まず、妻が家にいなくなることによるUDEを羅列することから始めます(※5)。以下のUDEがリストアップできました。
それらを組み合わせて、現状ツリーを作ります。
現状ツリーは、先にあげたUDEを結び付けていきます。途中で、直接的に結び付かなかったり、UDEの書き方が抽象的だったりする部分に気付くこともあると思います。その場合は、適宜論理項目を追記したり、記述内容を修正したりします。また、構築を進めていくと、しっくりこない部分や、論理の飛躍も見つかることがあるので、それらも適宜修正します。現状ツリーの詳しい説明は、『ザ・ゴール2』をご参照ください。
私が記載した現状ツリーは下記の通りです。
現状ツリーの構築は、可能な限りステークホルダーと一緒にやりましょう。私は1人で構築し、結果としてコアの課題を「家事、育児の時間を捻出できないこと」と置きました。
しかし、本連載執筆に当たり、子どもたちに当時不安だったこと、心配だったことを聞いてみると、「ママと一緒に寝られないの嫌じゃん」と第一に返ってきました。「パパが料理作れるか心配じゃなかった?」と聞くと、「だってパパはコーラ豚(私が唯一といっていい作る料理、豚のコーラ煮)作れるじゃん」とのこと。
関係者全員で集まって知恵を絞らないと、本当のコアの課題にはたどり着けないかもしれません。
現状ツリーが出来上がったら、コアの課題を見つけましょう。
私の場合は上記の図から、「家事、育児の時間を捻出できないこと」と置きました。ここまで読んで「当然じゃん」と思った方もいらっしゃると思います。私もそうでした。ただ、『ザ・ゴール2』でも言及されていますが、ここに至るまでにかなりの時間を要して分析しています。コアの課題にたどり着くことは容易ではないのです。
次のアクションとして、「未来実現ツリー」を書くという方法があります。ただし私の場合は、現状分析ツリーのコアの課題から幾つかの対策案を思い付き、それを解消していくことにしました。具体的には下記の2つの対策案です。
幸いこれらの対策案は、試行錯誤の末に実行に移すことができ、コアの課題がだんだんと解消していきました。それらを解消していくプロセスは、次回以降にお伝えしていきます。
今回は、制約条件の理論、特に思考プロセスを利用して、妻の長期不在時に発生する問題を分析し、コアとなる課題の発見と対策案の提示まで行いました。『ザ・ゴール2』でも語られている通り、「『思考プロセス』はあらゆる問題解決に応用できる」有益な手法です。課題が山積して困っている、何が課題か分からない、といったケースで利用してみてはいかがでしょうか。
次回は、今回提示した解決案の1つ目を実行した際の話を元に、アジャイルソフトウェア宣言でも価値を置くとされた「対話」の重要性をテーマに取り上げます。第2回もよろしくお願いします。
リクルート所属。
HR領域のエンジニア組織のグループマネージャーとして、タウンワークをはじめとしたサービスの開発を担っています。並行して、妻の海外留学を経験し、そこで得た知見を社内外で発表しています。また社外では、TDDBCなどのコミュニティー運営にも携わっており、著作として『エキスパートが教えるSelenium最前線』(共著)があります。
Twitter:PoohSunny
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