Gartner、2025年までに3つの環境サステナビリティ技術が主流として普及し始めると予測クラウドサステナビリティ、温室効果ガス排出量測定、電力網管理

Gartnerは、「クラウドサステナビリティ」「カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)測定」「高度なグリッド(電力網)管理ソフトウェア」という3つの環境サステナビリティ(持続可能性)技術が、1〜3年以内に主流として普及し始めるとの見通しを示した。

» 2022年05月11日 10時40分 公開
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 Gartnerは2022年4月21日(米国時間)、「クラウドサステナビリティ」「カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)測定」「高度なグリッド(電力網)管理ソフトウェア」という新たに台頭しつつある3つの環境サステナビリティ(持続可能性)技術が、1〜3年以内に主流として普及し始めるとの予測を発表した。

 Gartnerのリサーチバイスプレジデントを務めるアネット・ジマーマン氏は、次のように述べている。「環境のサステナビリティは、一部の産業だけの責任ではない。ネットゼロ(※)エコノミーへの移行は、産業革命やデジタル革命に匹敵する破壊的な影響をもたらすことから、新しい技術、ビジネスモデル、戦略、プロセスが必要になる」

※カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)が正味ゼロであることを指す。

 ネットゼロの未来への道は、持続可能なビジネスを可能にする基盤技術を開発する技術やサービスのプロバイダーに新たな機会をもたらすと予想される。Gartnerは、環境サステナビリティに最も直接的な影響を与える新興技術として前述の3つを挙げ、次のように解説している。

クラウドサステナビリティ

 クラウドサステナビリティは、クラウドサービスを使用して経済、環境、社会システムにおけるサステナビリティを実現することを指す。クラウドサービスプロバイダーによるクラウドサービスの持続可能な運用と提供、およびクラウドサービスの持続可能な消費と使用から構成される。

 「パブリッククラウドサービスは、IT運用の一元化や、共有サービスモデルによる大規模な運用が可能なので、コンピューティング効率を高めることができる。このため、サステナビリティの大きな可能性を提供する。パブリッククラウドプロバイダーは、クラウドデータセンターを再生可能エネルギー源の近くに物理的に移動するなど、サステナビリティに投資するユニークな能力も持っている」(ジマーマン氏)

 クラウドプロバイダーは今後3年間に、「透明性のある気候戦略と明確なロードマップを持たなければならない」というプレッシャーにますますさらされそうだ。Gartnerは2025年までに、ハイパースケールクラウドサービスの二酸化炭素(CO2)排出量が、クラウドサービス購入の判断基準のトップ3になると予想している。

カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)測定

 カーボン(炭素)フットプリント(足跡)は、「人間の活動によって発生するCO2排出量」と定義されている。特定の技術製品やサービスのカーボンフットプリントは、3つの排出範囲を含んでいる。

  • スコープ1:所有または管理する排出源からの直接排出
  • スコープ2:購入エネルギーの生産における間接排出
  • スコープ3:当該企業のバリューチェーンで発生する全ての間接排出(スコープ2に含まれない)。上流と下流それぞれの排出を含む

 スコープ3の排出量は測定が最も難しいが、企業によっては総排出量の95%以上を占める場合もある。Gartnerは、企業が3種類の排出量全てに焦点を当て、報告の透明性を高めるにつれて、カーボンフットプリント測定技術の導入が大きく進むと予想している。こうしたツールの成長は、データ収集の量、質、適時性を高めるIoT対応環境センサーの普及に支えられる見通しだ。

缶飲料を例にしたカーボンフットプリント測定の考え方(出所:環境省

 「最終的には、全ての組織が炭素(CO2)会計ツールに投資しなければならなくなるだろう。透明性の高い炭素測定を実現し、実用的なアドバイスを提供するソフトウェアが急速に普及している。Gartnerは、統合機能の進歩とともに、こうしたソリューションが引き続き成長すると予測している」(ジマーマン氏)

高度なグリッド(電力網)管理ソフトウェア

 高度なグリッド管理は、監視制御およびデータ収集(SCADA)、公共サービスエネルギー管理システム、および物理モデルと機械学習モデルを活用した新しい運用可能なリアルタイム機能で構成されている。このソフトウェアは、電力系統運用者が電力網全体にわたって電力資源を監視、制御し、システムの安定性を維持し、耐用年数を延ばすために使用する。

 Gartnerは、約5〜20%の組織が現在、高度なグリッド管理ソフトウェアに投資しており、この割合が今後1〜3年で大幅に上昇するとみている。2026年までに、最大手クラスのエネルギー企業の資本プログラムの60%以上が、リスクの低い再生可能エネルギー投資に振り向けられるとしている。

 「グリッドネットワーク運用者の主な課題は、電力フローの変動とエネルギープロファイルの変動を管理することだ。高度なグリッド管理ソフトウェアは、電力会社が、供給が断続的な再生可能エネルギーの増加に伴う電力供給の不安定化に対処し、グリッドネットワークを効果的に管理できるようにすることで、エネルギー移行をサポートする」(ジマーマン氏)

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