そこで、自分が知らない強みや得意なこと、個性や価値観などを棚卸しする、幾つかの問いを用意しました。他の人のことはあまり気にせずに、自分に素直になって書き出してみてください。
自分の強みや得意なこと、個性や価値観を考える際、「私の強みは何か?」「私はどうありたいのか?」みたいに、直接考えることが多いもの。しかし「私の強みは何か?」と考えても、「う〜ん。よく分かんない」となりがちです。
それならば、まずはその逆……つまり、「苦手なこと」「頑張らないとできないこと」「絶対にやりたくないこと」「関わりたくないこと」「苦手な人」「許せない人」のような、ネガティブなことから考えてみませんか?
なぜなら、強みは分からなくても、苦手なことなら洗い出しやすいし、「ありたい姿」よりも「こういうのは絶対にイヤだ!」の方が、感情レベルで素直になりやすいからです。
ネガティブな要素を十分に洗い出した後に、「○○は苦手だけど、□□ならそんなに頑張らなくてもできる」「○○は絶対にイヤだけど、□□なら自分らしくいられる」みたいに、ネガティブな要素の逆を考えると、ポジティブな要素が見えやすくなります。
最初に、自分の内側に意識を傾けて(つまり、内省をして)、ネガティブな要素を十分に洗い出してから、ポジティブな要素を考えるのがポイントです。
今回は、キャリアの主体性について見てきました。
少し話はずれますが、よく「主体的になれ!」とか、「自律的になれ!」とかいうじゃないですか。これって「変な言葉の使い方だな」と思っていて。
そもそも、「主体的になれ!」「自律的になれ!」と第三者から命令されている時点で、既に主体的ではないし、自律的でもない。もちろん、こうしてハッパを掛けることが全て無駄だとは思わないけれど、言葉の掛け方としては、やっぱり変です。
第三者からの「これからは、キャリアの主体性が大切だ!」に影響を受けて、見えない未来を無理に見ようとする。その結果「見えない」「分からない」と悩むよりも、「いま」や「過去」に目を向けて、「自分は何が苦手で」「何が嫌で」「でも、何が好きで」「どんな状態ならハッピーなのか」を考え、感じること。
このように「自分が知らない、自分」を知ることの方が、「自分にとって大切なことは、コレだな」とか、「これが大切なら、○○してみよう」のように自発的、自律的になれるし、未来に対する安心感も得やすいのではないかと思います。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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