なぜ鯖江なのか。塚本社長は理由として、「コンパクトシティーで生活しやすい」と住みやすさ、また地域コミュニティーが充実していること、「オモロイ人、熱い人が多い」と人が魅力的であることなどを挙げた。
加えて地方都市でありながらも注目すべきポイントを2つ挙げる。それは人口が増えていることと、オープンデータなど先進的なITの取り組みが成されていること。
今、地方都市は少子高齢化が進み、人口が急速に減少している。どの地方都市でも4月は人口が(都会に向けて)流出する傾向がある。ところが鯖江市は人口が着実に増加に転じている。まだ微々たるものの、福井県で人口が増加しているのは鯖江市だけだ。
オープンデータの取り組みも盛んだ。公開しているデータは185種類と多く、民間が作成したアプリは200種類。イノベーションやアントレプレナーシップなど新しい取り組みにも積極的で、女性や高齢者などが幅広く活躍するダイバーシティーが進んでいる。実際、福井県の女性の労働力率と就業率は全国トップレベル。
塚本社長は「人口が増加に転じているなど、町に勢いがある」と鯖江市の積極性を高く評価し、オフィス開設を決めたという。鯖江オフィスは、移住と地元採用で3年間に20人の採用を目指す。
オフィス完成発表会には鯖江市長の牧野百男氏も駆け付けた。「市民を代表して歓迎します」と喜びを隠せない様子。記者会見では「日本のシリコンバレーだなんて言うと夢物語みたいですが……」と照れながらも「目指していきたい」と語った(3回も!)。
鯖江市はめがね産業を発展させた土壌があり、今ではウェアラブルデバイスとなるメガネの開発プロジェクトも進んでいる。オープンデータ活用やアントレプレナーシップあふれる鯖江市なら、それも夢物語ではなさそうだ。
なによりも地方自治体は猛烈な人口減少に抗わなくてはならない。「50年後に『めがねのまちさばえは残った』と言われるようにしたい」と牧野市長は目を輝かす。
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