【Excel/Word】無料でPDFファイルに出力する3つの方法Tech TIPS

ExcelやWordの文書でPDFファイルにして、保存しておいたり、取引先にメール添付で送信したりすることは日常的に行われているだろう。この際、PDF作成ツールなどを購入していないだろうか。実は、Excel/Wordは特別なソフトウェアなしにPDFファイルへの出力が行える。ただ、パスワード付きPDFファイルにする場合には注意が必要だ。

» 2020年04月06日 05時00分 公開
[小林章彦デジタルアドバンテージ]

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対象:Word 2013/2016/2019/365、Excel 2013/2016/2019/365


 見積書や領収書、契約書などをやりとりする場合、「Microsoft Excel(エクセル)」や「Microsoft Word(ワード)」のファイル(xlsxファイルやdocファイル)ではなく、いったんPDFファイルにして変換してから送付する、というケースも多い。PDFファイルにすれば、受け取った相手はWebブラウザで中身を見ることができるし、勝手に修正して悪用されにくい(実際には、PDFファイルを直接編集することも可能だが)と思われているからだろう。

 また、PDFファイルでは、作成時にパスワードを付けて、閲覧を制限することもできる。

 ただ、PDFを作成するには、市販のPDFツールが必要になると思っている人も多いようだ。

 そこで、本Tech TIPSではExcel/Wordから、PDFファイルを作成する方法を紹介する。なお、ExcelとWordでPDFファイルの作成手順はほぼ同じなので、Excelを例に解説する。ただし、パスワード付きのPDFファイルの作成は、Wordしか対応していないので、この点についてはWordで解説を行う。

その1:印刷機能でPDFファイルを作成する

 古くからのWindows OSユーザーにはなじみのある方法が、印刷の際にプリンタとして「PDF仮想プリンタ(PDFツール)」を選択してPDFファイルを作成する方法ではないだろうか。

 PDF形式にしたいブックファイルや文書ファイルをExcel/Wordで開き、[ファイル]−[印刷]を選択し、「プリンター」で「Microsoft Print to PDF」を選択して、[印刷]ボタンをクリックすればよい。印刷の向きや用紙サイズを変更したい場合は、印刷前に[プリンターのプロパティ]リンクをクリックして、設定を行う。ただ、設定できる項目は少なく、フォントの埋め込みや画像の解像度などに関する設定、PDFファイルにパスワードを付けることなどはできない。

印刷機能でPDFファイルを作成する(1) 印刷機能でPDFファイルを作成する(1)
[ファイル]−[印刷]画面を開き、「プリンター」で「Microsoft Print to PDF」を選択する。印刷の向きや用紙サイズを変更する場合は、[プリンターのプロパティ]リンクをクリックする。
印刷機能でPDFファイルを作成する(2) 印刷機能でPDFファイルを作成する(2)
[プリンターのプロパティ]リンクをクリックすると、[Microsoft Print to PDFのドキュメントのプロパティ]ダイアログが開く。ここで、印刷の向きが変更できる。用紙サイズを変更したい場合は、この画面の[詳細設定]ボタンをクリックする。
印刷機能でPDFファイルを作成する(3) 印刷機能でPDFファイルを作成する(3)
[詳細設定]ボタンをクリックすると、[Microsoft Print to PDFのドキュメント詳細オプション]ダイアログが開き、ここで用紙サイズが設定できる。
印刷機能でPDFファイルを作成する(4) 印刷機能でPDFファイルを作成する(4)
設定が完了したら、[ファイル]−[印刷]画面の[印刷]ボタンをクリックする。
印刷機能でPDFファイルを作成する(5) 印刷機能でPDFファイルを作成する(5)
印刷が開始されて、[印刷結果を名前を付けて保存]ダイアログが表示される。ここでPDFファイルの保存先とファイル名を指定して[保存]ボタンをクリックする。
印刷機能でPDFファイルを作成する(6) 印刷機能でPDFファイルを作成する(6)
作成されたPDFファイルを開くと、ExcelのシートがPDF形式で保存されていることが分かる。

