5歳くらいのとき、父と「これは何?」「CPUだよ」と遊んでいたGo AbekawaのGo Global!〜アゼストの張さんfrom中国(前)(2/2 ページ)

» 2024年04月01日 05時00分 公開
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眠らずがんばった競技会

阿部川 中国の教育のシステムは日本と同じですか? 小中高大、といった感じで。

張さん そうです。後ほど数学に変わりますが、小学校から大学までずっと算数が好きでしたよ。宿題をするときは、必ず最初に算数をやると決めていました(笑)。

画像 高校卒業時の張さん

阿部川 ばっちり理系というわけですね。大学も理系である山東大学の統計学部 応用数学学科に進学されました。どういったことを学んだのですか。

張さん 大学1年生は基本の微分積分から学び、2年生からは、数理モデルなどを学びました。3年生のときにはコンペにも参加しましたね。中国では、大学生が数理モデルを作るコンペティション(競技会。以下、コンペ)があります。国内の数学科で学ぶほぼ全学生がそのコンペに参加します。

 数学担当の2人とコンピュータ担当の1人、計3人で1つのチームを組みます。数学担当はモデルを作成して、コンピュータ担当がコーディングします。みんな、これを目標にして勉強していました。

阿部川 それはどうやって勝ち負けが決まるのでしょうか。

張さん 私が参加したときは「猫の画像識別」でした。200枚ぐらいの画像を渡されて、ベンチマークデータとして使って、識別の確立の高さを競うといった内容でした。

阿部川 なるほど。まさしくモデリングを競うわけですね。結果はどうでしたか?

張さん 大学全体で200チームぐらい参加して、そこではいいところまで行けたのですが、全国規模ではあんまり……。

画像 阿部川 “Go”久広

阿部川 大学だけで600人ぐらい参加して、それを中国全土でやるとなると、何万人規模ですね。学内で上位に入るだけでも大変です。でも、楽しかったでしょう?

張さん 楽しかったです! でも、全然眠れなくて。コンペの3日間はみんな眠れなくて、コーヒーを飲みながら一生懸命作りました。

阿部川 そのころから、エンジニアになると決めていたのですか?

張さん まだですね。コンピュータサイエンスというよりはまだ数学に目が向いていました。実は数学の先生になろうと考えていて、塾で教えることにも挑戦してみました。ですが、残念ながら合わないと感じたので別の方向を考えていました。

数学を生かした仕事をするために、ドラマで見た日本へ

阿部川 もしかして早稲田大学の大学院に進んだことに関係していますか。

張さん はい。先生は向いていないと分かって別の方向を考えたとき、せっかくなら数学の知識を使える分野がいいなと思いました。いろいろ調べたところ、早稲田大学の研究室のWebサイトに「大規模なデータの分析」に関する紹介がありました。論文なども読んで「これやりたいな」と思ったので、研究室を訪問して話を聞き、入学を決めました。

阿部川 自身で調べて、自分で門をたたいて、受験して。真っすぐですね、素晴らしいです。早稲田以外の大学は考えなかったんですか。

張さん 全然考えませんでした。早稲田大学は中国でも有名です。東京大学よりも有名なんじゃないかな。理由は分からないのですが。

阿部川 しかし、そのとき初めて来日されたわけですよね。日本語はどうやって勉強したのですか。

張さん 最初は日本のテレビドラマで覚えました。中学校くらいだったと思います。ちなみに日本に興味を持ったのも、ドラマがきっかけです。初めは全然分からなかったのですが、だんだん「こんにちは」のような簡単な言葉が少しだけ分かってきて。高校生のときに平仮名と片仮名を覚えると、分かることが増えていきました。

阿部川 大好きだから一生懸命繰り返してやったんでしょうね。抜群の勉強方法ですし、しっかり成果が出てますね。

編集鈴木 当時見ていたドラマのタイトルは覚えていますか。

張さん 『ブラッディ・マンデイ』です。三浦春馬さんと佐藤 健さんが出ていた、ハッカーの話です。他には『カルテット』というドラマも好きでした。

編集鈴木 そういったドラマを見て「日本に行ってみたいな」と思ったのですね。

張さん はい。英語も外国語ですが、言語というよりは「科目」と捉えていました。でも日本語は「他の人に自慢したい」といった感じで興味が出たんですよね。それで、日本に行ってみたいな、どのぐらい日本語を理解できているのか試したいな、と挑戦する気持ちが湧いたのです。


編集中村 編集 中村

 「(日本語は)誰かに自慢したくなる」と言われると何だかうれしいですね。しかし、勉強した言語がどこまで通じるか挑戦したい気持ちは共感しますが、私ならせいぜいバーで外国の人に話し掛けるくらいです。そのために海まで渡っちゃう張さんは行動力も素晴らしいですね。


阿部川 そうして早稲田大学の大学院に進学します。大学院でも数学専攻なのですね。

張さん はい。主に機械学習を学びました。

阿部川 卒業論文は、どのようなテーマだったのですか。

張さん 2つあります。1つ目は、レコメンドシステムです。よくある「買い物のレコメンドシステム」に多様性を入れるならどんなやり方があるか、といったテーマでした。2つ目は共同研究で、ECサイトのどのページを見たら購買する確率が高くなるのかという研究をやりました。

阿部川 その論文、きっと今のお仕事にも生きてますね。


 算数好きとドラマ好きが講じて、日本の大学に進学した張さん。きっと、「難問を解く楽しさ」が」その原動力になっていたのだろう。後半は日本での暮らしと今後の展望について。

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