長野編:仕事の「数」はある、しかし……既婚エンジニアの移住と長野のIT求人事情ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(17)(1/3 ページ)

仕事、家族、家、地域との関わり……移住にはさまざまな課題や心配事があります。エンジニアのU&Iターン事情をお届けする本連載、今回はこれまでのキャリアを捨てる覚悟で長野へ移住、転職、独立したITコンサルタントにインタビューしました。

» 2016年11月11日 05時00分 公開

「@IT式 U&Iターンスタイル」は、全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えていく。ご当地ライターたちのリアルな情報は、U&Iターンに興味のある方々の役に立つだろう。


 こんにちは。「しごとのみらい」の竹内義晴です。

 長野のエンジニアU&Iターン事情をお届けする本連載、第1回は、長野の全体像やエンジニアの仕事事情を紹介しました。

 今回は、NTTデータ、アクセンチュアで働いた後長野へ移住し、現在はITコンサルタントとして活躍している、「シソーラス」の荒井雄介さんに話を伺います。

荒井雄介さん

 前回は、LIG 野尻湖オフィスで働く若手エンジニアのインタビューでした。仕事は東京本社の案件が中心で、住まいは会社のシェアハウス。軽やかに移住し、良い環境で働くスタイルが、とても魅力的でした。

 一方、一般的「移住」のイメージは、「仕事探し」「家探し」のような要素を伴う大きなイベントです。さらに既婚者には、「家族の同意」「地域コミュニティー」が加わります。ハードルが相当高いのです。

 そこで今回は、首都圏の会社を辞めて、家族と共に長野へ移住したITコンサルタントの「生の声」を紹介します。移住を考える既婚者の参考になれば幸いです。

NTTデータのSE→アクセンチュアのコンサルタント

 荒井さんの長野での仕事は、ITコンサルティング企業「シソーラス」の経営。「お金を掛けてITを導入したけれど、いまいちうまく回っていない」といった経営層からの相談を元に、「そもそも業務は最適なのか」「経営をどうしていきたいのか」「既存の仕組みをどう生かすか」「次にどんなIT投資をすべきか」など、企業の経営戦略とITの両面をサポートしています。

 しかし最初からコンサルタントだったわけではなく、新卒時はNTTデータで、当時は新しい分野だったインターネットバンキングのプロジェクトなどでSEの仕事をしていました。

 「最先端でした。新聞にも載ったことがあります。『○○銀行のインターネットバンキング、止まる』みたいな(笑)」

 最先端だっただけにトラブルも多く、地獄の日々でしたが、「銀行のバックボーンをLinuxで動かす」などの面白さもありましたし、「ベンダーからもいろいろ教えてもらった」と、荒井さんは懐かしそうに振り返ります。では、安定した大企業で面白い仕事をしていたのに、なぜ転職をしたのかと尋ねたところ、「ひと言でいえば……勘違いです」との答えが返ってきました。

 荒井さん、実はSEになろうと思ってNTTデータに入ったわけではなかったそうです。もともとは文系の学者志望で大学では政治学を学んでいましたが、「学者って何か違うな。就職しよう」と考えが変わり、「これからの時代はITだな」と思ったのだそうです。そこで、政治の勉強をしていて国の仕事に興味があったため、「官公庁のIT営業のような仕事に就けたら」と考え、官公庁に強いNTTデータに入社しました。

 「今から思えば、コンサルティングのようなことをやりたかったのでしょうね」

 しかし配属されたのは金融系のSE部門でした。いい仕事をさせてもらっていたそうですが、技術者になりたかったわけではないので、早い段階で「これは違うな」と思い、転職を決断しました。

 転職先は「アクセンチュア」、念願かなってコンサルタントになりました。

 仕事は充実していて「10段階での8ぐらい」満足していましたが、ある日、奥さんからある提案を受けます。

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