|
|
「顧客の声」は本当にビジネスに役立つのか?
──小さな会社でも大企業を動かせるツール=ネット・コミュニティ |
●藤田憲一=編、ジェイ・マーチ=著
●中央経済社 2004年3月
●1800円+税 ISBN4-502-37250-1 |
|
30代の主婦層に人気がある地域情報交換サイト「とくっち.com」を運営する著者が、ネット・コミュニティ論を説く。これまでコミュニティサイト運営者やSEらが経験や勘で構築、運営してきた部分を平易な文章で表現しており、具体例が豊富に盛り込まれている。
ECサイトの売上最大化のためには、ユーザーの訪問回数を増やす必要がある。そのために、モールへ出店したり、バナーやメールによる広告、アフィリエイトなどの方法もあるが、アクイジション(新規顧客獲得)のコストが掛かるだけでなく、定着化させるために特売やポイント加算プログラムなどを行えば、値引き競争に陥る可能性がある。それに対してコミュニティを導入すると、価格的なインセンティブなしに訪問回数の増加や、サイトのブランディングに効果的だという(第3章)。
では、コミュニティサイトを構築するにはどうすればよいのだろう。そこには「ミッションの決定」「ビジョン、ポジションの策定」「運営方針の決定」などのプロセスがある。その中でも、コミュニティでの体験がユーザーのロイヤリティを引き出し、価値を創造する書き込みが行われる雰囲気や仕組み作りにつながる「ユーザー環境デザイン」が大事になる。そこには、導線設計だけでなく、ユーザー体験の「質」を高める努力が必要だと説明している(第4章)。
全体的には、ネットやITに詳しくない経営者などでも読めるように書かれているが、コミュニティに詳しい方は、第3章や第4章あたりから読み進めてもいいだろう。(ライター:生井俊) |
■ブックガイド記事がメールで読めます■ |
ブックガイドの記事は毎週水曜日にメールでお届けしています。
下の「@IT情報マネジメント メールマガジン」からお申し込みください。
|
|
|
|
|