シン・クイックアシストの使い方――Windows PCのリモート支援がもっと楽に便利になった?山市良のうぃんどうず日記(255)

リモート支援を提供するWindows 10/11標準の「クイックアシスト」が進化しました。ストア版クイックアシストもそうなのですが、実はWindows 10内蔵の従来版クイックアシストもいつの間にかストア版スタイルに変更されており、新旧混在環境でも相互に接続できるようになっていました。

» 2023年04月19日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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山市良のうぃんどうず日記

さらに新しいクイックアシストがMicrosoft Storeからやってきた!

 2023年初め、筆者の別連載で「Windows 10」や「Windows 11」(バージョン21H2)に標準搭載のデスクトップアプリ「クイックアシスト」(以下、旧版クイックアシスト)が2022年4月末ごろにストア版クイックアシストアプリに置き換わり、Windows 11 バージョン22H2からはストア版クイックアシストがプリインストールされていることをお伝えしました。

 Microsoftは以下の公式ブログで、2023年3月のWindows Update(Bリリース)における新機能の追加および機能強化の一部として、「クイックアシスト」へのアクセス改善(「スタート」メニューへの「クイックアシスト」の登録)と機能強化(レーザーポインター機能)を発表しました。さらに新しいクイックアシストに置き換わったということです。

 遠隔地にいる家族のPCをリモートから支援するのに、クイックアシストがWindows 10/11の標準で利用できることを知っておくと安心です。いざというときにクイックアシストの使い方の支援が必要になると厄介なので、事前に使い方も知っておいた方がよいでしょう。

さらに新しいクイックアシストの使い方

 ストア版クイックアシストがインストールされている場合(Windows 11 バージョン22H2は標準搭載)、「スタート」メニューの「すべてのアプリ」に「クイックアシスト」が見つかるので、支援(サポート)する側とされる側のそれぞれが「クイックアシスト」をクリックして起動します。

 サポートする側は、「Microsoftアカウント」または「組織アカウント」でサインインする必要があります。「ユーザーをサポートする」をクリックしてサインインすると、セキュリティコードが表示されるので、それを何らかの方法(電話やメール、LINEなど)で相手(サポートされる側)に伝え、セキュリティコードを入力してもらいます(画面1)。

画面1 画面1 サポートする側(画面左)はセキュリティコードをサポートされる側(画面右)に伝え、入力してもらう

 サポートされる側には「画面共有を許可しますか?」と表示されるので、「許可」をクリックします(画面2)。サポートする側は許可されるのを待ちます。

画面2 画面2 サポートされる側(画面右)は画面共有を「許可」する

 接続が完了すると、黄色い枠で囲まれた画面がサポートする側、サポートされる側の両方に表示されます。サポートする側にとって、黄色い枠内はサポート対象のリモートPCの画面です。サポートされる側にとっては、現在、共有されている画面を示します。

 以前のクイックアシストでは接続が完了すると両者が画面を操作できる状態になりましたが、新しいクイックアシストではサポートする側は「参照専用」での接続となります。リモート画面を操作したい場合は、「制御を要求」をクリックし、サポートされる側に「許可」してもらう必要があります(画面3)。

画面3 画面3 サポートする側(画面左)は画面の制御を要求し、サポートされる側(画面右)はそれを許可する

 リモート画面を制御する際には、サポートする側には少し注意が必要です。リモート画面は既定でサイズが調整されますが、デバイスの解像度の違いによってはリモート側のタスクバーが表示外に出てしまい、操作できないことがあるのです。それを知らないと、誤って自分のタスクバーを操作してしまい混乱するに違いありません。

 画面サイズを実際のサイズに合わせると、縦横にスクロールできるようになるので、下にスクロールしてリモート側のタスクバーにたどり着くことができるでしょう(画面4)。

画面4 画面4 画面解像度の違いによっては、リモート側のタスクバーが表示外にあって、誤って自分のタスクバーを操作してしまうことがある。その場合は実際の画面サイズで表示して下にスクロールする

 リモート画面制御の他には、新機能である「レーザーポインターの表示」「注釈の書き込み」「チャット」(旧版クリックアシストでは「命令チャネルの送信/受信」と表現されていました)が可能です(画面5)。

画面5 画面5 サポートする側から操作するレーザーポインター(画面左)や注釈(画面右)は、サポートされる側の画面上にも表示される

 ただし、チャット機能については、以前からそうなのですが、英数字記号以外は送受信できないというバグが引き続き残っています。つまり、日本語(漢字や平仮名、片仮名、全角数字など)を入力して送信しても、相手は受信できません(画面6)。

画面6 画面6 チャット機能では、あいかわらず日本語を送受信できないというバグが残っている

旧版クイックアシストも新しくなった!

 記事冒頭で挙げた筆者の別連載では、Windows 10で旧版クイックアシストを起動すると、ストア版クイックアシストをインストールするように誘導されたと説明しましたが、現在はそのようなプロモーションは行われていないようです。

 ストア版クイックアシストがインストールされていない場合でも、引き続き「QuickAssist.exe」の実行、または[Ctrl]+[Windows]+[Q]ショートカットキーで旧版クイックアシストを起動して利用できます。

 デスクトップアプリである旧版クイックアシストもその後の品質更新プログラムで置き換わったようで(おそらく2023年2月のBリリース)、ストア版クイックアシストとUIがそろったものになっています。レーザーポインターなど一部の新機能の使用は制限されますが、ストア版クイックアシストとの相互接続が可能です(画面7)。

画面7 画面7 サポートする側のストア版クイックアシスト(画面左)からサポートされる側のWindows 10の旧版クイックアシスト(画面右)への接続。逆方向も可能

 なお、Windows 10にストア版クイックアシストがインストールされている場合は、「スタート」メニューからクイックアシストを起動しないと、ショートカットなどではストア版クイックアシストではなく、旧版クイックアシストが起動することに注意してください。

 ただし、旧版とストア版のクイックアシストが違和感なく相互接続できるようになり、柔軟になったことは良いことです。何が何でもストア版クイックアシストに移行しなければならなかった少し前までとは、状況が大きく変わりました。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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