箱とはサイコロのような立方体です。この立方体の空間的イメージを利用して連想をします。図にすると以下のイメージです。
箱には、上と下、前と後、左と右、中と外、があります。6面+表面、内面の合計8面です。この8つの面を手掛かりに連想していきます。「リンゴ」をテーマに連想しながら「箱法」を説明します。
箱の上をイメージさせる、上位概念や抽象、位置的に上、地位的に上、軽い、大きい、を手掛かりに連想します。
箱の下をイメージさせる、下位概念、具体、位置的に下、地位的に下、重い、小さい、を手掛かりに連想します。
箱の前をイメージさせる、時間的に前、歴史的に前、位置的に前、を手掛かりに連想します。
箱の後をイメージさせる、時間的に後、歴史的に後、位置的に後、を手掛かりに連想します。
箱の右をイメージする、右腕や仲間、保守、位置的に右、を手掛かりに連想します。「仲間」が含まれるのは、相棒やパートナーを意味する「右腕」の抽象概念であるためです。同様に「保守」は、政治的に右翼であるために右に含まれます。
箱の左を、敵、革新、位置的に左、を手掛かりに連想します。「敵」が含まれるのは、右で説明した右腕の逆の意味であるためです。「革新」は、政治的に左翼であるため左に含まれます。
箱の中身をイメージする、内容、部品や構成物、本質、中に入るもの、を手掛かりに連想します。
箱の表面をイメージする、外見、表向きのイメージ、テクスチャ(質感)、外に出るもの、飾り、名前を手掛かりに連想します。
アイデアは要素と要素の組み合わせという話でした。要素は分解する連想で得られ、組み合わせは要素と要素を合成する連想から成ります。つまり、「アイデアは連想でできている」と言えます。そのため、アイデアの量はテーマについての連想次第であり、さまざまな視点から連想をすることが望ましいというわけです。
今回紹介したテクニック「箱法」は、さまざまな視点から要素を分解する連想のツールです。知っているだけでも有効ですが、現実のツール同様に練度が求められます。要素を合成する連想も合わせて鍛えることで、アイデアの量と考えるスピードが上がります。
次回アイデアを考える機会のためにも、連想力を日々トレーニングするのはいかがでしょうか。
アイデアの考え方、次回は「反対」のテクニックを使ってアイデアの「質」を高めます。
八楽 新規プロダクトマネジャー
2002年ハードウェア技術者として任天堂に入社。世界累計出荷台数1億台のゲーム機WiiのコントローラーであるWiiリモコンの開発に従事。「Wii U」「Switch」の本体開発に携わった後、2016年に任天堂から独立。スタートアップ・新規事業のプロダクト企画・技術支援をするフリーのエンジニアとなる。
2016年、スタートアップ企業であるAtmophへ技術支援のため参画。初期から開発に携わった「Atmoph window2」は2019年、クラウドファンディングにて8000万円を超える資金を調達。2017年、中西金属工業の新規事業創出のための企業内起業に参画。2019年グッドデザイン賞のBEST100賞を受賞した「Clean Box」に、コンセプト設定、プロトタイピング、開発支援に携わる。
2020年、翻訳ベンチャー企業である八楽に新規プロダクトのプロジェクトマネジャーとして参画。
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