用語「DX」について説明。デジタルデータとデジタル技術(AIやデータサイエンス)を活用することによって、ビジネス上の新しい価値を生み出すことを指す。
デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)とは、組織においてデータと「IT、IoT、AI、データ分析などのデジタル技術」を活用することによって、業務効率が高まるようにビジネスモデルを変革したり、新事業を創出したりといったような「ビジネス上の新しい価値」を生み出すことである(図1)。
本稿では上のように定義したが、必ずしも決まった定義が存在するわけではない。例えば2022年3月に経済産業省から公開された「DXリテラシー標準 ver.1.0」では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されている。
ちなみにDXという略語では、「Transformation」が「X」と略されている。Transformationには「cross」、つまり「×」という意味が含有されているためだ。
図1から分かるように、DXの実現に至るまでには、基本的に下記の3段階のステップが必要とされている。
デジタイゼーションやデジタライゼーションは、1990年代にPCとインターネットが普及してから2020年代までに行われてきたIT化/デジタル化*1のことである。DXはこのデジタル化を一段上に押し上げる「新しい概念」と言える。特に上記の箇条書きで太字にした「既存の」→「新しい」という違いがDXの重要ポイントだ。また、AIやデータサイエンスなどを活用することによって初めてデジタイゼーションからデジタライゼーションまでを実現できたようなケースも「DX」と表現される。
*1 DigitizationやDigitalizationは日本語に翻訳すると、どちらも「デジタル化」と訳される。デジタル化は、狭義には「デジタイゼーション」を指すとされている。広義には、DXも「デジタル化」の概念が進化する一過程として捉えられており、上記の通り、「デジタイゼーション」→「デジタライゼーション」→「DX」と3段階の進化を遂げたことになる。
現在では、データ分析の普及浸透や生成系AIの発展によって、世界中の企業や組織内でデータ分析による意思決定やAIの導入、つまりDXを推進する動きが盛んになってきている。このような変化の中で、日本社会全体でもデータ&デジタル技術の理解と活用を一般のビジネスパーソン、例えば経営者だけでなく、営業部門の人員から、管理部門や製造/開発部門、新入社員、さらには高校生や大学生にまで、組織/年代/職種を問わず働き手一人一人にまで広げようとする動きが強まってきている。
例えば、2025年までに全ての大学生(年間約50万人卒)がAI/データサイエンスの初級レベルを習得する目標が掲げられていること(参考:「AI戦略 2019」)や、2023年から選択制でデータサイエンス/データ分析/AIなどが学べる「情報II」の授業が開始され2025年からは大学入学共通テストの試験科目となること(参考:『高等学校における「情報II」のためのデータサイエンス・データ解析入門』)などの動きが挙げられる。社会人向けには例えば、2022年から経済産業省のDX人材育成プログラムとして「マナビDX」が展開されるなどの動きが挙げられる。
DXについてより詳しく知りたい場合は、2023年3月16日に発行された『DX白書2023』(全397ページ、こちらのリンク先から無料でダウンロード可能)を参照してほしい。
読みやすくするため、内容のまとまりごとに見だしタイトルを挿入しました。また、『DX白書2023』について追記しました。
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