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» 2019年07月17日 05時00分 公開

働き方改革では、心の病は防げない仕事が「つまんない」ままでいいの?(55)(3/4 ページ)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]

心理的安全性が高い職場なら「弱みをさらけ出せる」

 心理的安全性が高く、「この会社では、自分をさらけ出しても安全である」と思えるチームなら、弱みをさらけ出しても、怒られたり、否定されたりしないため、気持ち的な安心感があります。

 また、「この仕事、本当は〇〇にした方が楽にできるのではないか」「××を□□に変えたら、お客さんの役に立つのではないか」といった新しい意見やアイデアを言ってもばかにされることもありません。

 「最近、少し働き過ぎ」「ちょっと疲れている」といった情報も共有しやすく、過度な負荷が掛かる前に休息を取ることもできます。

 さらに、今までは伝えるのがリスクだった「子どもが熱を出したら帰らなければならない」「親の介護で定時で帰らなければならない」といったプライベートな情報も、共有することで「なぜ、あの人はそういう行動を取る必要があるのか」を周りの人が理解できます。突発的な状況にも対応できるよう、仕事に必要な情報を共有し、誰もができるようにしておくことで、仕事が止まるリスクを回避できます。

 このように、心理的安全性が高い環境なら、弱みをさらけだせて、安心、安全で、一人で全てを抱えなくていいため、心の病になること自体が少なくなるのです。

一人で抱え込まなくてもいいんだ!

心理的安全性が高い職場は「最悪の事態」を防ぐ

 「そんなに理想的なことばかりではない」という意見もあるでしょう。

 先日、私の知人が働き過ぎで倒れかけました。「朝、会社に行こうと思ったら、体が動かなかった」と言います。彼は「仕事が好き」で前向きに取り組むタイプです。しかし、周りの人に頼るのが苦手で、つい必要以上に働いてしまったそうです。

 幸いなことに、彼は最悪の事態を免れました。

 というのも、彼が働いているのは比較的心理的安全性が高い会社でした。普段から仕事の不安や、その時々の気持ちを、1on1ミーティング(1対1で上司とメンバーが定期的に話をする)などを通じて共有していたので、具合が悪くなった朝も、「不安なく事情を話せた」と言います。

 「少しくらいダルくたって、無理して出勤すべきだ」「社会人なら、自分の仕事に責任を果たすべきだ」のような、今までの価値観の会社だったら、彼に無理をさせたでしょう。「弱みを見せてもいい」環境が、彼を最悪の事態から救ってくれたのです。

 今、彼は元気に働いています。そして、自身の体験から「無理し過ぎないこと」「ときには、他人を頼ること」を学びました。また、職場も同時に「個人に負荷を背負わせるのではなく、チームで成果を出すためにはどうしたらいいか」を考えるようになったそうです。

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