クラウドやAIの普及で、インフラの仕組みを意識せずに仕事ができる場面が増えています。しかし、障害対応やAIが生成した設定コードの確認には、基礎知識が欠かせません。夏休みに読んでおくと役立つ無料eBookを紹介します。
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クラウドサービスを使えば、物理的なサーバやネットワーク機器に触れなくてもシステムを構築できます。さらに生成AIの進化によって、インフラの設定やInfrastructure as Code(IaC)の作成そのものまで自動化されようとしています。
便利になる一方、「ネットワーク機器やケーブルを触ったことがない」「サーバの中身をよく知らない」という若手エンジニアも珍しくなくなりました。
しかし、トラブルが起こったときに原因を切り分けたり、AIが生成した設定が本当に適切なのかどうかを判断したりするには、ネットワークやLinux、サーバ、ストレージといったインフラの基礎知識が必要です。
まとまった時間を取りやすい夏休みを利用して、あらためて基礎から学んでみてはいかがでしょうか。@ITが無料公開している3冊のeBookとともに、今なぜ基礎学習が重要なのかを考えます。
特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)が、年収700万円以上のSRE(Site Reliability Engineering)エンジニアやインフラアーキテクトなど110人を対象に実施した調査では、若手時代の基礎学習が、その後のキャリアにつながっていることが分かりました。
新人から若手時代に最も力を入れた技術領域は「プログラミング/スクリプト言語」(41.8%)がトップでした。これに続いたのが「ネットワークの基礎」(33.6%)で、「Linux/OSの基礎」(31.8%)を上回っています。「もっと勉強しておけばよかった」と感じる領域でも、「ネットワークの深い理解」(38.2%)が「Linux/OSの深い理解」(28.2%)を上回りました。Linuxの学習が話題になりがちですが、ベテランの実感としては、ネットワークの基礎こそ見過ごせない領域と言えるでしょう。
また、若手時代の学びが現在のキャリアに役立っていると答えたエンジニアは合計87.0%に上りました。
役立っている理由としては「新しい技術を学ぶ際の土台になっているから」(57.5%)が最多でした。便利なサービスの「使い方」だけを覚えるのではなく、その下で何が動いているのかを理解することが、その後の技術習得やトラブル対応の土台になっているのがうかがえます。
今後キャリアを築く若手に対しては、「トレンド技術だけでなく基礎も大切にすべき」(49.1%)、「表層的な操作だけでなく仕組みを理解すべき」(37.3%)、「実務経験を積みながら学ぶべき」(32.7%)、「Linux/OS基盤を早いうちに学んでおくべき」(27.3%)といった、基礎を体系的に学ぶ必要を指摘する声が挙がっています。
ネットワークの基礎知識が役立つ場面として分かりやすいのが、通信トラブルへの対応です。
ALL CONNECTが無線LAN利用者500人を対象に実施した調査では、Wi-Fiが「急につながらない・遅くなる」トラブルについて、「たまにある」が68.2%、「よくある」が20.2%となり、約88%が経験していました。
ただし、多くの利用者は、その原因を十分に把握できていません。
トラブルの原因がルーター側なのか端末側なのかについて、46.2%が「分からない」、32.4%が「少し分かる」と回答しました。合わせて約78%が原因を正確には特定できていません。
Wi-Fiがつながらないときに最初に行うこととして最も多かったのは「ルーターを再起動する」の37.6%。「Wi-Fi設定をOFF/ONする」が30.6%、「スマートフォンやPCを再起動する」が18.4%と続きました。原因は分からないものの、取りあえず再起動で対処するというアプローチが定着している様子がうかがえます。
もちろん、再起動で復旧するならそれで済むこともあります。しかし、それでも直らなければどうでしょうか。
エンジニアであれば、端末の問題なのか、無線LANなのか、IPアドレスやDNSなのか、ルーターなのかと、原因を切り分け、設定を確認して解決できるようになりたいところです。
とはいえ、クラウドや無線LANが当たり前になった現在、若手エンジニアがLANケーブルやネットワーク機器を実際に触りながら仕組みを覚える機会は少なくなっています。「ネットワークなんて触ったことがないから分からない」となるのも無理はありません。
だからこそ、意識的に基礎を学ぶ機会を作る必要があります。
生成AIの進化はインフラエンジニアの仕事そのものを変えようとしています。
Microsoftは、AIエージェントの台頭によって、クラウドインフラのプロビジョニングや運用の在り方が根本的に変化していると説明しています。
