本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「New-VHD」コマンドレットを解説します。
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本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、仮想ディスクを新規作成する「New-VHD」コマンドレットです。
仮想ディスクを新規作成する方法は、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)のツールでも幾つかあります。その一つが、Windows標準の管理ツール「ディスクの管理」から作成する方法です。
「ディスクの管理」ツールの「操作」メニューから「VHDの作成」を実行することで、仮想ディスクの作成画面が開きます(画面1)。この画面で「作成するパス」や「フォーマット」(VHDまたはVHDX)、「種類」(容量可変ディスクまたは容量固定ディスク)を指定することで仮想ディスクを作成できます。
Windows PowerShellで仮想ディスクの作成する場合は、今回紹介するNew-VHDコマンドレットを使用します。
New-VHDコマンドレットは、細かいパラメーターを指定して仮想ディスクを作成したり、「ディスクの管理」ツールでは作れない「差分ディスク」を作成したりできるため、仮想ディスクのさまざまなユースケースに対応できます。
【注】New-VHDは「Windows PowerShell用Hyper-Vモジュール」に含まれるコマンドレットです。GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)の「Windowsの機能の有効化」や「役割と機能の追加」からHyper-Vを有効にするか、Windows PowerShellで「Enable-WindowsOptionalFeature」コマンドレットで有効にすることで使用できます。
New-VHD [オプション]
オプション | 意味 |
---|---|
-Path | 仮想ディスクを作成するパスをファイル名と拡張子(VHDまたはVHDX)を含めて指定する |
-SizeBytes | 作成する仮想ディスクのサイズを指定する。「-Differencing」オプション使用時には省略可能 |
-Dynamic | 容量可変ディスクを作成する場合に指定する。省略可能 |
-Fixed | 容量固定ディスクを作成する場合に指定する。省略可能 |
-Differencing | 差分ディスクを作成する場合に指定する。省略可能 |
-BlockSizeBytes | ブロックサイズを指定する場合に使用する。省略可能 |
-LogicalSectorSizeBytes | 論理セクタサイズ(512または4096)を指定する場合に使用する。省略可能 |
-ParentPath | 差分ディスクを作成する際に“親”となる仮想ディスクのパスを指定する。「-Differencing」オプション利用時には必須 |
New-VHDコマンドレットを必須オプションの仮想ディスクのパス(-Path)とサイズ(-SizeBytes)を指定して実行し、仮想ディスクを作成します(画面2)。なお、New-VHDコマンドレットは管理者権限での実行が必要となります。
- New-VHD -Path "E:\temp\TestDisk.vhdx" -SizeBytes 127GB
「-SizeBytes」オプションは、デフォルト(初期設定)では「B(バイト)」での数値指定となりますが、「MB」「GB」「TB」などに単位を変更して指定することも可能です。
「フォーマット」は指定した拡張子が適用され、「種類」はデフォルト値が適用されます。上記のコマンドレット実行例では、“VHDX形式”の“容量可変ディスク”が作成され、セクタサイズなども全てデフォルト値が適用されます。なお、拡張子に「VHD」を指定した場合には、VHD形式の仮想ディスクが作成されます(画面3)。
New-VHDコマンドレットでは、「ブロックサイズ」や「論理セクタサイズ」といった詳細なパラメーターを指定して仮想ディスクを作成できます。ブロックサイズなどは基本的にB(バイト)指定となりますが、単位の変更も可能です。
下記のコマンドレット実行例では、ブロックサイズ「128MB」、論理セクタサイズ「4KB」を指定して、127GBの仮想ディスクを作成しています(画面4)。
- New-VHD -Path "E:\temp\TestDisk2.vhdx" -BlockSizeBytes 128MB -LogicalSectorSizeBytes 4KB -SizeBytes 127GB
「種類」を指定しない場合、デフォルトでは「容量可変ディスク」が作成されます。「容量固定ディスク」を作成したい場合は、「-Fixed」オプションを指定してNew-VHDコマンドレットを実行します(画面5)。
- New-VHD -Path "E:\temp\TestDisk4.vhdx" -SizeBytes 10GB -Fixed
また、「差分ディスク」を作成する場合は、「-Differencing」オプションとともに「-ParentPath」オプションで“親”となる仮想ディスクのパスを指定します(画面6)。差分ディスクでは親ディスクの容量が適用されるため、「-SizeBytes」オプションは不要です。
- New-VHD -Path "E:\temp\Diff_01.vhdx" -Differencing -ParentPath "E:\master\MasterDisk.vhdx"
作成結果を確認すると、今まで作成してきた仮想ディスクでは空欄だった「ParentPath」に親ディスクが指定され、「VhdType」とともに差分ディスクであることを確認できます。
Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2024)。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』(日経BP社)。
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