自分の時間にテクノロジで遊ぼう!〜Make:Ogaki Meeting 2012レポート:UXClip(3)(3/3 ページ)
「自分の時間にテクノロジを!」カテゴリを超えてテクノロジで遊ぶMakerたちの祭典、Make:Ogaki Meeting 2012の様子をレポートします
怒濤のIAMAS組
今回のイベントが大垣で開かれたのは、毎回Make:にコミットする学生・卒業生・教員が多い、岐阜県立情報科学芸術大学院大学(以下IAMAS)の尽力が大きい。今回も学生とOBが数多く出展していた。
会場外にまず、バスを改造した実験室MOBIUMが展示されている。
IAMAS関係の展示が多く、初代学長の坂根厳夫先生も訪れており、さまざまな作品を楽しそうに眺めていた。
IAMAS OBが多く所属するGOCCOが出展していた、箱内のプロジェクションマッピング。
Make:会場の隣では、工作機械やものづくりのノウハウを、地域の人たちと共有するf.Laboの展示や、IAMASの活動を紹介するオープンハウスも。
Make:初日の夜には、IAMASメンバーが大垣駅前の展示スペースIAMAS OS 2.0でクラブイベント「NxPC.LIVE vol.14 -めかめか///メカトロニカ-」を開催。ガジェットや展示物をクラブイベントに持ち込み、Make:を盛り上げていた。
手芸、craft系が盛り上がっている
ここ数回のMake:では、回を重ねる度に手芸の盛り上がりを感じるのだが、大垣でも服飾や手芸のブースが数多く出展されていた。
Make:ファウンダーのデール氏が、「日本のMakerと聞くとまず思い出す」と語った、東京のMake:でもおなじみ、「へんなあみもの」の編み師203号さん。
もちろんテクノ手芸部も出展。新作の、iPhoneのイヤホンジャックに挿して光るぬいぐるみ、「Pinakit」を展示していた。
Make:会場ではほぼずっと何かのワークショップが開かれており、プレゼンテーションやセミナーも行われている。
会場内で行われた全ワークショップのプログラムはこちら。以下に、筆者が気になった展示を写真で紹介する。
導電糸が仕込まれ、実際に動作する電子回路縫いぐるみ。
Maker Faireの精神
イベントの初日、日本版の雑誌「Make:」の編集であり、イベント運営の大黒柱であるオライリー・ジャパンの田村英男さんと、IAMASの小林茂先生によるトークセッション「Make: Mini Maker Faire Workshop」が開かれた。
日本では「Make:(地名) Meeting」という形でこれまでイベントを行ってきたが、次回からは世界と合わせMaker Faire(オライリーが直接主催しない場合はMini Maker Faire)とすること、今回のMOM 2012の開催予算(435万円とのこと)、Make:イベント内容を行政の方々などを含めた協力者に説明する苦労などが赤裸々に語られた。
会場で配られた、「Maker Faireの精神」が、あまりに素晴らしいので全文を再掲載する。
Maker Faireの精神(抄訳、ドラフト版)
Maker Faireとは何かを簡単に説明することはできません。しかし、Maker Faireの主催者や参加者たちに共通する考え方があります。これは、あらゆる規模のMaker Faireに反映されるべきものです。
- Makerの行動――何を作ったか、どうやって作ったか、それを作ろうと決めた動機や思い入れなどを賞賛する。
- エキサイティングでクールなものというシンプルな視点から、Makerを選び、組み合わせ、大々的に公開する。
- Maker Faireを訪れたすべての人に、自分もMakerとなって、新しいものを作るための知識を集めて帰るのだという意識を持たせる。
- Maker Faireには粗削りで尖った部分もあり、時に刺激が強すぎることもあることは容認する。
- 大人と子供向けの、DIYを実際に体験できる展示をできるだけ多くする。
- できる限りオープンで、誰でも参加でき、寛大で互いを励まし合う精神を大切にする。
- 出会ったクリエイティブな人たちやテクニカルな人たちが、Maker Faire終了後もつながりを持ち続け、コミュニティが広がることを目指す
もう1つ:Maker Faireは展示会であってコンテストではありません。Maker同士が競い合うのは望ましいことではありません。大切なのは、すべてのMakerが、出展作品に関して建設的で有用なフィードバックを与え合うことです。
筆者は2008年のMTM02から参加していて、今年の5月に行われたアメリカのMaker Faire Bay Areaにも参加してきた。場所や流行によって、出展物は異なり、参加者によって求めるものや伝えたいことが違っても、どこでも共通する「Maker Faireの精神」がある。参加者のこれまでにないものを生み出したい、解けていない問題を解くぞという、情熱を感じる。
もちろんMake:Ogaki Meeting 2012にも、このエキサイティングでクール、革新的でピースフルな雰囲気は満ち満ちており、Twitterでのやりとりに、会場内で行われていたコミュニケーションが垣間見える。
出展者も来場者も、自分のやりたいことを追究しながら、未来を目指す雰囲気があった。お互いの出展物を披露しながら、それぞれの進化や歴史を認め合う会話があった。
セミナーで小林先生から「正直に言うと、Make:がどういうイベントなのかは、説明を聞いても、絶対に分からなくて、来てみないと分からない」と語っていたが、筆者も同感だ。会場を訪れて、主体的に自分の楽しめるものを探そうとすれば、さまざまなものが得られる場である。
さっそく、次回のMaker Faire TOKYOの日程も発表された。2012年の12月1〜2日の土・日に行われる。次のMaker Faireも、本当に楽しみだ。
著者プロフィール
高須 正和@tks
ウルトラテクノロジスト集団チームラボ/ニコニコ学会β幹事
趣味ものづくりサークル「チームラボMAKE部」の発起人。未来を感じるものが好きで、さまざまなテクノロジ/サイエンス系イベントに出没。無駄に元気です。もちろん、次回のMaker Faire Tokyo 2012にも、チームラボMAKE部として出展します!
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