「主体性を持て」「自立しろ」というけれど、どうすればいいの?仕事が「つまんない」ままでいいの?(107)(3/3 ページ)

» 2023年11月15日 05時00分 公開
前のページへ 1|2|3       

キャリアの主体性を持ち、自立するためには

 では、不確実性が高く正解がないいまの時代に、会社の中にいながらも主体性を持ったり自立したりするためには、どのような行動をし、マインドを身に付ける必要があるのでしょうか。

 1つは、「環境変化に対して、他責ではなく自責で対応していく」ことです。

 私事で恐縮です。いまでこそ、自分は比較的主体性がある方だと思いますが、必ずしも最初からそうだったわけではありませんでした。

 主体性を持つようになったきっかけは、ネガティブな要因です。当時、所属していた組織の上司からプレッシャーやストレスをかけられ、その状況がかなりしんどかったために、「こんな環境で働くのはもうイヤだ!」「何とかしたい!」という気持ちが起きました。

 本稿をお読みの皆さんの中にも、思い通りにならない環境で働いている方が多いと思いますが、ネガティブな要因も主体性を持つきっかけになります。もし、目の前の環境があまり良くない状況だったら、まずは「目の前の環境をどうにか改善できないか?」といったことを考え、自分の半径2メートルからできそうなことをやってみるのはどうでしょうか。

 「上司が悪い」とか「会社が悪い」のような他責にしていると、状況はなかなか変わりませんが、自責にすることで、主体性や自立心が育まれますし、自分の周囲から少しずつ問題を解決していくことで、「やればできるかも」という気持ちが芽生えます。それが、主体性や自立心につながります。

社外に出ることが刺激になる

 もう1つは、社外に出てみること。

 先日出会ったある大企業にお勤めのAさんは、自身のキャリアについて悩んでいました。でも社内には、キャリアの自立にチャレンジするような機会や制度はありません。

 「いままでの経験を生かして、何かできないか?」と思ったAさんは、地方の課題解決に関心がありました。そこで、あるコミュニティーのWebサイトから「自分にできそうなことはないか?」と問い合わせたそうです。僕とAさんはそこで知り合いました。話をしたら意気投合。「今度○○のミーティングがあるので、一緒にどうですか?」とお誘いしました。

 会社の中にいると、同じような考え方や価値観の人が多いために、主体性や自主性を育む機会はあまりありません。

 ですが、全く異なる環境に身を置いたり、価値観が異なる人たちと話をしたりすると、自分の当たり前が世間では当たり前じゃないことに気付いたり、「いまのままだとまずいんじゃないか」と感じたりすることがあります。

 このような気付きや発見が、キャリアの主体性につながるのではないでしょうか。

主体性とは「自分の中に宿る思い」

 キャリアの主体性と自立についてみてきました。

 主体性について改めて調べてみると、何をすべきか決められていないことに対し「自分の意志や判断で行動しようとする態度」とありました。

 「自分の意志」というのが、ポイントだと思いました。

 主体性とは「持て」といわれて持てるものではなく、誰かから「与えられる」ものでもありません。自分の中で生じる「何か」によって生じるものです。そういう意味では、主体性の入り口は、自分の中に起こっている違和感や気付きなのかもしれませんね。

 それを、自分の意志として強くしていくためにも、小さな違和感や気付きを大切にすること。「普通は○○だから」といった外側の価値観に振り回されないようにすること。そのためにも自分にウソをつかないこと。そして、小さな行動を積み重ねていくこと。

 まずは、この辺りが大切なのかもしれません。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。