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図解入門 よく分かる最新 エンタープライズ・アーキテクチャの基本と仕組み |
●NTTソフトウェア株式会社 EAコンサルティングセンター=著
●秀和システム 2005年8月
●1800円+税 4-7980-1133-9 |
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全体最適を統一化したルールで可視化、運営していくエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)の手法に着目、代表的な事例を通してあいまいな情報伝達をなくすためのノウハウを紹介する。
第1章はシステムの変遷や国内の動向、EAの4つのレイヤなど、EAの概念とそれを取り巻く環境についてまとめる。EAが目指す全体最適実現のためには「ビジネス/データ/アプリケーション/テクノロジーの最適」「ビジネスとITの最適」「時間軸の最適」の3つの軸から目指す必要がある。また、EAの導入効果を出すためには「現状の把握」「ITビジョンの確立」「ITガバナンスの確立」「組織の意識改革」という4つの活動が欠かせないという。
第2章では、EAの導入手順からBA、DA、AA、TAという4つの体系、セキュリティ対策を扱う。情報セキュリティシステムを導入する場合、現状(As-Is)を整理したうえで将来像(To-Be)の姿を考慮しながら段階的に導入していく。また、一度構築し運用したら終わりではなく、PDCAサイクルを回し継続して改善していくことが大切だ。
第3章は自治体におけるEAの活用事例、第4章はプロジェクトマネージャのEA導入記となっている。“企業の仕組み”の全体最適を検討している経営者・情シス担当者向けの一冊。(ライター・生井俊) |
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基礎からわかるSOA(サービス指向アーキテクチャ) |
●米持 幸寿=著
●日経BP社 2005年5月
●2200円+税 4-8222-8230-9 |
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エンジニアのためのサービス指向アーキテクチャ(SOA)入門書だが、SOAの概念やその意義からソフトウェア技術、構築までを幅広く扱う。
第1章、第2章では、なぜ「今」SOAなのかという背景やSOAとそうでないものを解説をする。SOAのコンセプトに基づいてITシステムを構築するメリットは、ITシステムが柔軟になること。その結果、企業の変革のスピードが激しくなっても、そのニーズに応えられるシステムがあることで、企業活動も柔軟になっていくという。また既存のコンポーネント技術と、ソフトウェアを「サービス」という単位に分割するSOAとの違いにも触れている。
第4章では、図書館と書店のシステムを題材にWebサービスを構築する流れを紹介する。提供したい機能をWebサービスにする簡単な方法は、サービスを提供するプログラムコードを用意し、それをサービスとするボトムアップ開発だ。一方、WSDLを基にして実装コードのひな形を生成するトップダウン開発をすれば、バインディングが同じようになるように自動調整されるメリットがある。ほかに、HTTPのタイムアウトを回避する試みや他の企業とのサービス連携などを扱う。
SOAをとりまく技術動向について分かりやすく、読み物としてもテンポよく書かれている。理解をより一層深めるため、プログラマやSEが実践しながら読むことをオススメしたい。(ライター・生井俊)
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SOA──サービス指向アーキテクチャ |
●日本BEAシステムズ株式会社=著
●翔泳社 2005年3月
●2400円+税 4-526-05410-0 |
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2004年半ばごろから、従来のIT資産の活用と最新のスタンダード技術を組み合わせ新たな付加価値を生み出す「サービス指向アーキテクチャ(SOA)」への期待が急速に高まった。SOAは理想論として語られることが多いが、本書では“最も合理的なシステムアーキテクチャ”ととらえている。
6章構成になっており、前半はSOAの定義や技術的な構成などの概要を、後半はSOAプロジェクトの実践や日本でのユーザー事例、将来像をまとめる。
第2章では、SOAを支える技術を紹介する。SOAは大きく分けて「サービスを活用する技術」と「サービスを実現する技術」の2つがある。その実現する技術の中で、J2EEとSOAP/WSDLなどのWebサービス技術の機能を紹介し、J2EEでSOAを実現する意義を説く。また、活用する技術としては主にBPMを扱う。
第4章では、ビジネス戦略や組織・体制、ROIなど、SOAプロジェクトを成功させる6つの検討領域や、EA/ITガバナンスとの関連について詳細な説明がある。システムアーキテクチャとビジネス目標実現の関係を研究中の情シス部門マネージャはご一読を。(ライター・生井俊)
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SAPエンタープライズサービスアーキテクチャ――変革の時代を勝ち抜く最新IT戦略 |
●ダン・ウッズ=著、木下哲也/福龍興業=訳、SAPジャパン=監修
●オライリージャパン 2004年6月
●3000円+税 4-87311-189-7 |
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SAPが提唱するESA(Enterprise Services Architecture)についての解説本である。
本書によればESAとは、「ビジネス上の価値を増加させる道筋に沿ってITアーキテクチャを発展させるフィロソフィー」(1章)であり、「要はITアーキテクチャにリーンマニファクチャリングモデルを適用したもの」(6章)だという。
すなわち、SOAやコンポジットアプリケーションなどに基づいたIT基盤を構築し、それを前提にリーン生産(といっても製造業の製造プロセスにだけに限らない)のように柔軟なビジネスプロセス、変化に強い企業体制を確保することが重要であるという主張だ。
従って2章「実践例」でSAP製品が取り上げられているものの、本書で解説されているのは製品でもソリューションでもない。企業システムとそのテクノロジについても多くが割かれているが、本質的には柔軟で変化に強いバリューチェーン構築に関する基本コンセプトと、その効果や影響について述べている。
この変化はIT業界(ツールベンダ、SIer)にとっても大きなものであり、1つにチャンスだという。もちろんユーザーにとってもシステムの作り方が変わることを意味し、社内のIT部門に求められる機能や人材スキルも違ってくるだろう。
エンタープライズITのニューパラダイムを、根幹から押さえておきたい人はご一読を。 |
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エンタープライズ・アーキテクチャ |
●IBMビジネスコンサルティングサービス IT戦略グループ=著
●日経BP社 2003年12月
●2800円+税 ISBN4-8222-1873-2 |
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経営とITとの結びつきを強くするエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)について、コンサルティングする立場からその構造や実践、価値について紹介したのが本書だ。
第1章は「EA時代が到来している」と題し、「EAとは何か」から、なぜいまEAなのか、経営層のITに対する要望などを述べ、情報システム部門だけでなく、経営者層にも分かりやすい導入部に仕上げている。ちなみに、本書の言葉を借りればEAとは「企業のITの状況を整理して、経営に貢献できるITのあり方を描き出す方法論」のことだ。
第2章では「EAの構造」について、「アーキテクチャ」「ガバナンス」「移行計画」の3つの視点で説明する。さらに、アーキテクチャはビジネス構造を表す「ビジネス・アーキテクチャ」、業務プロセスや機能を表す「アプリケーション・アーキテクチャ」、ビジネス活動に必要となるデータを表す「データ・アーキテクチャ」の3層があり、これらをITに写像した「テクニカル・アーキテクチャ」を合わせた4層に分けられると解説する。
「EA構築の実践」(第3章)では、EAを国レベルで推進するアメリカの流れを受けた日本政府や企業の取り組みを紹介している。また、第5章ではIBMが提唱する「e-ビジネス・オンデマンド」と連携することで、今後EA自体がより進化していくとまとめている。(ライター:生井俊) |
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