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» 2019年07月17日 05時00分 公開

働き方改革では、心の病は防げない仕事が「つまんない」ままでいいの?(55)(4/4 ページ)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
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客先で働くエンジニアはどうしたらいいの?

 少し話は変わりますが、読者の中には、客先で働くエンジニアも多いと思います。客先だと気も使うし、なかなか本音も言えません。とはいえ、自分の意思で働く環境は選べません。その場合は、どうしたらいいのでしょうか。

 実は、私自身、心理的安全性の低い客先で「プレッシャーをかけるマネジメント」を受けて、心が折れかかった経験があります。しかし、客先にはなかなか言えません。上司に相談もしましたが、どちらかといえば「顧客寄り」で、解決策はなかなか見いだせませんでした。

 そこで、試みたのは、自社の「分かってくれそうな他の上司と話す」ことでした。すぐに問題が解決したわけではありませんでしたが、それでも、聞いてもらっただけでも、気分は楽になりました。

 もう一つは、一緒に常駐していた「自分たちのチームの中」だけで、何でも話せる場を作ったことでした。客先の働きづらさは相変わらずでしたが、仲間たちとだけはお互いに本音を話していました。

 客先で働くエンジニアは、このような悩みを抱えている場合も多いもの。せめて「自社では本音を話せる」ように、マネジメント層の方々は気を配ってあげてほしいと思います。

人には「強み」もあれば「弱み」もある

 今までのビジネスシーンといえば、「強いこと」「頑張ること」「苦手を克服すること」が正しい姿だったような気がします。もちろん、「強さ」はあっていいし、苦手なことを克服しようと「頑張る」「努力する」ことも大切です。

 でも、「それだけが全てかな?」とも思うのです。

 最近、私は「弱み」を積極的に伝えることにしています。人見知りな性格で、積極的に人と関わったり、巻き込んだりするのは苦手です。

 弱みを伝えるようになってから、「得意じゃないんだから、仕方がないか」と思えるようになって、気が楽になりました。苦手なことは得意な人にお願いすることもあります。その分、私の得意なことでお返しします。

 そもそも、人には強みもあれば、弱みもあります。弱みを克服して「平均値を上げる」のも大切かもしれませんが、「弱み」は弱みとして共有し、それぞれの「強み」で補った方がチームとしての生産性も高くなりますし、「得意なこと」なら仕事も前向きに取り組めます。

 ストレスチェックや働き方改革も大切かもしれませんが、そもそも、「楽しい」「面白い」という気持ちで働いていたら、心の病を発症することは少ないでしょうし、「突然、心の病を患ってしまうのではないか」といった心配もありません。

 大切なのは、個人の「心の強さ」ではなく、心理的安全性が高く、自分の弱みをさらけ出せる安心、安全な「働く環境」と、「楽しく働く」ことなのです。

 そろそろ、個人に責任を押し付ける「対症療法」はやめにしましょう。そして、心理的安全性の高い会社の文化や風土作りを目指しましょう。それが、心の病を防ぎつつ、仕事の効率や生産性を高める、唯一無二の方法だと信じています。このような会社が増え、楽しく働く人が増えたらいいなと思います。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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