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デジタル所有権および説明責任は、デジタルアイデンティティー(ID)と不可分だ。もし、中立的なデジタルIDの普及が進まないとデジタルエコシステムが断片化し、真の普遍的な所有権と説明責任が定着しない。
デジタルIDの中立性について、私は次のように考えている。
- デジタルIDの中立性は、デジタルIDとその関連データの包括的、公正、安全な発行、保管、利用のための設計原則になる可能性がある
- デジタルIDの中立性が確保されれば、組織はバイアスなしで、また自らが発行したデジタルIDのみを優遇することなく、証明済みの検証可能なあらゆるデジタルIDを受け入れられる
- ネット中立性(インターネットサービスプロバイダーが全てのインターネット通信を平等に扱うこと)が“コネクテッドエコノミー”を可能にしたのと同様に、ID中立性は、物理世界とメタバースなどの仮想世界との両方で、デジタル所有権および説明責任を通じて、“プログラマブルエコノミー”(※)をサポートする
- これは、特別な扱いを要するエッジケースや、過去に学んだ教訓を考慮した適切な例外処理を前提としている
※Gartnerは、プログラマブルエコノミーを次のように定義している。
「プログラマブルエコノミーとは、分散した(いわゆる“胴元”がいない)非中央集権型のデジタルリソースから成る大規模な基盤として用いる、本質的に“インテリジェントな”経済システムである。このシステムは、商品やサービスの生産と消費をサポートし、イノベーション、起業、人/マシンによる価値交換(金銭的および非金銭的)の多様なシナリオを実現する」
(引用元:「メタバースでビジネス・チャンスをつかむために取り組むべきことは何か?」)
こうしたデジタルID中立性には、以下の可能性がある。
- 組織が進めるID中立のアーキテクチャ戦略策定を支援する。この戦略策定は現実の、または仮想エコシステムでチャネルを迅速に開き、継続的なイノベーションがもたらす経済的機会(NFT、メタバースなど)を活用することを目的としている
- 人口属性とサービス嗜好(しこう)の変化に伴い、今後10年間の経済活動の中で高まる。メタバースにおけるID中立のWeb3.0ビジネスサービスを利用した、デジタル資産の作成、所有、利用の急成長がそのけん引役となる
- ユーザーが適切な場合に、自己完結型で標準ベースの自分のIDデータポッド(IDデータの格納場所)を管理できるオプションを提供することで、組織のセキュリティおよびプライバシー態勢の大幅な改善を実証する
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