本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、ビルトインコマンドを優先的に実行する「builtin」コマンドです。
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、ビルトインコマンドを優先的に実行する「builtin」コマンドです。
「builtin」コマンドは、bashなどLinuxのシェルが内部に備えているビルトインコマンド(内部コマンド、シェルコマンド)を実行するコマンドです ※1。
builtinを使わず、パスも指定しなかった場合、コマンドを実行すると、シェルはエイリアスを最優先で起動します。次にビルトインコマンド、最後に環境変数PATHに登録されたディレクトリにある実行可能なファイルを呼び出します(連載第94回)。
このように、同じ名前のコマンドがエイリアスとビルトインコマンドの両方で見つかった場合、エイリアスを優先しますが「builtin」を付けて実行することで、必ずビルトインコマンドを実行できるようになります。
なお、コマンド名を打ち込んで起動するコマンドがビルトインコマンドなのか、エイリアスなのかを調べるためには、「type」コマンド(連載第13回)が役立ちます。
※ bashのビルトインコマンドは以下の通り。alias、bg、bind、break、builtin、caller、cd、command、compgen、complete、compopt、continue、declare、dirs、disown、echo、enable、eval、exec、exit、export、false、fc、fg、getopts、hash、help、history、jobs、kill、let、local、logout、mapfile、popd、printf、pushd、pwd、read、readonly、return、set、shift、shopt、source、suspend、test、times、trap、true、type、typeset、ulimit、umask、unalias、unset、wait
builtin コマンド [コマンドのオプション]
※[ ]は省略可能な引数を示しています。
オプションはありません。
ビルトインコマンド「pwd」を例に、builtinコマンドの動作を確認してみましょう。
まずは「alias」コマンド(連載第97回)を使って、pwdに別名(pwd;ls -ld .)を付けます(画面1)。
ここで「pwd」を実行すると、本来のpwdコマンドの処理(カレントディレクトリを表示)を終えた後、続けてlsコマンドの結果をオプション付きで表示しました。
次に、「builtin pwd」として、ビルトインコマンドを優先させると、本来のpwdコマンドの処理だけを実行しました。
builtin コマンド
(エイリアスではなくビルトインコマンドを実行)(画面1)
西村 めぐみ(にしむら めぐみ)
PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『はじめてでもわかるSQLとデータ設計』『シェルの基本テクニック』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。
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