【 New-VHD 】コマンドレット――仮想ディスクを新規作成するWindows PowerShell基本Tips(108)

本連載は、PowerShellコマンドレットについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は「New-VHD」コマンドレットを解説します。

» 2024年06月25日 05時00分 公開
[後藤諭史@IT]

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連載目次

 本連載では、Windows PowerShellの基本的なコマンドレットについて、基本的な書式からオプション、具体的な実行例までを分かりやすく紹介していきます。今回は、仮想ディスクを新規作成する「New-VHD」コマンドレットです。

New-VHDコマンドレットとは?

 仮想ディスクを新規作成する方法は、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)のツールでも幾つかあります。その一つが、Windows標準の管理ツール「ディスクの管理」から作成する方法です。

 「ディスクの管理」ツールの「操作」メニューから「VHDの作成」を実行することで、仮想ディスクの作成画面が開きます(画面1)。この画面で「作成するパス」や「フォーマット」(VHDまたはVHDX)、「種類」(容量可変ディスクまたは容量固定ディスク)を指定することで仮想ディスクを作成できます。

ALT 画面1 「ディスクの管理」ツールを使用して仮想ディスクを新規作成する

 Windows PowerShellで仮想ディスクの作成する場合は、今回紹介するNew-VHDコマンドレットを使用します。

 New-VHDコマンドレットは、細かいパラメーターを指定して仮想ディスクを作成したり、「ディスクの管理」ツールでは作れない「差分ディスク」を作成したりできるため、仮想ディスクのさまざまなユースケースに対応できます。

【注】New-VHDは「Windows PowerShell用Hyper-Vモジュール」に含まれるコマンドレットです。GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)の「Windowsの機能の有効化」や「役割と機能の追加」からHyper-Vを有効にするか、Windows PowerShellで「Enable-WindowsOptionalFeature」コマンドレットで有効にすることで使用できます。

New-VHDコマンドレットの書式

New-VHD [オプション]

New-VHDコマンドレットの主なオプション

オプション 意味
-Path 仮想ディスクを作成するパスをファイル名と拡張子(VHDまたはVHDX)を含めて指定する
-SizeBytes 作成する仮想ディスクのサイズを指定する。「-Differencing」オプション使用時には省略可能
-Dynamic 容量可変ディスクを作成する場合に指定する。省略可能
-Fixed 容量固定ディスクを作成する場合に指定する。省略可能
-Differencing 差分ディスクを作成する場合に指定する。省略可能
-BlockSizeBytes ブロックサイズを指定する場合に使用する。省略可能
-LogicalSectorSizeBytes 論理セクタサイズ(512または4096)を指定する場合に使用する。省略可能
-ParentPath 差分ディスクを作成する際に“親”となる仮想ディスクのパスを指定する。「-Differencing」オプション利用時には必須

必須オプションのみを指定して仮想ディスクを作成する

 New-VHDコマンドレットを必須オプションの仮想ディスクのパス(-Path)とサイズ(-SizeBytes)を指定して実行し、仮想ディスクを作成します(画面2)。なお、New-VHDコマンドレットは管理者権限での実行が必要となります。

コマンドレット実行例

  1. New-VHD -Path "E:\temp\TestDisk.vhdx" -SizeBytes 127GB
ALT 画面2 必須オプション(-Path、-SizeBytes)のみを指定してNew-VHDコマンドレットを実行した結果

 「-SizeBytes」オプションは、デフォルト(初期設定)では「B(バイト)」での数値指定となりますが、「MB」「GB」「TB」などに単位を変更して指定することも可能です。

 「フォーマット」は指定した拡張子が適用され、「種類」はデフォルト値が適用されます。上記のコマンドレット実行例では、“VHDX形式”の“容量可変ディスク”が作成され、セクタサイズなども全てデフォルト値が適用されます。なお、拡張子に「VHD」を指定した場合には、VHD形式の仮想ディスクが作成されます(画面3)。

ALT 画面3 ファイル名の拡張子に「VHD」を指定すると、VHD形式の仮想ディスクが作成される

「ブロックサイズ」や「セクタサイズ」を指定して仮想ディスクを作成する

 New-VHDコマンドレットでは、「ブロックサイズ」や「論理セクタサイズ」といった詳細なパラメーターを指定して仮想ディスクを作成できます。ブロックサイズなどは基本的にB(バイト)指定となりますが、単位の変更も可能です。

 下記のコマンドレット実行例では、ブロックサイズ「128MB」、論理セクタサイズ「4KB」を指定して、127GBの仮想ディスクを作成しています(画面4)。

コマンドレット実行例

  1. New-VHD -Path "E:\temp\TestDisk2.vhdx" -BlockSizeBytes 128MB -LogicalSectorSizeBytes 4KB -SizeBytes 127GB
ALT 画面4 ブロックサイズ、論理セクタサイズを指定してNew-VHDコマンドレットを実行した結果

「種類」を指定して仮想ディスクを作成する

 「種類」を指定しない場合、デフォルトでは「容量可変ディスク」が作成されます。「容量固定ディスク」を作成したい場合は、「-Fixed」オプションを指定してNew-VHDコマンドレットを実行します(画面5)。

コマンドレット実行例

  1. New-VHD -Path "E:\temp\TestDisk4.vhdx" -SizeBytes 10GB -Fixed
ALT 画面5 「-Fixed」オプションを使用して容量固定ディスクを作成した

 また、「差分ディスク」を作成する場合は、「-Differencing」オプションとともに「-ParentPath」オプションで“親”となる仮想ディスクのパスを指定します(画面6)。差分ディスクでは親ディスクの容量が適用されるため、「-SizeBytes」オプションは不要です。

コマンドレット実行例

  1. New-VHD -Path "E:\temp\Diff_01.vhdx" -Differencing -ParentPath "E:\master\MasterDisk.vhdx"
ALT 画面6 「-Differencing」オプションを使用して差分ディスクを作成した

 作成結果を確認すると、今まで作成してきた仮想ディスクでは空欄だった「ParentPath」に親ディスクが指定され、「VhdType」とともに差分ディスクであることを確認できます。

筆者紹介

後藤 諭史(ごとう さとし)

Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2024)。現業の傍ら、コミュニティーイベントでの登壇や著作にてMicrosoftテクノロジーに関する技術情報の発信、共有を続けている。ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。近著は『詳解! Windows Server仮想ネットワーク』(日経BP社)。

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