@ITはエンジニアにとって役立つさまざまな情報を掲載している。その中でもプログラミング言語に関する記事は注目度が高い。そこで本稿は、2023年12月から2024年2月までに@ITに掲載されたプログラミング言語関連のニュースを編集者の目線でまとめ、解説する。
エンジニアとプログラミング言語は切っても切れない関係だ。この先、何年も食っていけるように需要の高い言語を習得しようとするエンジニアもいるし、先進技術に関わる言語を覚えることで自身のキャリアをステップアップさせようと考えるエンジニアもいる。ただ、プログラミング言語には「はやり廃り」がある。どの言語が自分の目的に合うのか、一過性の流行に惑わされないように大まかな流れを俯瞰(ふかん)することが大切だ。
そこで本稿は、2023年12月から2024年2月までに@ITに掲載されたプログラミング言語関連のニュースを編集者の目線でまとめ、解説する。
プログラミング言語のランキングに関するニュースは幾つかあるが、その指標は企業によってさまざまだ。これは、開発するサービスの目的や用途、また立場によって最適なプログラミング言語は異なるからだ。本稿では「案件単価」「人事採用」「話題性」「給与」という4つの視点から見たランキングを取り上げる。
フリーランス向け案件紹介サービスを提供するパーソルキャリアは「案件単価」を指標にしたランキングを発表している。企業がフリーランスに求めるのは“即戦力”だ。単価が高いということは、それだけ必要性が高く、関わるプロジェクトもその企業にとって重要度が高いものなるだろう。IT業界で長らく指摘されている人材不足は一層加速しているようで、パーソルキャリアは「人材不足が深刻化する状況下で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める企業が増えたことが、平均月額単価を押し上げている」と分析している。なお、記事中におけるランキングでは「TypeScript」が1位となっている。
コーディング面接に使われるWebサービスなどを手掛けるCoderPadも、企業の需要に注目したランキングを発表している。このランキングの特徴は、技術者の採用担当者、人事リーダー、採用マネジャーなどに調査した結果を基にしていることだ。人事担当としては、自社のビジネス目標を長期的に達成するため、将来の可能性も加味した言語選択が必要となる。もちろん、開発に直接関わらない人事担当にとっては難題だ。同社も「人事にとって、社内外から採用する技術者のスキルの優先順位を決めることは難しい」と述べている。なお、記事中におけるランキングでは「Python」が1位となっている。
定期的にプログラミング言語のランキングを発表しているのはTIOBE Softwareだ。通称「TIOBEインデックス」としてプログラミングの人気度をランキング化したものを、月次で更新、発表している。同社が使う指標は「その言語を使うエンジニアと学習講座、サードパーティーベンダーの数」だ。「今、話題になっている言語のランキング」と捉えてもいいだろう。ただ、同社も指摘しているように「話題になっているから優れた言語だ」とは言い切れないので、その点は注意が必要だ。
TIOBEインデックスの特徴は、その更新頻度の高さにある。毎月少しずつ(時には大幅に)変わるランキングを定期的に確認することで、言語のはやり廃りはもちろん、「今後どういった技術が注目されるのか」などの知見を得ることができるだろう。なお、記事中におけるランキングでは「Python」が1位となっている。
外国人ソフトウェア開発者向けに日本での就職支援サービスを提供しているTokyoDevは、給与面に注目したランキングを発表している。これは日本在住の外国籍エンジニアを対象に、利用している言語と平均給与について尋ねたもの。記事中におけるランキング1位の「Kotlin」については「1590万円」となっている。対象者の勤続年数や役職、勤めているのが外資系企業なのか日本企業なのかなど細かな部分は不明だが、筆者の感覚としては高額な部類に入る。給与面での改善を考えているエンジニアにとっては興味深いランキングとなっている。
プログラミング言語は無数にあり、全て習得するのは難しいため、ある程度は絞り込む必要があるだろう。本稿で紹介した4つの視点のランキングを参考に、まずは自分の要件(プログラミング言語に求めるもの)を明確にすることから始めてみてはどうだろうか。
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