Azureファイル共有のAzure Backupによるバックアップ保護が、容易に構成および管理できるようになりました。既にAzure仮想マシンでは同様の統合が行われていますが、より直観的かつ簡単に利用できるようになりました。
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Microsoft Azureの「Azure Backup」は、Azure仮想マシン(WindowsおよびLinux)やAzure仮想マシンで稼働中の「SQL Server」データベース、オンプレミスのWindows ServerやWindowsクライアント、オンプレミスのアプリケーション(Hyper-V仮想マシンやSQL Serverデータベース)、「Azureファイル共有」をクラウドの記憶域に継続的にバックアップする、クラウドベースのバックアップサービスです。
Azureファイル共有は、クラウドベースのサービスとして提供されるサーバレスのSMB(Server Message Block)共有サービスです。Azureのリージョン内(例えば、Azure仮想マシンからのアクセス)ではSMB 2.1またはSMB 3.0で(2020年7月から一部のリージョンでNFS 3.0アクセスのプレビューが開始)、Azureの別リージョンやオンプレミスからのインターネット経由では暗号化が必須とされるSMB 3.0でファイル共有にアクセスできます。
また、「Azureファイル同期」と組み合わせることで、オンプレミスのWindows Serverのファイルサーバと共有フォルダを双方向で同期し、マルチプロトコル対応のキャッシュサーバとして、あるいはオンプレミスのファイルサーバのレプリカとして利用できます。
これまでもAzure Backupが使用する「Recovery Servicesコンテナ」からの通常の構成と管理操作で、Azureファイル共有のバックアップ保護を構成することが可能でした(画面1)。2020年8月5日(米国時間)からは、Azureファイル共有の「ファイル共有」ブレードから直接Azure Backupによるバックアップの有効化と、バックアップや復元操作を実行できるようになりました(画面2)。
ストレージアカウントの「ファイル共有」ブレードにAzure Backupの機能が統合されたことで、Azure Backupの前提となるRecovery Servicesコンテナを特に意識することなく、簡単な手順で新たにコンテナを準備し、既定のバックアップポリシーを用いてバックアップを有効化することができます。既存のRecovery Servicesコンテナと既存のバックアップポリシーを選択して有効化することもできます(画面3)。
バックアップはスケジュール実行される他、「今すぐバックアップ」のクリックですぐに開始することもでき、複数のチェックポイントから選択的に共有または個別のファイル単位でファイルやフォルダを元の場所または別の場所に復元することができます(画面4)。
なお、Azure Backupとの同様の統合は、Azure仮想マシンでは2016年12月に既に利用可能になっています(画面5)。これらの統合は、Azureの公式ドキュメントを確認することなく、簡単に構成および展開することができるでしょう。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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