RustプロジェクトがRustプログラミング言語に関する年次調査「State of Rust」の2022年版の結果を発表した。1万超の回答を基に、Rustの使用をやめた理由、使わない理由、Rustを職場で使用する理由、将来の懸念などを明らかにした。
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Rustプロジェクトは2023年8月7日(米国時間)、Rustプログラミング言語に関する年次調査「State of Rust」の2022年版の結果を発表した。以下、調査の内容を要約する。
2022年の調査への回答は1万1482件。調査回答者の90%以上がRustユーザーと判明し、Rustユーザーの回答者に、住んでいる国を尋ねたところ、上位13カ国は次の通り。回答者の72.5%がこの質問に答えることを選択した。
米国(25%)、ドイツ(12%)、中国(7%)、英国(6%)、フランス(5%)、カナダ(4%)、ロシア(4%)、日本(3%)、オランダ(3%)、スウェーデン(2%)、オーストラリア(2%)、ポーランド(2%)、インド(2%)
Rustを使用しているユーザーのうち47%が毎日Rustを使用しており、前年から4ポイント増加している。
Rustユーザーの回答者の30%はRustで簡単なプログラムを作成でき、27%は本番環境に対応したコードを作成でき、42%はRustを使用して「生産性が高い」と考えている。
一方、調査に回答した元Rustユーザーのうち30%が、諦めた主な理由として「難しさ」を挙げ、約47%が「自分で制御できない」という要因を挙げた。
同様に、Rustユーザーではないと自認する人の26%が、Rustを使用していない主な理由として「難しさ」への認識を挙げている(62%は、単に「Rustの学習を優先する機会がまだないだけだ」と報告している)。
Rustの成熟度の高まりは、2022年にこの言語を利用する組織の数が増加していることからも分かるという。回答者の29.7%が「職場でのコーディング作業の大部分にRustを使用している」と述べており、これは前年と比較して51.8ポイント増加している。
プロフェッショナルな環境でRustを使用する主な理由としては、「バグのないソフトウェアを作成できる」という認識(86%)、Rustのパフォーマンス特性(84%)、Rustのセキュリティと安全性の保証(69%)が挙げられる。また、回答者の76%が、「Rustが楽しいと感じたから」という理由だけでRustを使い続けている(ここでは回答者が複数の選択肢を選択できるので、数値の合計が100%になるわけではない)。
仕事でRustを使用した回答者のうち、72%が「チームの目標達成に役立った」と報告し(前年比4ポイント増加)、75%は今後もチームでRustを使用し続ける計画を持っている。
一方で、職場で適用されている他の言語と同様、Rustの学習曲線は重要な考慮事項だ。専門的な立場でRustを使用している回答者の39%は、そのプロセスが「挑戦的だ」と報告している。回答者の9%は、職場でRustを採用することで「チームの速度が低下した」と回答した。一方で、生産性の高いユーザーの60%は、「Rustには導入コスト以上の価値がある」と感じている。
Rustプロジェクトは「プロフェッショナルなRustの使用が継続的に増加し、多くのユーザーがそのパフォーマンス、制御、セキュリティと安全性、楽しさなどに対して信頼を感じているのを見るのはとてもうれしい」としている。
State of Rust調査の主な目的は、Rustユーザーが現在抱えている課題、懸念、優先事項を明らかにすることだという。
Rustの将来に対する主な懸念を共有した回答者のうち、26%が、Rustの背後にある開発者とメンテナーが適切にサポートされていないことを懸念している。これは、2021年の調査結果から30%以上減少した。Rustプロジェクトは「将来の焦点の一つは、Rust Foundationと連携したプロジェクトが、どのようにしてその数字を0%に近づけ続けることができるかを見ることかもしれない」としている。
38%が、Rustが「複雑になり過ぎる」ことを懸念しているが、ドキュメント、企業の監視、進化の速度を懸念している回答者は少数だった。回答者の34%はRustの将来について全く心配していない。
Rustプロジェクトは「2022年の調査は、前回の調査以来、業界でのRustの使用に対する懸念が21%減少したことを反映している。より多くの人々がRustを見つけ、コミュニティーの永続的なメンバーになるにつれて、Rustの持続力と一般的な有用性に対する信頼が高まっている。いつものように、皆さんの正直なフィードバックと、この言語を全ての人のために改善する献身的な取り組みに感謝している」としている。
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