金沢大学の助教である広瀬修氏は、点群位置合わせ問題を解くための新たなアルゴリズムを考案した。点群位置合わせ問題をベイズ統計学に基づいて定式化することで、最高精度の解を最小計算時間で見つけることに成功したとしている。
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金沢大学は2020年2月18日、同大学理工研究域生命理工学系の助教である広瀬修氏が「点群位置合わせ問題を解くための新たなアルゴリズムを発見した」と発表した。複数の典型的な点群位置合わせ問題に対して「世界最高精度の解を最小計算時間で見つけることに成功した」としている。
点群位置合わせ問題とは、構造物の3次元モデルのように、点(座標)の集まりで表現される2つの形状に対して、対応する点の位置を合わせることで、点と点の対応関係を推定する処理。例えば顔認識の際に、システムに登録してある顔情報と、カメラで撮影した顔データの対応関係を求める際に用いる。人物の写真から「3次元フェースモデル」を復元する際にも使われるなど、コンピュータグラフィックスの分野で応用範囲が広い。
広瀬氏は、点群位置合わせ問題をベイズ統計学に基づいて定式化することで、処理を軽減させた。ベイズ統計学は、データの集合から傾向を推測する際に、知見を導入して「推測の確からしさ」を向上させる手法。
広瀬氏は点群位置合わせ問題で、計算の一部を近似計算に置き換えることで、精度を低下させることなく飛躍的に計算速度を向上させた。例えば、点の数が10万点以上あっても「2分程度の計算時間で高精度の位置合わせに成功した」としている。既存の手法では、点群に存在する点の数が数万点規模になると計算時間が非常に長くなるという問題があった。上記と同じ点の数が10万点以上の位置合わせ処理を、既存の最も高速とされる手法で計算したところ、3時間程度を要したという。
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