Gartnerの国別のクラウド支出とその成長に関する調査は、クラウドの導入がどの国で速いペースで進んでいるか、どの国で遅れているかを示している。日本はクラウド支出の比率が最低レベルで、「抵抗国」に分類される。
ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。
クラウドコンピューティングは、まず米国で台頭した。2015年以来、米国はIT環境のクラウド化が世界で最も進んでおり、クラウド導入をけん引している。だが、米国に続く国々の導入状況はまちまちだ。2022年には、各国のクラウド導入は米国より1〜7年以上遅れそうだ。また、2022年に米国では、IT支出全体の14%がクラウドサービスに投入される見通しだ。
ITプロバイダーやサービスプロバイダーは、国や地域別の市場成長の見通しを踏まえ、世界各地の既存および計画中のハイパースケールデータセンターへの投資に優先順位を付けなければならない。同時に、クラウド支出が増えるように各市場の多様な特性を把握した上で、個々の企業のクラウド導入や活用の意欲を刺激する施策を講じる必要がある。
国別のクラウド支出とその成長に関するGartnerの調査は、クラウドの導入がどの国で速いペースで進んでいるか、どの国で遅れているかを示している。
米国を3年以下の遅れで追いかけている国は、「後続国」に分類される。後続国の例には、英国やオランダなどがある。英国とオランダのIT支出に占めるクラウド支出の割合は、2019〜2022年にそれぞれ2.8ポイント、3.2ポイント上昇する見通しだ。2022年には、英国のこの割合は11.5%になり、オランダも同じく11.5%になると予想されている。
欧州では、クラウドデータセンターはまずアイルランド、英国、オランダに設置された。これらのデータセンターでホストされたクラウドサービスは、早くから普及が進んだ。高い弾力性やセルフサービスプロビジョニング、柔軟な従量課金モデルが、現地企業から支持されたからだ。
中国は、2022年までのクラウド支出の年平均成長率は34.8%に達する見通しだが、依然として「後進国」(米国より4〜7年遅れている国々)にとどまっている。中国は、2023年以降に後続国になると予想されている。
日本は2022年まで、「抵抗国」(米国より7年以上遅れている国々)に位置付けられる。日本のIT支出に占めるクラウド支出の割合は、2019年の3.0%から2022年には4.4%に上昇する見通しだ。だが、日本では文化的バイアスや法規制などの障害が多く、企業にとってクラウドの導入は手間が掛かる。
出典:Cloud Adoption: Where Does Your Country Rank?(Smarter with Gartner)
Director, Public Relations
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