「Copilot for Microsoft 365」をすぐに利用できる企業、できない企業企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内(28)

Microsoftは2023年11月1日(米国時間)、Microsoft 365のサービスの一部として「Microsoft 365 Copilot」を一般公開しました。現状、この新しいサービスの提供範囲は一部の大企業に限られています。その後、Web用「Copilot」(旧称、Bing Chat/Bing Chat Enterprise)の一般提供開始に合わせ、リリースから1カ月で「Copilot for Microsoft 365」に名称変更されました。

» 2023年12月26日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内

仕事の仕方を劇的に変える? Copilot for Microsoft 365

 「Microsoft Copilot for Microsoft 365」(以下、Copilot for Microsoft 365)は、「Microsoft 365」アプリや「Microsoft Graph」(大規模データアクセスに使用される分散型プログラミングモデルを提供するサービス)など、毎日使用する生産性アプリを補助するAI(人工知能)搭載のデジタルアシスタントツールです。「Microsoft Word/Excel/PowerPoint/Outlook/Teams」といったMicrosoft 365アプリはCopilot for Microsoft 365と連携して、ユーザーの作業をサポートします。例えば、コンテンツの作成や要約、プレゼンテーション用のカスタム画像生成、オンライン会議の内容まとめなどです。

Copilot for Microsoft 365のセットアップガイドを実行してみたら……

 Copilot for Microsoft 365を利用するためのセットアップ方法は複数あります。その1つが「Microsoft 365管理センター」の「Microsoft Copilot for Microsoft 365セットアップガイド」(旧称、Microsoft 365 Copilotセットアップガイド)」です(画面1)。

 しかし、現状、どのMicrosoft 365テナント(契約)でも料金(ユーザー1人当たり月額30ドル)を払えば利用できるというわけではありません。対象外のテナントでこのセットアップガイドを進めても、「ライセンス」のステップではじかれてしまいます(画面2)。

画面2 画面2 筆者のMicrosoft 365テナントでは、Copilot for Microsoft 365を利用できない

 Microsoftは、将来的には中小規模(スモールビジネス)およびコンシューマーに対してもCopilot for Microsoft 365の提供を予定しているようですが、現在、提供中なのは大規模企業向けの「Copilot for Microsoft 365 for enterprise」です。具体的には、以下の要件を満たす必要があります。

  • Microsoft 365 E3またはE5ライセンス
  • 従業員が300人以上の組織

 また、現状、Copilot for Microsoft 365のライセンスは、Microsoftのアカウント担当者、または「Microsoft Edge for Business」のCopilot(旧称、Bing Chat Enterprise)を通じて問い合わせ、購入する必要があります。なお、Copilot for Microsoft 365のこれらの制限は一時的なもので、今後数カ月のうちに、より広範囲にロールアウトされる予定です。

月額30ドルの強気の価格設定、その機能は価格に見合うのか?

 Copilot for Microsoft 365は、ワールドワイドに提供され、日本語もサポートされています(Excelは英語のみサポート)。しかし、現状、大規模企業限定で提供される上、以下の「よく寄せられる質問」に書いてあるように、Microsoft 365アプリのCopilotの一部は“プライベートプレビューで限定されたユーザー”にのみ提供されているということです。

 この状況にあって「月額30ドル」という価格は、Microsoft 365 E3がユーザー1人当たり月額36ドル(約5200円、2023年12月20日現在)であることを考えると、その機能が価格に見合うものなのかどうか、導入前に知りたいと思うでしょう。しかしながら、無料評価版は用意されていません。

 Microsoftによると、Copilot for Microsoft 365の「早期アクセスプログラム」に参加した企業ユーザーの多くが、ドキュメントやメール作成の時間短縮、参加できなかったミーティング内容を短時間でキャッチアップできる機能などを試し、もうCopilot for Microsoft 365なしでは仕事ができないと評価しているようです。それでも、導入にはコストが大きな障壁になると思います。

 Copilot for Microsoft 365では具体的にどのようなことができるのか、アプリごとの使用例が以下のサイトで公開されているので、まずはこちらを参考にするとよいでしょう(画面3)。

画面3 画面3 Copilot for Microsoft 365の使用例

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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