AI時代の到来でエンジニアの役割が変わる中、生き抜くために本当に必要な能力とは何か。「divx」の開発PMであるアレキサンドラ・フランシスコ(サンディ)さんが後天的につかんだ「丁寧な対話」と「挑戦」の真意に迫る。
AIの進化によってコード生成や定型業務が急速に自動化され、エンジニアに求められる役割が大きく変化している。技術的なスキルに加え、正解のない課題を整理し、異なる立場の人と人をつなぐ力こそが、エンジニアの価値を左右するのではないだろうか。
本稿で紹介するのは、「divx」で開発PM(プロジェクトマネジャー)として活躍するアレキサンドラ・フランシスコ(通称サンディ)さんだ。フィリピンで生まれ、10歳で来日した彼女は、言語や環境の壁を乗り越えながらキャリアを切り開いてきた。
いつも明るく、天性のコミュニケーション能力を持っているように見えるサンディさんだが、その裏側には痛い失敗の経験と、後天的に磨き上げてきた対話の工夫、そして未知へ飛び込むしなやかなマインドがあった。彼女の足跡から、AI時代を生き抜くヒントを探ろう。
サンディさんは現在、受託開発案件においてPMとして複数のプロジェクトに携わっている。担当する案件は、衛星データを活用したシステムから、AIを用いた1on1面談のシステムまで多岐にわたる。
受託開発の現場でPMに最も求められるのは、クライアント(ビジネス側)と開発チーム(エンジニア側)の間に立つ「ハブ機能」である。クライアントは「こういうことをやりたい」という要望を持ち、エンジニアは「技術的にどう実現するか」を重視する。その間には、言葉にしづらいニュアンスや認識のズレが生まれがちだ。
彼女はその間に立ち、顧客の曖昧な要求を整理して、開発現場が実装できるタスクに落とし込み、現場からの技術的課題や制約を、顧客が理解できる「人間の言葉」へ翻訳して伝える役目を担っている。
プロジェクトを進める上で彼女が意識しているのは、顧客との「期待値調整」だ。開発の難易度やスケジュールについて認識の齟齬(そご)があると、プロジェクトは容易に破綻してしまう。
「お客さまは『簡単にできる』と思っているけれど、システムに追加するにはめっちゃ時間がかかる、みたいな要望の期待値を調整します。そうしないと、どんどんズレていっちゃって、お客さまが『何で早くできないの?』とがっかりすることになるので」
業務において彼女は、意識して実践しているコミュニケーション術が2つある。
1つ目は、対話における主語を「私」にすることだ。
「『あなたにこうしてほしい』と言うよりも、『私はこうしてくれたらうれしい』と言うなどです。他にも、『これ、できるでしょ』と決めつけるのではなくて、『私は、こういうやり方だったらこういけると思うんですけれど、あなたはどう思いますか』と、『自分』を主語にして伝えるようにしています」
もう一つは、チームとして対等に人と接することである。
「仕事にはどうしても上下関係がありますが、一緒のプロジェクトを進める上ではチームだと思うんです。お客さまとも『対等な関係である』というモチベーションで、へりくだり過ぎないというか、萎縮しないように気を付けて話すようにしてます。自信を持って答えるし、分からなかったら自信を持って聞く」
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