Azureのマネージドディスク、大容量サイズ(P60/E60/S60以上)の一般提供開始Microsoft Azure最新機能フォローアップ(77)

Azure仮想マシン専用のストレージサービスである「マネージドディスク(Managed Disks)」でプレビュー提供されてきた大容量サイズ(4TBより大きなサイズ)の一般提供が開始されました。プレビュー期間中の割引料金は2019年4月末で終了し、5月1日から正規料金での課金がスタートします。

» 2019年04月22日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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大容量のマネージドディスクとは?

 Microsoft Azureの「マネージドディスク(Managed Disks)」(「管理対象ディスク」や「管理ディスク」とも呼ばれます)は、「リソースマネージャーデプロイモデル」のAzure仮想マシンのOSディスクと、データディスクのために用意された専用のストレージサービスです。

 マネージドディスクは、ソリッドステートドライブ(SSD)を使用した「Premium SSD Managed Disks」とハードディスクドライブ(HDD)を使用した「Standard HDD Managed Disks」(旧称、Standard Managed Disks)の2種類からスタートしましたが、2018年9月からは新しい種類として「Standard SSD Managed Disks」の一般提供が始まりました。

 また、2018年9月からは最大64TBまでに対応した「Ultra SSD Managed Disks」のプレビュー提供が開始されています。なお、汎用(はんよう)的な「ページBLOB」を使用する「Premiumストレージ」や「Standardストレージ」は、マネージドディスクに対して「アンマネージドディスク(Unmanaged Disks)」、あるいは「非管理対象ディスク」「管理されていないディスク」と呼ばれます。

 これまで、マネージドディスクでは32GB〜4TBの8つのディスクサイズが一般提供されてきましたが、2018年9月からは8GB〜32TBの3つの大容量サイズがプレビューとして利用できるようになりました。

 そして、2019年3月末、この3つの大容量サイズの一般提供が発表されました。プレビュー期間中は割引料金で提供されてきましたが、2019年5月1日からは正規料金による課金がスタートするので、プレビュー利用していた場合はご注意ください。

 以下の表に、Premium SSD Managed Disks(表1)、Standard SSD Managed Disks(表2)、Standard HDD Managed Disks(表3)のディスクサイズと性能、スペックについてまとめました。

ディスクサイズ IOPS/ディスク スループット/ディスク 東日本リージョンでの参考月額
P4 32GB 120 25MB/s 680.11円
P6 64GB 240 50MB/s 1314.87円
P10 128GB 500 100MB/s 2539.04円
P15 256GB 1100 125MB/s 4896.72円
P20 512GB 2300 150MB/s 9430.4円
P30 1TB(1024GB) 5000 200MB/s 1万7409.28円
P40 2TB(2048GB) 7500 259MB/s 3万3370.25円
P50 4TB(4096GB) 7500 250MB/s 6万3838.73円
P60(新) 8TB(8192GB) 16000 500MB/s 12万1873.92円
P70(新) 16TB(16384GB) 18000 750MB/s 23万2141.28円
P80(新) 32TB(32767GB) 20000 900MB/s 46万4281.44円
表1 Premium SSD Managed Disksのスペック

ディスクサイズ IOPS/ディスク スループット/ディスク 東日本リージョンでの参考月額
E4 32GB 最大120 最大25MB/s 268.8円
E6 64GB 最大240 最大50MB/s 537.6円
E10 128GB 最大500 最大60MB/s 1075.2円
E15 256GB 最大500 最大60MB/s 2150.4円
E20 512GB 最大500 最大60MB/s 4300.8円
E30 1TB(1024GB) 最大500 最大60MB/s 8601.6円
E40 2TB(2048GB) 最大500 最大60MB/s 1万7230.2円
E50 4TB(4096GB) 最大500 最大60MB/s 3万4406.4円
E60(新) 8TB(8192GB) 最大2000 最大400MB/s 6万8812.8円
E70(新) 16TB(16384GB) 最大4000 最大600MB/s 13万7625.6円
E80(新) 32TB(32767GB) 最大6000 最大750MB/s 27万5251.2円
表2 Standard SSD Managed Disksのスペック

