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■組織・人材
 
ITスキル標準ガイドブック──ITサービス人材育成への活用
●独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ITスキル標準センター=著・監修
●メディアセレクト 2004年10月
●4200円+税 4-86147-002-1
 ITサービスプロフェッショナルの育成を目的に、その共通基準としてITスキル標準(ITSS)が登場したのが、2002年12月。これは11職種38専門分野からなり、この産業(一般企業の情報システム部門を含む)に従事する人材に対してキャリアパス/キャリアアップの道筋と目標を明確にしたもの。それを補完するため2003年7月および2004年8月に研修ロードマップが発表された。本書はその公式解説書。
 人材育成に必要な要素はスキル、コンピテンシー、リーダーシップの3点。この3要素は、すべての人に汎用的な人材育成を行うのではなく、スキルや職種に合った研修ロードマップを作成し、計画的に実施する。
 第2章では人材育成とITスキル標準の活用方法を、第5章ではその具体事例を取り上げ、活用に至るプロセスや実施する上のポイント、課題などを学ぶことができる。また、付録に米・英・独などの人材育成の状況と政策についてのレポートがあるほか、「ITスキル標準」(バージョン1.1)と「研修ロードマップ」(バージョン1.2)が閲覧できるCD-ROMが付属する。
 ITスキル標準で挙げているマーケティングやセールス、プロジェクトマネジメントなど11職種に該当する人、人材育成にかかわるマネージャなどは、該当職種についてまずは拾い読みしてはどうだろうか。(ライター・生井俊)
ITケイパビリティ 今すぐ始めるIT活用力──診断と処方箋
●國領二郎=監修 NTTデータ、NTTデータ経営研究所=著
●日経BP企画 2004年9月
●1800円+税 4-86130-041-X
 ITケイパビリティとは、「組織のもつIT活用能力」。本書の第1章では日本企業がITをうまく活用できていない実情を、総務省のデータなどを引用し紹介する。ITの導入効果について、「検証なし」の一方通行できた“優しい”日本社会に効果測定の必要性を説き、また、コアコンピタンスの明確化や情報システム運用に合わせた組織・制度の改革の面で、米国企業より遅れをとっていると指摘する。
 第2章では、なぜITの導入効果があがらないのか、経営層、IT部門、ユーザー部門の3組織から整理する。第3章では、「ITケイパビリティとは何か」をまとめ、それがもつ5要素(「IT活用ビジョン構成能力」「IT活用コミュニケーション能力」「プロセスデザイン能力」「IT投資適正化能力」「チェンジリーダー開発能力」)についての解説を加えている。
 ITケイパビリティの5要素について、企業でどれだけ実現できているか診断する項目を第4章で提示し、その解決策やヒントを「処方箋」として第5章にまとめる。
 本書は情報マネージャや情報システム部門関係者向けで、そのまま企業のIT活用力測定に利用できるほか、ITケイパビリティの入門書として活用できる。(ライター・生井俊)
情報技術を活かす組織能力──ITケイパビリティの事例研究
●岸眞理子、相原憲一=編著
●中央経済社 2004年7月
●3200円+税 ISBN4-502-37460-1
 情報技術の組織的活用能力(=ITケイパビリティ)に着目し、その概念と分析フレームワークから、企業によるIT導入効果をまとめている。
 企業が競争優位を獲得するには、ヒト・モノ・カネの3資源に加え、情報、技術力、ブランド、専門能力、組織能力などを開発し、これらを組み合わせて企業のケイパビリティを生成することが重要だ。ITケイパビリティは、情報技術資産とそれを扱う人的資産、情報技術を活用する企業コンテクストにかかわる資源に分類できるという。
 ここに登場する7社は、長野県の別所温泉にある上松屋旅館、靴下の専門店を展開するダンなど、ほとんどが衰退業界とされる世界で勝負を挑む中小企業である。
 上松屋旅館は、料理長の采配次第でブレのあった食材の調達コストを、情報システムを導入することで低く抑えることに成功した。また、ダンは、小売店に設置したPOSシステムのデータを、自社だけでなく染工場などとも情報共有し、商品販売サイクルの短縮化と在庫規模の適正化を実現し、販売機会損失や値崩れを防いでいる。
 伝統産業や中小企業であっても、適切な規模のIT導入には大きな効果があることを証明している本書は、大企業に限らず中堅・中小企業の情報マネージャに目を通して欲しい。
(ライター・生井俊)
インタンジブル・アセット──「IT投資と生産性」相関の原理
●エリック・ブリニョルフソン=著、CSK=訳・編
●ダイヤモンド社 2004年5月
●2000円+税 ISBN4-478-37465-1
 ERPシステム導入のような大規模プロジェクトを調査すると、平均的な支出は20億円強。ハードウェアのコストはそのうち5%にも満たない。コストの大半は、業務プロセスの再構築やユーザーの教育費に充てられる。これらの「組織資本」や「人的資本」を築くための投資は、ERPの初期導入コストの80%に及ぶという。
 こうした投資、そしてその結果としての効果としての情報システムの全体的な価値は、会社の貸借対照表に現れることはない。このような組織的資産を「インタンジブル・アセット」と呼ぶ。ハードばかりに目がいきがちだが、実は社員教育や、取引先との関係、顧客満足度、社員の忠誠心といったものが、実質的に生産性の向上を支える。その割合は、ハードウェアの投資額1ドルに対し、インタンジブル・アセットの平均投資額が9ドルになると本書は指摘する。
 前半はデルの「見えない工場」などを取り上げ、デジタル組織になるための7つの原則をまとめている。原則の例を挙げると第1は業務プロセスのデジタル化、第7は人的資本に投資することだという。後半はインタンジブル・アセットの効果を計算式を示しながら解説する。
 情報技術と生産性向上との相関関係を学ぶことで、企業の競争力を強化し、成功する確率を上げることが可能になる。情シス担当者のみならず、経営者も手にしてほしい。(ライター・生井俊)
最強組織の法則──新時代のチームワークとは何か
●ピーター・M・センゲ=著、守部 信之ほか=訳
●徳間書店 1995年6月
●1900円+税 ISBN4-19-860309-X
 注文量を増やせば増やすほど納品が遅れるのはなぜか──。企業をシステム思考の面から考察して、組織というシステムの特徴とその動作メカニズムを明らかにし、その従来型企業組織を乗り越える策として「ラーニング・オーガニゼーション」を提言する本。「リエンジニアリング」「コア・コンピタンス経営」と共に、1990年代の経営学を席巻したこのキーワードを世界に広めた原典である。といっても、日本では「ラーニング・オーガニゼーション」は「ナレッジマネジメント」に押されて、ブームといえるほどには盛り上がらなかった。本書も「ナレッジマネジメント」の関連書として紹介されることが多いが、やはりかなり視点が異なる。情報マネージャなら押さえておきたい1冊だ。

 

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