前回は1人暮らしを始めた子どものために、筆者が準備した毎月の更新管理の簡素化と緊急時のリモート対応環境を紹介しました(もし子どもの方がPCが得意なら逆方向で)。この機会にわが家と筆者の通信環境も見直すことに。ADSLサービス終了の通知が来ているけどどうしようと考えている方の参考になればと思いレポートします。先に言っておくと、わが家のインターネット環境と筆者の携帯電話の具体的な月額料金が出てきますが、他の多くの方とは状況が大きく異なるだろうことは無視してください。
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メタル回線の公衆電話網を利用するNTT(日本電信電話)の「フレッツADSL」は、2023年1月31日をもって「フレッツ光」提供エリアにおけるサービス提供を終了します。後3年ありますが、15年前からフレッツADSL(電話共用タイプ)を利用しているわが家にも、数年前からパンフレットや電話による案内が繰り返しくるようになりました(写真1)。
フレッツADSLから「何に変えるか」と考えると、やはりフレッツ光しかないのかなと漠然と考えていたのですが、筆者のインターネット利用にフレッツADSLの帯域が足りないということもありません。フレッツ光や「ひかり電話」が出てきたときには、電話加入権をうやむやにしながら、ひかり電話にすればフレッツ光とセットでほとんど月額が変わらないというセールストークが気に入らなかったこともあり、15年間、契約を変更することもなくフレッツADSLを利用してきました。
ADSLルーターとADSLスプリッターはNTTからのレンタル品です。ここ数年、日によっては数分おきに切断されるという障害に悩まされることもありましたが、どこかで工事をしているんじゃないか、天気の影響ではないか、などとごまかしてきました。よく考えると15年近く(途中、故障のため同一品に交換)、電源を入れっぱなしの機器の問題なのかもしれません(写真2)。
15年間放置してきたという、そんなずぼらな筆者(家族の中で筆者だけフィーチャーフォン)が通信環境の見直しに踏み切ったのは、1人暮らしの子ども(大学生)のインターネット環境のために「○○WiMAX」(WiMAX回線の提供業者は複数あり、料金もそれぞれなので○○としておきます)を契約したのがきっかけの一つでした。
岩手県の温泉地に近い山沿いのわが家でセットアップしたのですが、意外にも電波状況が良好だったのです(画面1)。最終的にこの機器を利用することになる都市部のアパートの部屋よりも、各段に良好でした。Googleのインターネット速度テスト(Googleで「インターネット速度テスト」または「スピードテスト」と検索)では、ダウンロード40〜70Mbps、アップロード4〜7Mbpsと、「高速」または「非常に高速」という結果でした(画面2)。どちらもフレッツADSLの最大時の数倍です。
電波状況が良好なことが分かったので、フレッツADSLの代替として○○WiMAXも有力な候補になりました。○○WiMAXの「ギガ放題プラン」なら、家での仕事にも支障はないはずです。
○○WiMAXのギガ放題プランでは、3日間で使用量が10GBを超えると上下ともに1Mbps程度に通信制限が入るという制約はありますが、制限がかかるのは混雑時間帯とされる午後6時〜深夜2時の間で、ほとんど筆者の業務時間外です。
もう一つのきっかけは、フィーチャーフォン(ガラケー)の更新月と重なったこと。家で仕事をするし、ガラケーの料金が月額2000円前後だったこともあり、これまでスマートフォン(スマホ)の必要性を全く感じていませんでした。しかし、この機会にスマホに乗り換え、さらに○○WiMAXとセットにすれば、通信費をさらに抑えられると考えたのです。
以下の図1は、比較対象としてフレッツ光に乗り換えた場合に毎月支払う通信費の概算です。携帯電話の料金は筆者のガラケーのみが対象で、家族のスマホは含めていません。
かつては、ひかり電話に変えたとしても電話とインターネットの料金はフレッツ光の方がフレッツADSLより少し高くなる感じでした。
しかし、現在はプロバイダー接続料が光への乗り換えキャンペーン価格500円が利用可能になっていて、2年目までは少し安くなります。そして、3年目からは現在よりも高くなります。こうしてみると、ADSL機器のレンタルのためにこの月額を15年も払い続けていたのは誤算でした。自前で購入した方がはるかに安く済みましたし、何度も新しい機器に交換できたと思うと悔やんでも悔やみ切れません。
図2は、現在、端末無料キャンペーンを実施中の○○WiMAXと、UQモバイルのスマホに乗り換えた場合に毎月支払う通信費の概算です。
NTTとは固定電話の契約だけになり、レンタル品はなくなります。後は実質、スマホと○○WiMAXの料金になります。スマホの料金が機種代の影響でガラケーよりも高くなっていますが、それでも○○WiMAXに乗り換え、2年間は大幅に通信費を抑えられ、3年目以降の通常料金も安く済みます。
良いタイミング(各契約の更新月)で家族のスマホをまとめていけば、わが家全体の通信費はさらに安く抑えられそうです。図2にはスマホの通話料を含めておらず、契約するプランには無料通話分もありません。でも問題ありません。スマホでの電話は極力避けるつもりです。
実は、図2の計画で1つだけ心配だったのが、ダイヤルアップ接続のときから20年近く利用してきたプロバイダーのメールアドレスをどうするかということでした。
維持するにはフレッツ光プランにするしかないのか、維持しないとしたら移行期間はどうするのかという課題がありますし、方々へのアドレス変更の連絡は面倒です。契約上はダイヤルアップ接続契約に戻して、インターネット経由でPOPやIMAPで利用すればいいかなと考えていましたが、利用中のプロバイダーには接続方法を問わない「メールのみ」という月額200円のプランがありました。これでメールアドレスの継続性の問題もなくなりました。
というわけで、先月(2019年11月)、わが家のインターネット環境は○○WiMAXに完全に移行し、インターネットに関してはワイヤフリーになりました(写真3)。有線回線はNTTの固定電話のみです。
インターネット環境がワイヤフリーになると、配線もスッキリしました。また、将来の別の接続形態に乗り換えるのも容易になります。数年後、何がどれくらいの料金で利用できるようになっているか、今は分かりませんが、もしかしたら衛星経由の接続が最速、最安値になっているかもしれません。
筆者は決して○○WiMAXをお薦めしているわけではありません。たまたまわが家では電波状況が良く、屋内までの光回線の引き込み工事は筆者にとってこの上なく面倒なこと(電話共用型だったフレッツADSLでは不要でした)だっただけです。
ただ、現在の通信費を見直してみるべきかもしれません。筆者はADSLルーターとスプリッターのレンタルに15年間、合計60万円近く支払っていました。なお、NTTのレンタル品の返品は専用の返却袋が後日送られてくるので、送料なしで返却できます。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2019-2020)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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