ディスクサイズ IOPS/ディスク スループット/ディスク 東日本リージョンでの参考月額
S4 32GB 最大500 最大60MB/s 172.04円
S6 64GB 最大500 最大60MB/s 336.9円
S10 128GB 最大500 最大60MB/s 659.46円
S15 256GB 最大500 最大60MB/s 1268.74円
S20 512GB 最大500 最大60MB/s 2437.12円
S30 1TB(1024GB) 最大500 最大60MB/s 4587.52円
S40 2TB(2048GB) 最大500 最大60MB/s 9175.04円
S50 4TB(4096GB) 最大500 最大60MB/s 1万8350.08円
S60(新) 8TB(8192GB) 最大1300 最大300MB/s 3万6700.16円
S70(新) 16TB(16384GB) 最大3000 最大500MB/s 7万3400.32円
S80(新) 32TB(32767GB) 最大3000 最大500MB/s 14万6800.64円
表3 Standard HDD Managed Disksのスペック

 マネージドディスクの総コストは、実際に使用した容量に関係なく、ディスクサイズ(予約サイズ)に応じた月額、ディスク数、送信データ転送、トランザクション回数(Premium SSD Managed Storageはトランザクションコストなし)で決まります。

 スナップショットを使用する場合は、スナップショットの保存先ストレージの種類ごとに設定された単価により、使用量(GB)に対してのみ課金が発生します。詳しくは、Microsoft Azureの「Managed Disksの価格」ページで確認してください。また、このページから遷移できる「計算ツール」を使用することで、Managed Disksの料金を見積もることが可能です(画面1)。

画面1 画面1 「計算ツール」を使用することで、Managed Disksの料金を見積もることが可能

マネージドディスクを使用するには?

 現在、Azure仮想マシンのストレージとしては、管理性が良く、さまざまな機能に対応できるマネージドディスクの使用が推奨され、リソースマネージャーデプロイモデルの現在の既定となっています。ストレージの種類は、ワークロードの要件やコスト、管理性に応じて適切なものを選択します。

 Premium SSD Managed Disksは高パフォーマンス、Standard SSD Managed Disksは費用対効果の高い一貫したパフォーマンス、Standard HDD Managed Disksは開発/テストおよびバックアップ用ディスクに適しています。さらに高いI/O指向のワークロードには、プレビュー提供中のUltra SSD Managed Disksがあります(ただし、米国東部2リージョンのみで利用可能など、プレビューの制限があります)。

 一方、アンマネージドディスクであるPremiumストレージやStandardストレージは、管理性は劣りますが、高パフォーマンスあるいはコストの最小化のいずれかで選択するとよいでしょう。

 マネージドディスクは、リソースマネージャーデプロイモデルのWindows仮想マシンおよびLinux仮想マシンでのみ使用できます。マネージドディスクの使用は仮想マシン作成時に指定でき、OSディスクおよび追加するデータディスク(仮想マシン作成後の追加を含む)はマネージドディスクとして構成されます(画面2)。

画面2 画面2 仮想マシン作成時のディスクの構成オプションで「マネージドディスクを使用:はい」は既定。ディスクサイズはGB単位の数字で指定する必要がある

 OSディスクは仮想マシンのシリーズに応じて、Premium SSD Managed DisksまたはStandard SSD Managed Disksとして構成されます。Windows仮想マシンのOSディスクは127GB(標準イメージ、P10またはS10サイズ相当)または32GB([smalldisk]イメージ、P4またはS4サイズ相当)、Linux仮想マシンは30GB(P4またはS4サイズ相当)で構成されます。

 追加ディスクのアカウントの種類とサイズは、カスタマイズすることができます。表1に示したサイズの中間値を設定した場合、その1つ上のサイズの月額料金が課金されることになるため、各サイズの最大値をGB単位で指定するようにしてください。

 例えば、Premium SSD Managed Disksで構成するには、ディスクの種類「Premium SSD」を選択し、P30ならサイズに「1024」、P80(8TB)ならサイズに「8192」(1024×4)と指定します。ただし、最大のP80(32TB)に限り、1GB少ない「32767」(1024×32−1)で指定する必要があります(前出の画面2参照)。

 入力値によって変化する予測パフォーマンス(IOPSとスループット)の数字から、≪表1〜3>の目的のサイズが選択されているかどうかを判断できるでしょう。なお、マネージドディスクが有効な仮想マシンに、管理されていないデータディスクを追加することはサポートされません。

 現在、アンマネージドディスク(非管理対象ディスク)で構成されている仮想マシンは、Azureポータルの仮想マシンの「概要」ページ、または「ディスク」ページに表示されるリンク/メニューから、簡単な操作でマネージドディスクに移行できます(画面3)。

画面3 画面3 アンマネージドディスク(非管理対象ディスク)で構成されている仮想マシンは、Azureポータルを使用して簡単な操作でマネージドディスクに移行することができる

 なお、クラシックデプロイモデルの仮想マシンの場合は、マネージドディスクを利用できるように、先にリソースマネージャーデプロイモデルに移行しておく必要があります。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2018/7/1)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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