【 less 】コマンド(活用編)――表示内容を検索する/検索文字を指定して起動するLinux基本コマンドTips(85)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。前回に続き、今回も「less」コマンドを紹介します。

» 2017年02月10日 05時00分 公開
[西村めぐみ@IT]
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 本連載では、Linuxの基本的なコマンドについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、「less」コマンドの活用編を紹介します。

lessコマンドとは?

 「less」は、テキストファイルを1画面ずつ表示するコマンドです。「less ファイル名」で実行する他、「コマンド | less」のように、別のコマンドの実行結果を1画面ずつ表示する場合にも使われます。

 [Enter]キーで1行、スペースキーで1画面先に進める他、上下矢印キーによるスクロールも可能です。表示を終了するには[Q]または[q]キーを入力します。

 同じ用途のコマンドに「more」があります(本連載第2回)。lessコマンドはmoreコマンドよりも機能が多く、画面内で検索したり、上にスクロールしたりすることが可能です。



lessコマンドの書式

less [オプション] ファイル名

コマンド | less [オプション]

※[ ]は省略可能な引数を示しています




lessコマンドの主なオプション

 lessコマンドの主なオプションは次の通りです。

●通常のオプション
短いオプション 長いオプション 意味
+行数,-行数 指定した行から表示する
+/文字列 指定文字列を検索し、見つけた行から表示する(正規表現によるパターン指定が可能)
-p文字列 --pattern=文字列 指定文字列を検索し、見つけた行から表示する(正規表現によるパターン指定が可能)
-oファイル --log-file=ファイル パイプ(|)などで標準入力から入力した内容を表示する際、指定したファイルにコピーを保存する。既存ファイルを指定した場合は、上書きするか、追加するかを確認するメッセージが表示される
-Oファイル --LOG-FILE=ファイル 「-o」と同じだが、既存ファイルを指定した場合は、確認せずに上書きする
-kファイル名 --lesskey-file=ファイル名 lesskeyファイル(キー定義ファイル、「lesskey」コマンドで生成)を指定する
-L --no-lessopen 環境変数LESSOPEN(lessコマンド用のオプションを定義した環境変数)を無視する

●スクロール、表示方法関係のオプション
短いオプション 長いオプション 意味
-s --squeeze-blank-lines 連続した空行を1行にする
-S --chop-long-lines 画面幅より長い行を折り返さない
-# --shift 水平方向にスクロールする際のデフォルトの移動桁数(「0」にするとデフォルト値が画面幅の半分になる)
-数、-z数 --window=数 スクロールするウィンドウの大きさを指定する(1画面より小さくする際は負の数で行数を指定。例えば、ウィンドウが24行で「-z-4」とした場合は、20行でスクロールする)
-q --quiet、--silent ファイル末尾まで表示したときのビープ音を鳴らさない(入力コマンドエラー時は鳴らす)
-Q --QUIET、--SILENT 「-q」のときも含め、ビープ音を一切鳴らさない
-e --quit-at-eof ファイルの末尾に2回達したら表示を終了する(実行例4を参照)
-E --QUIT-AT-EOF ファイルの末尾に到達したら表示を終了する
-F --quit-if-one-screen 1画面で表示できる場合はすぐに終了する
-K --quit-on-intr [Ctrl]+[C]キーで終了する
-n --line-numbers 行番号を表示しない
-N --LINE-NUMBERS 行番号を表示する
-J --status-column 画面の左にステータス行を表示する(例えば、検索時に該当する行に「*」記号が表示される)
-m --long-prompt moreコマンド同様、プロンプトに現在の表示位置をパーセントで表示する
-M --LONG-PROMPT 「-m」より詳細なプロンプトを表示する
-f --force 通常のファイル以外も強制的に表示する
-r --raw-control-chars 制御文字をそのまま表示する(デフォルトでは「^A」のようにキャレット記号を使って表示する)
-R --RAW-CONTROL-CHARS 「-r」と同様だが、可能な限り画面表示を正しく維持する
-XXX --mark-wrong-char 表示できない誤った文字を表示する際にマーク文字(〓)を使用する(デフォルトではバイナリとして表示)
-u --underline-special バックスペースとキャリッジリターンを印刷可能文字として扱う
-U --UNDERLINE-SPECIAL バックスペース、タブ、キャリッジリターンを制御文字として扱う(「-u」「-U」ともに指定していない場合は、これらの文字を使って重ね打ちによる太字や下線を表示する)
-x数,… --tabs=数,… タブストップの位置を設定する。「-x4」の場合4の倍数、「-x9,17」は「9,17,25,33…」となる(デフォルトは8)
-~ --tilde ファイル末尾以降のチルダ記号(~)を表示しない

●検索関係のオプション
短いオプション 長いオプション 意味
-i --ignore-case 検索時に大小文字を区別しない(ただし、検索文字列に大文字を使用した場合は大小文字を区別する)
-I --IGNORE-CASE 検索時、常に大小文字を区別しない
-a --search-skip-screen 画面に表示されている次の行以降を検索する(デフォルトは画面内の2行目以降、または最後の検索対象が見つかった行以降を検索する)
-g --hilite-search 検索時、最初に見つけた分だけをハイライト表示する(デフォルトでは見つけた箇所を全てハイライト表示)
-G --HILITE-SEARCH 検索時のハイライト表示をしない
-w --hilite-unread 画面単位でスクロールした際、新しく表示された行の先頭部分をハイライト表示する
-W --HILITE-UNREAD 新しく表示された行の先頭部分を常にハイライト表示する
-tタグ --tag=タグ タグを定義する(タグはソースコードで定義箇所にジャンプしたりする際に使用する)
-Tタグファイル --tag-file=タグファイル タグのリストが書かれたファイルを指定する(タグファイルは「ctags」コマンドで生成)

