新人エンジニアの生成AI利用常態化 約8割の現場で「OJT負担増」の実態が明らかに「自走力の欠如」が課題に

ジョブサポートは新人エンジニアの生成AI利用実態と指導負担に関する調査結果を発表した。新人エンジニアの9割が業務で生成AIを利用する一方、約8割の担当者がOJT負担増を実感している。

» 2026年06月10日 09時30分 公開
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 ジョブサポートは2026年4月22日、「新人エンジニアの生成AI利用実態と指導負担」に関する調査結果を発表した。直近2年以内に新卒・若手(入社1〜3年目)エンジニアの教育・指導(OJT)を担当した経験がある1004人を対象に、2026年3月16日と17日にPRIZMAによるインターネット調査で実施した。

新人エンジニア9割が生成AIを業務利用、コードの理解不足が課題に

 担当する新人・若手エンジニアの業務における生成AI利用状況を調査した結果、「積極的に活用している」(40.0%)、「必要に応じて利用している」(50.0%)となり、9割が日常的に生成AIを利用していることが分かった。

新人・若手エンジニアの業務における生成AI利用状況(提供:ジョブサポート) 新人・若手エンジニアの業務における生成AI利用状況(提供:ジョブサポート)

 積極的または必要に応じて活用している回答者の内、新人エンジニアが生成AIを利用して作成したコードに対し直面した課題について尋ねたところ、「出力されたコードの仕組みや根拠を本人が理解していない」が61.4%で最多となった。次いで「要件を読み解けず、曖昧な指示(プロンプト)を出している」(47.5%)、「エラーの原因を自力で特定・修正できない」(36.6%)と続いた。

 出力されたコードの根拠などの根本的な理解不足が、現場の課題として顕在化している。要件を正確に把握しないまま曖昧な指示を出していることや、エラーの際に自力で原因を特定、修正できないことも課題として挙がった。

AI生成コードのバグ発生時、「やみくもにAIに再質問」が半数近く

  AI生成コードにバグやエラーがあった際に見られる新人エンジニアの反応・対応に関する質問では、「エラー文を自分で読まず、やみくもにAIに再質問を繰り返す」が46.5%と最も多かった。他にも「『AIの出力なので分からない』と回答の根拠をAIに丸投げする」(45.8%)、「自分で原因を調べず、すぐに先輩に正解を求める」(40.5%)といった反応が見られた。

 これらの結果から、「生成AIの利用により、自ら論理的に考え、検証する行動が省略され、結果としてエラー解決力が育ちにくい環境が生まれている」とジョブサポートは分析している。

新人エンジニアが生成AIで作成したコードの課題と、バグ・エラー発生時の反応(提供:ジョブサポート) 新人エンジニアが生成AIで作成したコードの課題と、バグ・エラー発生時の反応(提供:ジョブサポート)

約8割の現場でOJT負担が増加、生成AI利用で出力検証の負担が発生

 新人エンジニアが生成AIを利用するようになってから、「指導・コードレビューにかかる時間(OJT負担)」の変化を見ると、「大幅に増加した(手直しや基礎から教え直す手間が増えた)」(26.1%)と「やや増加した」(51.8%)を合わせ、約8割の現場が「指導負担が増加した」と回答している。なお「変わらない」は18.1%、「やや減少した」は3.3%、「大幅に減少した(指導が楽になった)」は0.7%だった。

 生成AIの利用が、指導やコードレビューの効率化に直結せず、出力内容の手直しや理解確認などの負担につながっている状況がうかがえる。

指導負担が軽減されない理由は「当事者意識・自走力」と「基礎知識」の不足

 OJT負担が増加、または変わらないと答えた層に対し、負担が軽減されない理由を聞いたところ、「エラー解決を粘り強く行う『当事者意識・自走力』がないから」が52.3%で最多となった。次いで「回答の正誤を判断するための『体系的な基礎知識』がないから」(48.9%)、「適切な指示を出すための『言語化能力・読解力』が不足しているから」(30.5%)と続いた。

 上位を占めたのは、エラーに向き合う「自走力」や正誤を判断する「基礎知識」、そして的確な指示を出すための「言語化能力」の不足だった。生成AIを利用する場合でも、出力の正誤を判断する基礎知識や、エラーに向き合う自走力、適切に指示する言語化能力が必要であることを示す結果となった。

生成AI利用に伴うOJT負担の変化と、負担が軽減されない理由(提供:ジョブサポート) 生成AI利用に伴うOJT負担の変化と、負担が軽減されない理由(提供:ジョブサポート)

AI時代のプログラミング研修の課題

  従来のプログラミング研修だけでは、現場で通用するレベルまで「十分に教育しきれていない」と感じる要素を問う設問では、「自力でコードを組み立てる(ゼロイチの)経験が不足している」が49.5%、「エラー解決(トラブルシューティング)の手法を学んでいない」が46.4%、「知識の暗記にとどまり、実務への応用力がない」が33.8%という結果になった。

 従来の研修では自力で考えて形にする経験や、つまずいた際に解決できる実践的な訓練が不足しているという不満が示されている。現場が新人エンジニアに求めているのは、コードの文法を暗記していることよりも、問題に直面したときに自ら考え、解決に向けて動けることを示唆している。

外部研修に期待するのは「読解力」と「自走力」の育成

 こうした現状を踏まえ、AI活用が当たり前となった現在、配属前の「外部研修」に期待する教育支援としては、「要件や仕様を正確に読み解き、言語化する『読解力』の訓練」(40.5%)、「答えをすぐに教えず、まずは自力で調べさせる『自走力』の育成」(38.6%)、「AIを正しく使いこなすための土台となる『体系的な基礎教育』」(33.5%)が続いた。

 生成AIというツールを使いこなすためには、論理的思考力や知的主体性が不可欠であると現場が考えていることがうかがえる。

従来のプログラミング研修の課題と、外部研修に期待する教育支援(提供:ジョブサポート) 従来のプログラミング研修の課題と、外部研修に期待する教育支援(提供:ジョブサポート)

 「読解力」は短期間の研修で大きく伸ばすことが難しい側面もあり、「『自走力』の育成と併せて、採用段階での見極めも含めた両面からのアプローチがこれからの企業に求められる」とジョブサポートは分析している。

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