Linux Tips

タブレットを使うには

北浦訓行
2004/5/20

 タブレットを使うには(マウスモード編)で説明したように、タブレットをマウスの代わりとして使うことができる()。

注:タブレットは、タブレット上の座標と画面位置が1対1で対応しているため、使い勝手はマウスとは異なる。

 しかしタブレットの本領は、手書き感覚で文字を書いたり絵を描画できる点にある。また、多くのタブレットは筆圧検知機能を持っているため、力加減による微妙なタッチも再現できる。

 Linuxでタブレット本来の機能を生かすには、ドライバのダウンロードや設定が必要となる。今回は、ワコム(http://tablet.wacom.co.jp/)のFAVO(ET-0405-U)という、USB接続のタブレットを例に説明する。

 Fedora Core 1やVine Linux 2.6、Turbolinux 10 Desktopには、標準でwacom_drv.oというXFree86用のドライバがインストールされている。だが、筆者の環境では動作が不安定で、筆圧機能も使えなかった。http://linuxwacom.sourceforge.net/から最新版のドライバ(バージョン0.6.2)を入手してみたが、結果は同じであった。そこで、graphireUSBという別のドライバを試したみたところ、良好な結果が得られた。

 graphireUSBを使うには、http://www.pxh.de/fs/graphire/からバイナリファイルをダウンロードして、所定のディレクトリにコピーする()。原稿執筆時点での最新版はリビジョン1.8で、ファイルはgraphireUSB_drv.oだ。

注:ソースファイルも公開されているが、コンパイルするにはXFree86も含めてmakeする必要があるようだ。

 ファイルをダウンロードしたら、以下のように/usr/X11R6/lib/modules/inputディレクトリにコピーして、ファイルの属性を同じディレクトリのほかのドライバと同じにする。

# cd /usr/X11R6/lib/modules/input
# cp /tmp/graphireUSB_drv.o .
# chmod 444 graphireUSB_drv.o

 次に、/etc/X11/XF86Config(Vine Linuxの場合は/etc/X11/XF86Config-4)を変更する。変更する前には、念のためバックアップを取っておこう。

 /etc/X11/XF86Configの所定の場所に、以下の行を追加する。

Section "ServerLayout"
(省略)
    InputDevice    "gstylus" "AlwaysCore" ←この行を追加
    InputDevice    "geraser" "AlwaysCore" ←この行を追加
    InputDevice    "gmouse" "AlwaysCore" ←この行を追加
EndSection

Section "Module"
(省略)
    Load "graphireUSB" ←この行を追加
EndSection

 そして、以下のセクションを追加する。

Section "InputDevice"
    Identifier  "gstylus"
    Driver      "graphireusb"
    Option      "Device" "/dev/input/event0"
    Option      "Mode" "Absolute"
    Option      "Type" "gstylus"
    Option      "Suppress" "30"
EndSection

Section "InputDevice"
    Identifier  "geraser"
    Driver      "graphireusb"
    Option      "Device" "/dev/input/event0"
    Option      "Mode" "Absolute"
    Option      "Type" "geraser"
    Option      "Suppress" "30"
EndSection

Section "InputDevice"
    Identifier  "gmouse"
    Driver      "graphireusb"
    Option      "Device" "/dev/input/event0"
    Option      "Mode" "relative"
    Option      "Type" "gmouse"
    Option      "Suppress" "30"
EndSection

 タブレットを使うには(マウスモード編)の設定を追加していたり、Vine Linux 2.6の/etc/XF86Config-4のように「Mouse9」として/dev/input/miceが割り当てられていると、タブレットの使用に支障をきたすことがあるため、関連する行の先頭に「#」を入れて設定をコメントアウトする。

 /etc/X11/XF86Configの編集が終わったら、X Window Systemを再起動する。GIMPはタブレットの筆圧機能に対応しているので、動作確認はこれで行うといいだろう。

 GIMPを起動したら、[ファイル]メニューの[ダイアログ]−[入力デバイス]を選択する。すると、[入力]ダイアログボックスが表示されるので、[デバイス]で[gmouse]を選択して、[モード]で[スクリーン]を選択する。同様に[geraser]と[gstylus]についても[モード]で[スクリーン]を選択して、[保存]ボタンをクリックする。その後、[閉じる]ボタンをクリックして、[入力]ダイアログボックスを閉じる。

GIMPの[入力]ダイアログボックス

 以上でタブレットが使えるようになるはずだ。弱く描いたり、強く描いたりして、筆圧検知がちゃんと機能しているかどうかを確認しよう。

弱く描くと薄い色で、強く描くと濃い色で描画される

 ただし筆者の環境では、Turbolinux 10 Desktopだけは上記の設定では動作しなかった。原因は、タブレットが割り当てられるデバイスが/dev/input/event0ではないためだった。

 Turbolinux 10 Desktopでは、/proc/bus/input/devicesをcatで表示すると、割り当てられているデバイス名が分かる。

$ cat /proc/bus/input/devices
(省略)
I: Bus=0003 Vendor=056a Product=0010 Version=0120
N: Name="Wacom Graphire"
P: Phys=usb-0000:00:07.2-1.1/input0
H: Handlers=mouse1 event3
B: EV=f
B: KEY=1c43 0 70000 0 0 0 0 0 0 0 0
B: REL=100
B: ABS=3000003

 上記の「P: 〜」の行に「event3」とあるように、タブレットは/dev/input/event3に割り当てられる。従って、筆者のTurbolinux 10 Desktopでは、/etc/X11/XF86ConfigのInputDeviceセクションを以下のようにしなければならなかった。

Section "InputDevice"
    Identifier  "gstylus"
    Driver      "graphireusb"
    Option      "Device" "/dev/input/event3"
    Option      "Mode" "Absolute"
    Option      "Type" "gstylus"
    Option      "Suppress" "30"
EndSection

Section "InputDevice"
    Identifier  "geraser"
    Driver      "graphireusb"
    Option      "Device" "/dev/input/event3"
    Option      "Mode" "Absolute"
    Option      "Type" "geraser"
    Option      "Suppress" "30"
EndSection

Section "InputDevice"
    Identifier  "gmouse"
    Driver      "graphireusb"
    Option      "Device" "/dev/input/event3"
    Option      "Mode" "relative"
    Option      "Type" "gmouse"
    Option      "Suppress" "30"
EndSection

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