ノークリサーチはユーザー企業とIT企業の「すれ違い」に関する分析結果を発表した。期待される成果をまず掲げて、そこから逆算して必要な費用を示すという進め方が有効だとしている。
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ノークリサーチは2023年7月3日、ユーザー企業とIT企業の「すれ違い」に関する分析結果を発表した。これは、ITに関する製品やサービスを導入する際の課題について、提供側(IT企業)と利用側(ユーザー企業)にヒアリングした結果をまとめたもの。それによると、ユーザー企業とIT企業で「導入を妨げている要因の解釈」が大きく異なっていることが分かった。
IT企業に「ユーザー企業へITの導入提案をする際に何が障壁になるか」と聞いたところ、「文化/慣習」「予算確保」を挙げたIT企業の割合は2割前後だった。だが、同様の質問をユーザー企業にしたところ、文化/慣習や予算確保をIT導入の障壁として挙げたユーザー企業の割合は1割に満たなかった。
ユーザー企業が考える“ITの導入提案の障壁”で最も多かったのは「DX(デジタルトランスフォーメーション)/ITの理解内容」で11.9%(複数回答、以下同)。次いで「経営層の理解不足」(11.1%)、「現場部門が非協力的」(10.0%)が挙がり、「従来の文化/慣習」(9.4%)は4位だった。ノークリサーチは「こうした要因が複合的に作用してIT導入を阻んでいる。IT企業が『ユーザー企業の文化や慣習だけが課題』と捉えてしまうと、ユーザー企業との間にすれ違いが生じてしまう」と分析している。
一方、IT企業がITの導入提案をしようとする際に直面する課題は「ユーザー企業が十分な予算を確保できていない」が最も多く、19.8%(複数回答、以下同)だった。だが、ユーザー企業に対する調査では、予算確保を課題として挙げたユーザー企業の割合は8.1%にすぎず、最も多かったのは「費用に見合う効果を得られる確証がない」で、24.0%だった。
こうした調査結果からノークリサーチは、「ユーザー企業側が『予算を確保できない』と言った場合は、本当に予算を捻出できないのではなく、費用対効果の確証が得られないことが要因である可能性がある。そのため、IT企業にとって期待される成果をまず掲げて、そこから逆算して必要な費用を示すという提案の進め方が有効だ」と提言している。
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