従来は、人間の意図を、CLIやGitOps/CIワークフローなどを通じてIaC(Infrastructure as Code)に落とし込み、クラウドサービスのAPIを動かしていました。
これに対してAIエージェントは、自然言語で与えられた意図を基にAPIスキーマを推論し、IaCコードを生成、検証した上で、ガードレールや承認フローを維持しながらクラウドに変更を適用できるようになります。
つまり、「IaCコードを人間が一から書く」ことそのものの重要性は今後下がる可能性があります。Microsoftも将来的にIaCは、上位の意図やポリシーから生成される「実行形式」の一つに役割が変化すると予測。AIエージェントが指示やコンテキストを読み取り、IaCを生成してプルリクエスト(PR)を開き、レビューフィードバックを受けて修正まで行う将来像を示しています。
では、人間はインフラを知らなくてもよくなるのでしょうか。
むしろ重要になるのは、AIが作ったものが本当に意図通りなのか、安全なのかを判断する力です。Microsoftも、承認やリスク判断における人間の責任は不可欠だとしています。
生成されたIaCをレビューするとき、ネットワーク構成が妥当なのか、サーバやストレージの設定に問題がないのか、Linux上でどのように動くのかが分からなければ、適切な判断はできません。
AIに「IaCコードも書いてもらえる」時代だからこそ、Linux、サーバ&ストレージ、ネットワークといったインフラの基礎知識が欠かせない、ということになります。
まとまった学習時間を確保できる夏休みは、普段何となく使っている技術を基礎から整理する絶好の機会です。
@ITでは、ネットワーク、Linux、サーバ&ストレージについて学べるeBookを無料で提供しています。
ネットワークの基礎から始めたい人にお勧めしたいのが、「AWSで学ぶクラウド時代のネットワーク基礎知識」です。
クラウドや無線LANが普及し、かつてLANケーブルやネットワーク機器を触ることで理解していたIPネットワークを、物理的に意識する機会は減りました。しかし、IaaSやPaaSなどのクラウドサービスを使いこなすには、ネットワークの基本的な理解が欠かせません。
本eBookでは、Amazon Web Services(AWS)を題材に、「IPネットワーク概要」「インターネットへの接続」「オンプレミス環境とのプライベート接続」「AWSネットワーク間の接続」「サーバ公開で利用するネットワーク機能」「ネットワークセキュリティ」「ネットワーク監視」という全7回の内容をまとめています。
クラウドサービスを操作しながら学べるので、「物理的なネットワークを触ったことがない」という人が、ネットワークの仕組みを理解する入り口として活用できます。
人気連載まとめ読み!@IT eBookシリーズ Vol.51『“応用力”をつけるためのLinux再入門』(画像クリックでeBookを表示)
Linuxについて一から学び直したい人には、「“応用力”をつけるためのLinux再入門」があります。
LinuxはWebサーバやアプリケーションサーバ、ファイルサーバをはじめ、さまざまな場所で利用されています。一方、本格的に使いこなすには一定の知識が必要で、基礎を理解していなければ、思うように設定できなかったり、無駄な作業を繰り返したりすることがあります。
本eBookは、「Linuxを一から学びたい」「Linuxを効率よく操作するための知識やスキルを身に付けたい」という人向けの連載20回分を1冊にまとめています。基礎知識を押さえながら、現場の運用でも応用が利くようになることを目指した内容です。
コマンドを検索してコピー&ペーストするだけでなく、「なぜこの操作をするのか」まで理解したい人の学び直しにも適しています。
サーバとストレージについて学びたい人には、「AWSで学ぶクラウド時代のサーバ&ストレージ基礎知識」があります。
クラウドが普及したことで、かつてはハードウェアに触れることで理解していたサーバやストレージについても、その仕組みを意識する機会は少なくなっています。しかし、クラウドを使いこなす上でも、サーバやストレージの基礎知識は必要です。
約150ページの本eBookでは、AWSを題材に「サーバ」「ブロックストレージ」「仮想化」「サーバ運用に必要な技術」「ファイルストレージ」「オブジェクトストレージ」「ストレージのデータ保護」の全7テーマを取り上げています。
物理的なサーバやストレージを扱った経験がないエンジニアでも、普段利用するクラウドとの関係を確認しながら基礎を身に付けられます。
クラウドやAIによってインフラが意識されにくくなり、その構築や運用が自動化される範囲は、これからも広がっていくでしょう。しかし、「触ったことがないから分からない」「原因は分からないけれど、取りあえず再起動」で終わらせず、その裏側で何が起こっているのかを理解する力は、トラブル対応にもAIの出力を判断する上でも役立ちます。
この夏、まずは興味のある1冊からインフラの基礎を学び直してみてはいかがでしょうか。
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