仕事をしていると、面倒くさくて、できれば関わりたくないこともあるでしょう。「会議の進行」とか、いろいろな取り組みの「部署の代表」とか、「飲み会の企画」とか。
このような、周りの人がしたがらないことをやってみると、そこから得られるものが意外と大きいことに気付くと思います。
例えば「会議の進行」は、ファシリテーション能力や、場をうまくまとめる力が身に付きます。
企業によっては会社の風通しを良くするために、いろいろな部署から人を募って「○○プロジェクト」や「意見交換会」などさまざまな取り組みをしていることがあります。そういった場に参加するとさまざまな部署の人とつながりができますし、そういった場に参加する人の多くは前向きです。
「飲み会の企画」は、いろいろな人の好みを聞いたり、時間配分を考えたり、場を仕切ったりしなければならないために、ぶっちゃけ面倒くさいものです。ですが、間違いなく「場をコーディネートする力」が身に付きます。また、一部の参加者から「大変だったでしょう? ありがとうね」という感謝の言葉を聞くこともあります。
働き始めのころは、気持ちが張っていることもあって「頑張ろう!」と思っているでしょう。ところが、ある程度時間が経過して慣れてくると、思い通りにならないことやうまくいかないこと、「思い描いていた理想と違った」といったことが出てくることもあるかもしれません。
でも、ちょっとうまくいかなくても、すぐに諦めて、判断しないでほしいのです。
「2 自分ができることをする」のところで、僕が以前「ストレスが多い上司の下で働いていた」という話をしました。自分から関わり方を変えたからといって、すぐに周囲が変わったわけではありません。でも、1年続けていたら少し変化を感じました。2年続けたら周囲から聞こえてくる声が変わってきて、「あぁ、変わったな。やり切ったな」という気持ちになれました。
実はいまも取り組んでみたいことがあります。でも新しい試みなので、何から始めたらいいのか分かりません。そこで取りあえず、「こういうことを考えているんだ」ということをブログで毎日発信しています。
1年発信し続けた結果、何かが劇的に変わったわけではありません。でも、最近少しずつですが、「ブログを読んでいます」「今度、新たなプロジェクトを始めるのですが、一緒に関わってくれませんか?」といった声を聞く機会が増えてきました。
これらの経験を通じて思うのです。「続けていれば、何とかなる」と。
というわけで、今回のお話は、前に進んでいるのか/いないのか、成長しているのか/していないのか、うまくいっているのか/いないのか……そういった状況の中で、どう振る舞ったらいいのか? という内容でした。
一言でまとめれば、「取りあえず、一歩踏み出しましょう」とでもいいましょうか。
一見、ネガティブな内容のように思えたかもしれませんが、こういった状況を経験するのは必ずしも悪いことではないし、多くの人が経験するプロセスだと思います。当たり前の話ばかりで、何かの役に立ったかどうかは分かりませんが、「もう少し、がんばってみよう」「一歩踏み出してみよう」と思っていただけたら、本望です。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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