その2:サードパーティー製の仮想PDFプリンタを使う

 フォントの埋め込み方法や画像の解像度などを設定したり、パスワード付きのPDFファイルを作成したりしたい場合は、「Microsoft Print to PDF」の代わりにサードパーティー製の仮想PDFプリンタを利用するという手がある。

 無償で利用できる仮想PDFプリンタには、主として以下のようなものがある。

 また、Adobe Acrobat DC(Adobe)やJUST PDF 4(ジャストシステム)、いきなりPDF(ソースネクスト)といった有償の製品もある。

 以下ではCubePDFの利用例を紹介しよう。

CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(1) CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(1)
[ファイル]−[印刷]画面で「プリンター」に[CubePDF]を選択する。
CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(2) CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(2)
用紙の方向やサイズは[プリンターのプロパティ]リンクをクリックして表示される[CubePDFのドキュメントのプロパティ]ダイアログで設定できる。
CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(3) CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(3)
[CubePDFのドキュメントのプロパティ]ダイアログの[詳細設定]ボタンをクリックすると、[CubePDF詳細オプション]ダイアログが開き、用紙サイズや印刷品質などの設定が行える。
CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(4) CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(4)
設定が完了したら、[ファイル]−[印刷]画面で[印刷]ボタンをクリックすると、このCubePDFのダイアログが表示される。[一般]タブでは、PDFのバージョンや印刷解像度、出力ファイル名などの設定が行える。
CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(5) CubePDFを使ってPDFファイルを作成する(5)
[セキュリティ]タブを開くと、パスワードを設定できる。管理用パスワードはPDFファイルを編集可能にするもの、閲覧用パスワードは閲覧する際に必要となるものだ。また、パスワードを設定すると、デフォルトで印刷やテキストのコピーなどが制限される。印刷などを許可する場合は、「印刷を許可する」にチェックを入れる。設定が終了したら[変換]ボタンをクリックすると、PDFファイルが作成される。

その3:[名前を付けて保存]または[エクスポート]を選択してPDF形式で保存する

 ここまで説明した仮想PDFプリンタを使わずとも、Excel/Word単体でPDF形式への変換と保存が可能だ。それにはまず[ファイル]−[名前を付けて保存]を選択し、右ペインで[参照]などを選択して、[名前を付けて保存]ダイアログを開く。

 [名前を付けて保存]ダイアログで、保存先を指定し、「ファイルの種類」のプルダウンリストから[PDF]を選択する。[保存]ボタンをクリックすると、指定したフォルダにPDF形式で保存され、自動的に既定のPDFビュワー(デフォルト設定ではMicrosoft Edge)でPDFファイルが開かれる。

[名前を付けて保存]を選択してPDF形式で保存する(1) [名前を付けて保存]を選択してPDF形式で保存する(1)
[ファイル]−[名前を付けて保存]を選択し、[参照]をクリックする。
[名前を付けて保存]を選択してPDF形式で保存する(2) [名前を付けて保存]を選択してPDF形式で保存する(2)
[名前を付けて保存]ダイアログが表示されるので、ファイルの保存先を選択して、「ファイルの種類」のプルダウンリストを開く。ここで[PDF]を選択する。「最適化」で「最小サイズ」を選択すると、画像などの圧縮率が上がり、PDFファイルのサイズが小さくなる(画像が粗くなることがある)。[保存]ボタンをクリックすると、PDF形式で保存される。
[名前を付けて保存]を選択してPDF形式で保存する(4) [名前を付けて保存]を選択してPDF形式で保存する(4)
自動的に既定のPDFビュワーで、保存したPDFファイルが開く。

