようで。

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筆者プロフィール

羽角均

モンスター・ラボ エンジニア 羽角均(はすみひとし)

2014年7月、モンスター・ラボ島根開発拠点開設と同時に島根へIターン移住。Webシステムやスマホアプリの開発を担当。

島根の海と酒と蕎麦をこよなく愛し、社内ではコーヒー部長も務めている。


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