Microsoftは2020年5月19日(米国時間)、「Microsoft Build 2020」で、データ分析や機械学習/AIに関する複数の発表を行った。これには分析のためのデータのバッチ移動作業を排除する「Azure Synapse Link」や、説明可能でバイアスのないAIを目指す「Responsible AI」、AIのためのスーパーコンピューターが含まれる。
Microsoftは2020年5月19日(米国時間)、オンラインイベント「Microsoft Build 2020」で、データ分析や機械学習/AIに関する複数の発表を行った。これには分析のためのデータのバッチ移動作業を排除する「Azure Synapse Link」や、説明可能でバイアスのないAIを目指す「Responsible AI」が含まれる。
Azure Synapse Linkは、製造品質のモニタリングなど、連続的に発生するデータの分析をするため、設備の稼働時間外にバッチ処理でデータウェアハウスへデータを移動するといった作業をなくすことが目的のサービス。
新サービスでは、Microsoft Azure上のデータベースから、Azureのデータウェアハウス/分析サービスである「Azure Synapse Analytics(旧Azure SQL Data Warehouse)」へのデータ取り込みをリアルタイムで直接実行できる。この機能を利用するには、管理コンソールで、「Enable Synapse Link」というボタンを押せばいいという。
このため、稼働中のデータベースに負荷をかけることなく、即座にきめ細かな分析ができるとしている。発表時点ではプレビュー版として「Azure Cosmos DB」に対応する。今後は「Azure SQL」「Azure Database for PostgreSQL」「Azure Database for MySQL」など、他のデータベースサービスにおける対応を進めるという。
Azure Cosmos DBは、これまで固定的な保証スループットに基づく課金を行ってきたが、今回、自動スループット調整(「autoscale provisioned throughput」)と、これに基づく新料金の一般提供を開始した。この場合、ユーザーが設定した最大スループット値に基づき、その10%から100%の間で自動的な調整が行われる。課金は1時間ごとの最大スループット値に対して行われるという。
一方、Cosmos DBでは、「サーバレス」と呼ばれる新課金体系を間もなくプレビュー版として提供開始するという。これは純粋な従量課金。最大スループットを設定する必要のない、プロトタイプや小規模なアプリケーションの運用に適しているという。
「Azure Cognitive Services」では、強化学習に基づきモデルを自動的に最適化するPersonalizer機能で、「Apprentice mode」(直訳すれば「弟子モード」)と呼ぶモードを導入した。学習はするものの、ある程度の閾値に達するまでは自動的な最適化を行わないというもの。
他には、2020年4月にテキスト音声変換機能で、カスタマーサービスやニュース読み上げなど、用途に応じた音声スタイルを発表している。また、コンテナのサポートにより、場所を選ばずに動かせる機能は、テキスト解析、言語理解の2機能にも広がった。
Microsoftは「Azure Machine Learning」で、「Responsible ML」と呼ぶ機能を実現するツールキットを提供開始したと発表した。
これはモデルの説明可能性を向上する「InterpretML」、公平性を向上する「Fairness」、プライバシー保護のための「WhiteNoise」の3つのオープンソースツール群などで構成されている。
さらにMicrosoftは、世界ランキングで5位に入る処理能力を備えたスーパーコンピューターを開発し、Azure上での稼働を開始したと発表した。これは非営利企業OpenAIとの協力で、同社だけのために開発されたもの。28万5000個以上のCPUコアと1万個以上のGPU、各GPUサーバに400Gbpsのネットワーク接続を備えた単一のシステムだという。
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