用語「トイプロブレム」について説明。迷路やオセロのようにルールとゴールが決まっている世界の問題をAIで解くことであり、転じて、そのような世界観の問題しか解けないことを指す。第1次AIブームを終焉(しゅうえん)させた理由とされる。
AI(人工知能)研究分野におけるトイプロブレム(Toy problem、おもちゃの問題)とは、例えば迷路やオセロなど、ルールとゴールが決まっている問題のことであり、そういった問題をAIが解くという意味である。転じて、逆の視点から、そのAIは複雑な現実問題は解けない、つまりおもちゃの問題しか解けないということを意味する場合もある。現在では、むしろ後者の意味で用いられるケースが多い。
歴史的にAIには、3回のブームがあったとされており、現在が第3次のAIブームである。1950年代〜1960年代に起こった第1次のAIブームでは、「AIはトイプロブレムしか解けない」ことが次第に明らかになった。つまり、当時のAIは「現実世界では全く役立たない」と見なされるようになったのだ。そのため、第1次のAIブームが終焉(しゅうえん)したとされている。歴史的な転換の決定打となった概念として、トイプロブレムは有名である。前述した後者の意味(=「複雑な現実問題は解けない」)はこれに由来する。
一方、前者の意味(=「ルールとゴールが決まっている問題」)では、古典的なトイプロブレムの例として、チェッカーやチェス、ハノイの塔、各種パズル、Nクイーン問題、宣教師と人喰い人種の川渡り問題、三目並べなどがよく挙げられる。これらはいわゆる「箱庭」(=ルールとゴールが決まっている、作られた世界)のゲームであるが、その世界観がより広い囲碁や将棋、さらにはマインクラフトのような最近のビデオゲームも、全てトイプロブレムの一種だと考えられる。
ちなみに現在のAIの開発/研究でも、アルゴリズムのパフォーマンスを比較したり、(現実問題を簡略化するなどした)各種ゲームを攻略したりするために、こういったトイプロブレムは用いられている。例えばAIミニロボットカー(例:AWS DeepRacer)は、現実の自動車の自動運転を簡略化してトイプロブレムに置き換えたものといえるだろう。
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