 [ファイル]メニューで、[エクスポート]−[PDF/XPSドキュメントの作成]を選んでも、同様にPDF形式での保存が行える。

パスワード付きPDFファイルを作成する

 前述の通り、サードパーティー製の仮想PDFプリンタを使うことで、PDFファイルにパスワードを付けることができる。こうしたサードパーティー製品を使わなくても、Wordについては、デフォルトで閲覧を制限するためのパスワード付きPDFファイルの作成が行える(Excelは未対応)。その方法を紹介しよう。

 [名前を付けて保存]または[エクスポート]でPDF形式による保存を選択したら、[名前を付けて保存]ダイアログまたは[PDFまたはXPS形式で発行]ダイアログで[オプション]ボタンをクリックする。

 [オプション]ダイアログが開いたら、「PDFオプション」欄の「ドキュメントをパスワードで暗号化する」にチェックを入れて、[OK]ボタンをクリックする。

 [PDFドキュメントの暗号化]ダイアログが開くので、ここでパスワードを入力して、[OK]ボタンをクリックすると、[名前を付けて保存]ダイアログに戻る。ここで[保存]ボタンをクリックすれば、PDF形式でWord文書が保存される。

Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(1) Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(1)
Wordで[ファイル]−[名前を付けて保存]を選択し、[参照]をクリックする。
Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(2) Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(2)
[名前を付けて保存]ダイアログが表示されるので、ファイルの保存先を選択して、「ファイルの種類」のプルダウンリストを開く。ここで[PDF]を選択する。
Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(3) Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(3)
ここで[オプション]ボタンをクリックする。
Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(4) Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(4)
[オプション]ダイアログが表示されるので、「ドキュメントをパスワードで暗号化する」にチェックを入れる。[OK]ボタンをクリックすると、[PDFドキュメントの暗号化]ダイアログが表示されるので、6文字から32文字までのパスワードを入力して、[OK]ボタンをクリックする。
Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(5) Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する(5)
作成したPDFファイルを開くと、パスワードの入力が求められる。

 Excelファイルをパスワード付きのPDFファイルにしたい場合は、Excel上でパスワードが付いていない状態のPDFファイルを作成し、これをWordで読み込ませて、上記の手順でパスワード付きPDF形式による保存を行えばよい。二度手間ではあるが、サードパーティー製のツールなどを利用しなくても、Excelファイルをパスワード付きPDFファイルにすることができる。

Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する際の注意

 Wordでパスワード付きPDFファイルを作成する方法では、サードパーティー製ツールのように、「印刷を禁止」「テキストと画像のコピーは禁止」といったような細かな制限は付けられない(パスワードを入力しないと閲覧できない「閲覧制限」は可能)。

 特に印刷が禁止できない点には注意したい。パスワードを知っている閲覧者がパスワードを入力してPDFビュワーで閲覧後に、仮想PDFプリンタでPDFファイルに「印刷」すると、元の内容とほぼ同じでパスワードが解除されたPDFが作成できてしまうからだ。

 より高いセキュリティを求めるのであれば、サードパーティー製の仮想PDFプリンタを利用して印刷などを禁止したPDFを作成するのがよいだろう。

CubePDFを使ってパスワード付きPDFファイルを作成した場合 CubePDFを使ってパスワード付きPDFファイルを作成した場合
CubePDFを使ってパスワード付きPDFファイルを作成すると、画像やテキストのコピーや印刷を許可しないようにできる。PDFビュワーで開くと、メニューの[印刷]がグレーアウトして印刷が行えない。


 このようにExcel/WordからPDFファイルを作成する方法は幾つかある。「Microsoft Print to PDF」は最も手軽だが、画像の圧縮などの設定が行えない。また、[名前を付けて保存]でPDF形式で保存する方法は、画像の圧縮などの最適化が可能で、Wordであればパスワードを付けることも可能だ。

 パスワードによる閲覧以上の機能制限が必要な場合は、サードパーティー製の仮想PDFプリンタを使う必要がある。サードパーティー製ツールのインストールが可能ならば、CubePDFなどを使うのがおすすめだ。

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