NTTと九州大学は、OSSコミュニティーの活動実態に関する調査レポート「OSSの神話と真実」を公開した。GitHubのリポジトリに蓄積されたデータを分析、評価することで、OSSにまつわる通説を科学的に検証した。
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NTTと九州大学は2023年12月4日、OSS(オープンソースソフトウェア)コミュニティーの活動実態に関する調査レポート「OSS Myths and Facts(OSSの神話と真実)」を公開した。
両者によると「OSSコミュニティーはワークスタイルの先進性や柔軟性から注目を集めているが、真偽不明なさまざまな情報や意見が飛び交っている」という。本レポートはそういった「OSSの神話」を科学的に分析したもの。検証した神話は以下の6つ。
調査を実施したのは、NTTコンピュータ&データサイエンス研究所の特別研究員を務める斎藤 忍氏と、九州大学システム情報科学研究院の教授で副研究院長を務める鵜林尚靖氏らの共同研究グループ。OSS開発に利用されている「GitHub」のリポジトリ(4万件以上)に蓄積された40万人を超える開発者の活動データと約230万件を超えるコミュニケーションデータを分析、評価することで、こうした通説を科学的に検証した。
例えば「OSSコミュニティーは終わるのも早い」という“神話”について、OSSの経過期間とそのOSSコミュニティーの生存率を調べたところ、4年後の生存確率は50%を超えており、同研究グループは「今活動をしているOSSコミュニティーの半数は、4年後も継続して活動している可能性が高い」と結論付けている。「OSSコミュニティーは眠らない」という“神話”については、OSSコミュニティーの活動時間帯が北米のオフィスアワーに偏っていることを見いだし、「北米の深夜時間帯には、世界中のOSSコミュニティーの人々も活動していない(眠っている)」としている。
鵜林氏は「世の中の働き方がソフトウェア化している中、その代表的なものがOSSコミュニティーのワークスタイルだ。世の中的にはOSSコミュニティーは理想郷であるような通説が存在しているが、調査結果からは、それが真実ではないということが分かった」と述べている。
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