変われないと続けていけない――プラットフォームが次々と変わりゲーム業界が進化し続けたこの10年、業界や会社の変化に合わせ、仕事内容を変え、自らも進化し続けている日本人女性COOのキャリア観とは。
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。第13回は、米国のモバイルゲームディベロッパー「Kabam」のスタジオCOO(Chief Operating Officer 最高執行責任者)として世界を飛び回る中尾容子さんにご登場いただく。
この10年間のゲーム業界の進化とご自身の仕事の変化、米国で働きながら夫婦だけで子供を育てるということなど、多岐にわたって話を伺った。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) Kabamの概要からお聞かせいただけますか。
中尾容子(以降、中尾氏) Kabamは主にスマートフォン向けのソーシャルゲームデベロッパーです。今、1番人気があるタイトルは「MARVEL オールスターバトル」というアメリカンコミック「マーベル」のヒーローたちが参戦するアクションゲーム。日本での認知度はまだ低いですが、北米やカナダではリリースしてから2年近くになる今もトップテンに入っています。
北京、カナダのバンクーバー、そしてロサンゼルスとサンフランシスコの4カ所に開発スタジオがあり、私は開発スタジオのCOOを務めています。
阿部川 4カ所ですか、それはすごいですね。開発は米国の商品をベースにローカライズしていくスタンスですか?
中尾氏 ええ、そうですね。今は大体英語を含め12カ国語にローカライズしています。日本語でのリリースは2013年が最初だったと思います。
阿部川 オンラインゲームはiTunes Storeなどが、いわゆる販売チャネルになるわけですよね。世界中どこからでもアクセスできて、どこにでも販売できると。
中尾氏 そうですね。言語は12カ国語に限られていますが。
阿部川 なるほど。お仕事の内容をもう少し伺えますか?
中尾氏 ゲーム開発に直接関わること、例えばゲームの音楽制作、多言語へのローカライズ、Q&A、市場調査やライセンス契約、ある市場でのビジネスを伸ばしていくためのパートナーシップの検討など、多岐にわたる仕事をしております。小さい会社だということもあって、何でも屋的なところがありますね。
阿部川 スタジオCOOとして1番大事な仕事は何ですか?
中尾氏 ……難しい質問ですね。最終的なゴールは、「全ての開発スタジオがきちんと運営されている」ことなので、何か問題が起きているか、問題が起きる前に問題になるかどうかを見極めるかでしょうか。
いわゆる「Problem Solving」、何か問題を発見して解決法を探していくプロセスは面白いですね。テクノロジーがどんどん進化して、プラットフォームもどんどん良くなっていく。すると消費者の好みも変わっていきます。
いろいろ要素が変わっていく中で、生じる問題も変わってくると思うんです。新しい問題、新しいチャレンジにどんどんぶつかっていけるところが、この仕事の1番面白いところだと思います。
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