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» 2019年07月17日 05時00分 公開

働き方改革では、心の病は防げない仕事が「つまんない」ままでいいの?(55)(2/4 ページ)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]

「弱み」を打ち明けられなかった私たち

 私は、今までの「職場」にも問題があるように思います。

 これまで、職場で評価されるためには、いかに自分が「優れた人間か」をアピールする必要がありました。弱みを共有したり、過ちを認めたりすることはなかなかできません。

 「最近、少し働き過ぎ」「ちょっと疲れている」と思っても、「すぐに弱音を吐くヤツ」と思われたくなくて、気合いで乗り切るしかありませんでした。

 また、「子どもが熱を出したら帰らなければならない」「親の介護で定時で帰らなければならない」といったプライベートの情報を伝えることもリスクでした。そのストレスは、一人で抱え込むしかありません。

 そして、疲れ果てた多くのビジネスパーソンは「心の病」と診断され、休職し、薬を飲んで寝ることしかできませんでした。

 マネジメント層の意識も問題です。

 以前、ある経営者と話をしたときのことです。「一度心が折れた社員は復職しても今まで通り働けるか分からないし、どのように接すればいいのかも分からない。本音を言えば、退職金を少し上乗せしてもいいから、早く辞めてほしい」――心の中でそう願っているマネジメント層は少なくないでしょう。

精神疾患を防ぐ「心理的安全性」

 近年、ビジネスシーンで「心理的安全性」という言葉が話題です。

 米Googleが2016年に発表した労働改革プロジェクト「プロジェクトアリストテレス」の成果として、「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである」と報告されました。

 心理的安全性とは、弱みの吐露など一般的にはリスクと思われるような言動をしても、「このチームなら大丈夫だ」と信じられ、ありのままの自分をさらけ出せる安心、安全なチームの環境や雰囲気のことです。

 プロジェクトアリストテレスの報告では、心理的安全性は「チームの生産性」や「効果的なチーム」に主眼が置かれています。私はさらに、精神疾患を防ぐ上でも、とても大切な視点なのではないかと考えます。

 なぜなら、心理的安全性の高い会社なら、心理的な不安が少なくなり、安心した気持ちで働けるからです。

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