●lessで表示している際の主なキー操作
キー操作 内容
※「^v」は[Ctrl]キーを押しながら[v]、[esc-v]は[ESC]キーを押してから[v]
h/H ヘルプを表示(less画面と同様、[Enter]キーで1行、スペースキーで1画面先に進み[q]で終了する)
q/:q/Q/:Q/ZZ 終了する(「:q」は[:]キーを押してから[q]キー)
e/^E/j/^N/return 1行進む(コマンドに続いて数字を入力すると指定行数分進む)
y/^Y/k/^K/^P 1行戻る(コマンドに続いて数字を入力すると指定行数分進む)
f/^F/^V/space/esc-space 1画面進む([esc-space]の場合データの末尾で止まらない)
F 1画面進み、末尾まで表示しても終了せずにファイルを監視する(「tail -f」同様、データが追加され続けるログファイルなどに使用する)
b/^B/esc-v 1画面戻る
d/^D 半画面分進む
u/^U 半画面分戻る
esc-)/右矢印 半画面分右を表示する
esc-(/左矢印 半画面分左を表示する
g/</esc-< 先頭行に移動する(コマンドに続いて数字を指定すると指定した行へ移動する)
G/>/esc-> 最終行に移動する(コマンドに続いて数字を指定すると指定した行へ移動する)
v 表示中のファイルを「vi」コマンドで編集する(使用するエディタは、環境変数VISUALまたはEDITORで変更可能)
!コマンド シェルでコマンドを実行する(シェルは環境変数SHELLで変更可能)

●lessで表示している際の主なキー操作(検索関係)
キー操作 内容
/ 検索する(「/」続いて検索パターンを入力する)
? 後ろ方向に検索する(「?」に続いて検索パターンを入力する)
n 次を検索する(「n」に続いて数字を入力すると指定回数分先に進む)
N 逆順に次を検索する(「N」に続いて数字を入力すると指定回数分先に進む)
esc-u 検索結果の反転/反転解除を切り替える
& 検索パターンにあっている行だけを表示する(「&」に続いて検索パターンを入力する)



表示内容を検索する

 lessコマンドで内容を表示している際に、キーを入力することでスクロールや検索を行うことができます。表示内容を検索するには[/]に続けて検索したい文字列を入力し、[Enter]キーを押します。検索には正規表現も使用できます。

 検索結果はハイライト表示(反転表示)されます。同じ文字を続けて検索したい場合は[n]、逆方向に検索したい場合は[N]を入力します。

 なお、表示中に[h]キーを押すと、キー操作のヘルプを表示することができます(前回記事参照)。

コマンド実行例

コマンド | less

(コマンドの実行結果をlessコマンドで表示する)

less ファイル名

(ファイルの内容をlessコマンドで表示する)


 以下の実行画面では、「less /etc/bashrc」で「/etc/bashrc」を表示し、検索文字として[/]に続けて「PS1」を入力しています(画面1〜3)。

画面1 画面1 lessコマンド実行後に[/]キーを押し、続けて検索したい文字を入力した(ここでは「PS1」を入力)
画面2 画面2 [Enter]キーを押すと、「PS1」の記述がある部分にジャンプする
画面3 画面3 さらに[n]キーを押すと、次の「PS1」の場所へジャンプする


検索文字を指定して起動する

 「less +/検索文字列」または「less -p検索文字列」で、lessコマンド起動時に検索文字列を指定できます。この場合も[n]または[N]キーで続けて検索したり、[/]キーで別の文字列を検索したりすることができます。

コマンド実行例

less +/検索文字列 ファイル名

less -p検索文字列 ファイル名

(検索文字を指定してlessコマンドを起動する)


 以下の実行画面では、「less +/PS1 /etc/bashrc」で検索文字列に「PS1」を指定した状態で「/etc/bashrc」を表示しています(画面4)。

画面4 画面4 「less +/PS1 /etc/bashrc」で、検索文字列に「PS1」を指定した状態で「/etc/bashrc」を表示した


エディタを起動する

 lessコマンドでテキストファイルを表示している際に[v]キーを押すと、エディタが起動します。デフォルトのエディタは「vi」で、画面の見た目はlessコマンドの表示とかなり似ています。

 viを終了するには、[ESC]キーを押してから[:]キーを押し、次に[q]キーを押します。

 表示内容を保存して終了したい場合は[ESC]キーの後に[:]キー、[w]キー、[q]キーの順で押します。

 「内容を書き換えてしまったが、保存せずに終了したい」という場合は[ESC]キーの後に[:]キー、[q]キー、[!]キーの順で押します。

 なお「w」はwrite(書き込み)、「q」はquit(終了)、「!」は“強制的に”という意味です。

 以下の実行画面は、lessコマンドで「/etc/bashrc」を表示している時に[v]キーを押した直後の状態になります(画面5)。

画面5 画面5 「less /etc/bashrc」で「/etc/bashrc」を表示し、[v]キーを押して「vi」(エディタ)を起動した


筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801N/PC-386MからのDOSユーザー。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。のち退社し、専業ライターとして活動を開始。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『はじめてでもわかるSQLとデータ設計』『シェルの基本テクニック』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


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