Microsoft、ExcelでPythonを使える「Python in Excel」のプレビュー版を公開ExcelのセルにPythonコードを入力し、高度な分析が可能

Microsoftは、「Microsoft Excel」でプログラミング言語「Python」を利用できる「Python in Excel」のパブリックプレビュー版をリリースした。

» 2023年08月28日 08時00分 公開
[@IT]

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 Microsoftは2023年8月22日(米国時間)、「Microsoft Excel」でプログラミング言語「Python」を利用できる「Python in Excel」機能のパブリックプレビュー版をリリースしたと発表した。この機能により、Excelで利用可能な分析機能が大幅に進化するとしている。

Python in Excelでデータをシームレスに集計、可視化できる(提供:Microsoft) Python in Excelでデータをシームレスに集計、可視化できる(提供:Microsoft)

 Python in Excelでは新しいPY関数を使って、ExcelのセルにPythonコードを直接入力できる。Pythonの計算はMicrosoft Cloudで実行され、プロットや可視化を含む結果がワークシートに返される。

 Python in Excelのパブリックプレビュー版は、Excel for Windowsのβチャンネルを使用して、Microsoft 365 Insiderプログラムの参加者向けに展開されている。

Pythonライブラリを利用した分析に対応、Pythonコードはクラウドで実行

 Python in Excelにより、同じワークブックでPythonとExcelの分析機能をネイティブに組み合わせることが可能になった。

 Excelユーザーは、可視化、機械学習、予測分析、データクリーニングなどのために、Pythonの強力な分析機能にアクセスできる。PythonとExcelをシームレスに組み合わせたソリューションを全てExcel内で作成できる。

 Excelに内蔵されたコネクターとPower Queryを利用することで、外部データをExcelワークフローのPythonに簡単に取り込める。Python in Excelは、数式、ピボットテーブル、Excelチャートなど、ユーザーが使い慣れているツールと互換性がある。

 Python in Excelで利用可能になった分析機能の例を以下に示す。

高度な可視化

 MatplotlibやseabornのようなPythonライブラリを利用して、従来の棒グラフや折れ線グラフから、ヒートマップ、バイオリンプロット、群プロットのような特殊な可視化まで、多種多様なチャートを作成できる。

seabornを使ったペアプロット(提供:Microsoft) seabornを使ったペアプロット(提供:Microsoft)

機械学習、予測分析、予測

 scikit-learnやstatsmodelsなどのPythonライブラリを使って、回帰分析、時系列モデリングなどの一般的な機械学習、予測分析、予測手法を適用できる。

PythonとExcel LAMBDAを使用して天気を予測する機械学習モデル(提供:Microsoft) PythonとExcel LAMBDAを使用して天気を予測する機械学習モデル(提供:Microsoft)

データクリーニング

 欠損値の特定、フォーマットの標準化、重複の削除、パターンベースの変換のための正規表現のような手法など、高度なデータクリーニング手法を効率的に利用できる。

正規表現による日付の抽出(提供:Microsoft) 正規表現による日付の抽出(提供:Microsoft)

Pythonディストリビューションの「Anaconda」を採用

 Python in Excelは、「Microsoft Azure」で動作する「Anaconda Distribution for Python」を利用している。Anacondaは、世界中の数千万人のデータ実務家が使っているPythonディストリビューションだ。このディストリビューションは最も一般的なPythonライブラリ(pandas、Matplotlib、scikit-learnなど)を含んでおり、Anacondaで安全にビルド、テスト、サポートされている。

セットアップは不要

 Excelで使用されるPythonコードはMicrosoft Cloud上で実行されるため、ローカルでPython環境を構築する必要がない。Microsoft Cloud上で、Azure Container Instancesと、Anacondaの安全なソースビルドパッケージを使用して、ハイパーバイザーで分離された固有のコンテナで実行される。これにより、エンタープライズレベルのセキュリティが確保される。

チームで安心して共有

 ユーザーは、Python in Excelワークブックを安心して共有できる。チームメンバーは、追加のツールやPythonランタイムのインストール、ライブラリや依存関係の管理を気にすることなく、Python in Excelベースの分析結果をシームレスに操作したり、更新したりできる。Excelで通常行うように、「Microsoft Teams」や「Microsoft Outlook」などお気に入りのコラボレーションツールを使って、ワークブックを共有し、シームレスに共同作業もできる。Pythonを含むワークブックに適用される機密ラベルにより、チームメンバーは組織の情報保護ポリシーに準拠して作業ができる。

 Python in Excelは、Excel for Windowsのβビルド(16.0.16818.20000)から展開が開始されており、他のプラットフォームにも展開される予定だ。

 プレビュー期間中、Python in Excelは「Microsoft 365」サブスクリプションに含まれる。プレビュー終了後は一部の機能は、有償ライセンスがない場合は制限される。詳細は、一般提供の開始前に発表予定としている。

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