本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、新規ユーザーを作成する「adduser」コマンドです。
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、新規ユーザーを作成する「adduser」コマンドです。
「adduser」は新規ユーザーを作成し、設定を決めるコマンドです。今回はUbuntuのadduserコマンドを取り上げます。
Ubuntuのadduserコマンドでは、対話形式で設定内容などを確認しながらユーザーやグループを作成できます。さらにユーザーを既存グループに追加することも可能です。
CentOSにも同名のadduserコマンドがありますが、こちらはuseraddコマンド(連載第255回)へのシンボリックリンクです(※1)。
※1 Ubuntuのadduser(/usr/sbin/adduser)はPerlスクリプトで記述されており、内部でuseraddコマンドを呼び出している。
adduser [オプション] ユーザー名 [グループ名]
※[ ]は省略可能な引数を示しています。
長いオプション | 意味 |
---|---|
--home ディレクトリ名 | ホームディレクトリの場所を指定する。存在しない場合は新規作成し、/etc/skelにあるファイルをコピーする |
--no-create-home | ホームディレクトリが存在しない場合でも新規作成しない |
--encrypt-home | ホームディレクトリを暗号化する |
--shell シェル | ログインシェルをフルパスで指定する |
--uid ユーザーID | 新規作成時のユーザーIDを指定する(指定しない場合、他と重複しない値を自動で設定する) |
--gecos 設定内容 | GECOSフィールド(/etc/passwdに保存されるユーザーの所属やフルネームなど)の内容を設定する |
--ingroup グループ名 | プライベートグループを指定する |
--add_extra_groups | セカンダリグループを指定する |
--disabled-login | パスワードを設定しない(passwdコマンドで設定するまではログインできなくなる) |
--disabled-password | パスワードを使用できなくする |
--firstuid ユーザーID | 設定ファイルに書かれたユーザーIDが選ばれる範囲の先頭を、指定したユーザーIDで再設定する |
--lastuid ユーザーID | 設定ファイルに書かれたユーザーIDが選ばれる範囲の末尾を、指定したユーザーIDで再設定する |
※2 通常は設定ファイル/etc/adduser.confの設定に従う。
長いオプション | 意味 |
---|---|
--group グループ名 | グループを作成する |
--gid グループID | グループを作成する際のグループIDを指定する |
短いオプション | 長いオプション | 意味 |
---|---|---|
-q | --quiet | メッセージを表示しない |
--debug | 詳細なメッセージを表示する | |
--system | システムユーザーまたはシステムグループを作成する(※3) | |
--force-badname | /etc/adduser.confに指定されているNAME_REGEXとNAME_REGEX_SYSTEM(--system指定時)に当てはまらない名前の使用も許可する | |
-c ファイル名 | --conf ファイル名 | デフォルトの設定ファイル(/etc/adduser.conf)以外の設定ファイルを指定する |
※2 ユーザーの場合、UIDとして設定ファイルのFIRST_SYSTEM_UID〜LAST_SYSTEM_UIDを使用する。所属はnogroup。ログインシェルは/usr/sbin/nologinとなる。
「adduser ユーザー名」で新規ユーザーを作成します。実行にはルート権限が必要です(sudoコマンドを利用)。
「adduser ユーザー名」を実行後、メッセージの表示内容に従って、パスワードなどを入力します(画面1)。最後に「以上で正しいですか? [Y/n]」というメッセージが表示されます。[Enter]で新規ユーザーを作成します。
adduser ユーザー名
(ユーザーを作成する)
確認メッセージを表示せずに、ユーザーを作成したい場合は「-q」オプションを指定します(画面2)。この場合も、フルネームなどの確認メッセージが表示されます。これも不要な場合は「--gecos ""」を指定します。さらにパスワードの設定も不要な場合は「--disabled-login」を指定します。
「--disabled-login」を指定した場合、passwdコマンド(第70回)でパスワードを設定するまでは、このユーザー名でのログインができなくなります。
sudo adduser -q --gecos "" ユーザー名
(パスワード設定以外の確認メッセージを非表示にして、ユーザーを作成する)
sudo adduser -q --gecos "" --disabled-login ユーザー名
(全ての確認メッセージを非表示にして、ユーザーを作成する)
「adduser ユーザー名 グループ名」で、ユーザーを指定したグループに追加します(画面3)。所属するグループはセカンダリグループとなります。
この実行内容は、「gpasswd -a ユーザー名 グループ名」または「usermod -G グループ名 ユーザー名」に相当します
adduser ユーザー名 グループ名
(ユーザーをグループに追加する。「gpasswd -a ユーザー名 グループ名」相当の処理)
西村 めぐみ(にしむら めぐみ)
PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『Accessではじめるデータベース超入門[改訂2版]』『macOSコマンド入門』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。
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