3つ目の、「仕事が生活の一部だから」について。
少し話がずれますが、先日、ある経営者と話をする機会がありました。その方は、常にメモを持ち歩いていて、寝るときもメモを枕元に置いているのだそうです。その理由は、「アイデアがいつ降ってきてもいいように」。
私も似ているところがあります。業務時間外も仕事のことを考えていることが多く、それがあまり苦ではありません。
もちろん、これは人それぞれでしょう。あまり根を詰め過ぎると「あぁ、少し仕事から頭を切り離した方がいいな」と思う時もあります。でも、仕事のことを日常的に考えていることが、悪いことだとは思っていません。
そのために、業務時間外にメールやチャットが入っても「いまは業務時間外だから」という感覚がほぼないのだろうと、自分では分析しています。
ちなみに「ワークライフバランス」といいますが、私にとって仕事は、生活(人生)とのバランスをとるものではなく、人生の一部です。
4つ目の、「相手と信頼関係があるから」について。
「業務時間外でもメールやチャットの返信をする理由」について1〜3まで書きましたが、よくよく考えてみると、4つ目の理由が一番大きいかもしれません。
社内外にかかわらず、知人との連絡手段はチャットが多いです。出会ったきっかけは仕事でも、やりとりするうちに「この人は信頼できるな」とか、「この人とは気が合うな」となってくると、相手のSNSの発言や画像に「いいね!」を押したり、コメントを付けたりします。メッセージもその延長になっていきます。
そうなると、「同僚や顧客」というよりも「信頼できる人とのやりとり」になるため、仮に午後10時ごろ、知人から「こんなアイデアが浮かんだんですけど、どう思います?」とか、「○○について、ちょっと教えてもらってもいいですか?」みたいなメッセージが送られてきても苦ではありません。
というよりも、「これは業務だ」「これは業務じゃない」みたいな境界がないため、むしろ「相談してくれてありがとう」と思うことすらあります。
もっとも、真夜中にメッセージを送るのは、さすがにどうかと思いますが(笑)。でも、お互いに信頼できる間柄なら、別に悪いことじゃないなと思っています。
業務時間外のメールやチャットについてお話ししてきました。
デジタルツールの発展で、連絡が気軽にできるようになりました。その分、業務に対する時間の考え方が曖昧になりがちです。
基本的な考え方として、業務時間外の連絡は「業務時間外なのだから、反応しなくてもいい」でしょう。また、業務時間外の連絡が過度にあると「ちょっと、いいかげんにしてくれないかな」と思うのも当然です。
一方で、片付けられるものは、サクッと片付けて「明日に持ち越さない」のも一つの選択かなと思いますし、急ぎの用があるときや、緊急事態のときなど、早めに対応した方がいい場合もあります。信頼関係があれば、メッセージはむしろうれしいときもあります。
そう考えると、過度に「業務時間外は返信しない!」としていると、ときに損をすることもあるかもしれませんね。最終的には「相手との信頼関係」なのかなと思います。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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