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特集
Windows XPとは何か?
9.SOHOユーザーや家族での簡易なデスクトップ切り替えを可能にする「ユーザーの簡易切り替え」
デジタルアドバンテージ
2001/11/20 |
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米Microsoftの調査によれば、米国ホーム・ユーザーの約80%は、1台のPCを家族で共有しているのだという。通常、家族というのは、互いが最も強い信頼関係で結ばれたグループであるから、共有資源の管理はかなりルーズでもあまり問題はない。しかしたとえ家族といえども、お互いのプライバシについて考える必要はある。特に個人性の強い電子メールの利用が一般化した現在では、その必要性は高まりつつあるといってよいだろう。またWebブラウザの「お気に入り」を個人ごとに管理したいとか、子供に使わせるときには、暴力やセックスなどを表現したサイトへの規制をかけたいなどの要望もあるだろう。
Windows Meにも、ユーザーごとのプロファイルを作成する機能が用意されているが、ここで管理されるのはIEの履歴データ程度で、「お気に入り」は共通であるなど、各ユーザーのプライバシを保護するという意味ではあまりに非力であった。この点Windows
2000なら、家族それぞれにユーザー・アカウントを作成し、ファイルのアクセス権などを正しく設定することで、ほぼ完全にユーザーのプライバシを守ることができる。しかしこれを徹底するには、各ユーザーがログオン/ログオフを徹底する必要があり、家庭でPCを気軽に使うという感覚からはかなり隔たりがある。実際筆者宅のリビングにもインターネットに常時接続されたPCがあるが、普段は1人のユーザーでログオンしたまま、ハイバネーションと復帰を繰り返して使っている。小さな子供にログオンとログオフを徹底させるなど現実的ではない。
これに対しWindows XPでは、Terminal Serviceのマルチユーザー機能を応用することで、簡易な操作で各ユーザーの環境(デスクトップ)を切り替え、プライバシを保護できるようにした。これがWindows
XPの「ユーザーの簡易切り替え」機能(以下「簡易切り替え機能」)である。この簡易切り替え機能は、Terminal Serviceのマルチユーザーによるセッション管理機能をローカル・コンピュータに適用し、複数のユーザーが1台のコンピュータにログオンしたままの状態で(複数のセッションが起動された状態で)、コンソール・デバイス(そのコンピュータに接続されたディスプレイやキーボード/マウス)を任意のセッションに素早く切り替えられるようにしたものだ。この簡易切り替え機能は、Windows
XP Professional/Home Editionともに利用できるが、Windows XP ProfessionalでWindowsドメインに参加しているときには利用できない(ユーザーの管理をローカル側では行わないため)。
画面を見ながら説明しよう。以下は、何人かのユーザーが登録されたWindows XPコンピュータで、同時に複数のユーザーがコンピュータにログオンして使用している状態で、ユーザー切り替えのための「ようこそ」画面を表示したところだ。このように「ようこそ」画面では、コンピュータに登録されているユーザーが一覧される。ここで各ユーザーの名前をクリックすれば、そのユーザーのデスクトップが表示される。
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「ようこそ」画面 |
「ようこそ」画面では、コンピュータに登録されたユーザー名が一覧される。任意のユーザー名の部分をクリックすることで、そのユーザーでログオンし(まだログオンしていないとき)、ユーザー独自のデスクトップを表示させることができる。 |
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このコンピュータに登録されたユーザー一覧。 |
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このユーザーはすでにログオンしており、プログラムを実行中であることが分かる。 |
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デフォルトではパスワード指定は不要だが、必要ならパスワードを設定することも可能。 |
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この状態で、タスクマネージャを実行し、実行中のプロセス一覧を表示したのが以下の画面である。
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複数ユーザーがプログラムを同時実行した状態でタスクマネージャのプロセス一覧を表示したところ |
デフォルトでは、現在のセッションで実行されているプロセスだけが一覧されるが、左下の[全ユーザーのプロセスを表示する]チェック・ボックスをオンにすると、他のセッションのプロセスを含め、すべてのプロセスが一覧されるようになる。 |
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コンピュータで現在実行されているすべてのプロセスを一覧するにはこれをチェックする。 |
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現在実行されているプロセス一覧。複数のユーザーのプロセスが同時実行されていることが分かる。 |
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このようにWindows XPでは、複数のユーザーが、同時に同じアプリケーションを起動する可能性がある。Windowsの流儀に正しく従ったアプリケーションなら問題はないが、例えば一時ファイルを固定的に使用する古いアプリケーションなどは、このような場面で正しく動作しない(Windowsの流儀に従ったアプリケーションなら、各ユーザー別のプロファイル・フォルダにある一時フォルダを使用するので問題はない)。
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