IGSは、「リモートワーク下のコミュニケーションに関するアンケート調査」の結果を発表した。上司とのコミュニケーションが「成長に対する不安」に影響していることが分かった。
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Institution for a Global Society(以下、IGS)は2022年1月11日、「リモートワーク下のコミュニケーションに関するアンケート調査」の結果を発表した。それによると、上司のコミュニケーション能力について「外交力」「寛容力」「表現力」については、他者評価よりも自己評価が高くなる傾向があることが分かった。
調査は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としてテレワークを始めた、従業員1000人以上の企業に勤務する役職者(上司)と上長がいる従業員(以下、若手部下)を対象に実施し、計632人(上司427人、若手部下205人)から有効回答を得た。
COVID-19対策としてテレワークを始めた若手部下のうち「転職を検討したことがある」と回答した人の割合は42.4%だった。そのうち、36.8%が「コロナ禍前よりも『成長に対する不安』を強く感じるようになった」と答えた。
その原因を調べるため、成長に対する不安が増えた人と減った人を比べた。すると不安が減った人は不安が増した人よりも、「上司との意思疎通のしやすさの増加」が45.9ポイント高く、「上司との率直な意見交換しやすさの増加」は35.6ポイント高かった(注)。
※「成長に対する不安をコロナ前よりも弱く感じる」項目の「やや増えた」「とても増えた」の合計値から「成長に対する不安をコロナ前よりも強く感じる」項目の「やや増えた」「とても増えた」の合計値を差し引いた値
一方で上司に対してコロナ禍以降の部下とのコミュニケーションについて聞くと「コロナ禍前と比べて部下との率直な意見交換のしやすさが減った」と回答した割合(「とても減った・低下した」「やや減った・低下した」の合計値)は50.8%、「部下との意思疎通のしやすさ」が減ったと回答した割合(「とても減った・低下した」「やや減った・低下した」の合計値)は46.1%だった。
上司とのコミュニケーションについて、上司と部下の意見を比較したところ、部下の回答は上司よりも低い傾向があった。「上司は対話的に話している」は19.8ポイント、「上司はコロナ前よりも明るく見える」は16.0ポイント、「上司は余裕をもってコミュニケーションしている」は13.4ポイント、「上司は落ち着きながらコミュニケーションしている」は10.7ポイント、それぞれ低かった。
この理由についてIGSは「もともとコミュニケーション能力を客観的に自己評価することは難しい。特に「外交力」「寛容力」「表現力」については、他者評価よりも自己評価が高くなる傾向にある」と分析している。
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