特集
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Windows XPにおけるファイル・システム関連の拡張機能についてここでまとめておこう。
■インストール中のクイック・フォーマット
Windows 2000では、インストール中にパーティションの作成やフォーマットが行えたが、Windows XPでは新たにクイック・フォーマットするというオプションが用意された。最近では数十Gbytesのハードディスクも珍しくないが、通常のフォーマットを行うと、何十分もかかってしまう(ディスクにエラーがないかどうか実際に読み書きして詳細に調査しているため)。これをクィック・フォーマットを使えばすぐに完了させることができ、インストールに要する時間を大幅に短縮することができる。すでに使用済みで、エラーがないことが分かっているようなディスクならばこのオプションは有用だろう。
■MS-DOS形式のフロッピー・フォーマット
Windows XPでは、3.5インチ・フロッピー・ディスクのフォーマット・オプションで、MS-DOSの起動ディスクを作成できるようになった。Windows XPの時代になっても、マザーボードのBIOS書き換え作業(フラッシュ・メモリの更新作業)などではMS-DOS環境が必要とされることが多いが、Windows NTやWindows 2000しか持っていないユーザーでは、このMS-DOSの起動フロッピーを用意することが困難であった。Windows 2000のインストールCD-ROMの\VALUEADD\3RDPARTY\CA_ANTIVにあるアンチウィルス・ツールを転用する(MS-DOS部分だけを使う)という方法もあるが、これは誰にでも勧められる方法ではないし(Windows XPしか持っていない人では不可能)、Windows 9x/MeユーザーからMS-DOS起動フロッピーを作成してもらうというのもライセンス的には問題があるだろう。その点このWindows XPで作成されるMS-DOS起動フロッピーならば、問題なく利用することができる。
このフロッピー・ディスクを使ってシステムを起動すると、英語版MS-DOSが起動する(コードページは英語の437になっている)。CONFIG.SYSもAUTOEXEC.BATも空なので、まったくの素の状態のMS-DOSとして起動するので、BIOSの書き換え作業などにはまさにうってつけである。BIOS書き換えツールはたいてい英語のDOSプログラムなので、日本語環境で使おうとしても、画面がまったく表示されなかったりするからだ。ただしキーボードも101型キーキーボード配列になるので、106型キーボード・ユーザーはその点だけは注意する必要がある(もっともBIOS書き換え作業で記号を入力する必要はないだろうから、これでも大丈夫だろう)。以下に作成されるディスクの内容を示しておく。
A:\>dir /a |
■ボリューム・シャドウ・コピー
「ボリューム・シャドウ・コピー」とは、バックアップ・ユーティリティなどにおいて、オープン中のファイルまでもバックアップするために用意された機能である。従来のWindows 2000などのバックアップでは、システムの全ファイルのバックアップを取ろうと思っても、システムやほかのアプリケーションが使用中のファイルは(排他制御機能が働いて)バックアップすることができなかった。このような場合のユーザーの選択肢は、クローズされるのを待つか、それともそのファイルのバックアップをスキップするしかなかった。
これに対してWindows XPでは、ボリューム・シャドウ・コピーという機能を使って、すべてのファイルのバックアップを作成することができる。バックアップ・プログラムがバックアップ作業を開始すると、ボリューム・シャドウ・コピー・サービスによって、現在オープン中の(排他制御されている)ファイルのコピー(その時点でのスナップ・ショット)が作成される。バックアップ・プログラムでは、そのコピーの方をバックアップすることにより、すべてのファイルのバックアップを行うことができる。ただし、あくまでもバックアップ開始時のスナップショットなので、場合によってはデータ内容に矛盾が生じるかもしれない。そのような場合はあらかじめサービスを止めておくとか、サービス自身が持つバックアップ機能を利用する必要がある。またボリューム・シャドウ・コピーに対応したアプリケーションならば、内容に一貫性のあるコピーを作成してバックアップ・プログラムに渡すことができるので(ボリューム・シャドウ・コピー用のAPIを使用する)、そのようなアプリケーションにアップグレードするという方法もある。
■読み出しのみ可能なNTFSのサポート
従来のWindows NTや2000では、読み出しのみ可能な(書き込み不可にした)NTFSファイル・システムをマウントして利用することができなかったが、Windows XPではそのまま読み出しのみのメディアとして使用することができる。
例えばMOディスクのようなリムーバブル・デバイスをNTFS形式でフォーマットして利用している場合、重要なデータを保存した場合には書き込み禁止にして保存しておきたいと考えるだろう。だがそのようなメディアは、書き込むつもりがなくても(内容を見るだけでも)、書き込み禁止を一時解除してからマウントしなければならなかった。だがこれは可能ならば避けたいと思う熟練ユーザーも少なくないだろう。システムなどが間違って何かを書き込んだりするかもしれないし、ハードウェアが壊れていて、いきなり何かが書き込まれてデータがすべて失われてしまうかも知れないからだ。
Windows XPでは、このような書き込み禁止のNTFSメディアでもそのままマウントしてアクセスできるので、安心して利用することができる。
ところでWindows XPでは、MOのサポートがWindows 2000のときよりも若干改善されているようである。従来はドライブのイジェクト・ボタンを押してもメディアがずっと出てこなかったり(システムを再起動するまで出てこなかったりする)、書き込み中のデータが残っていてもいきなりイジェクトして、ファイルが壊れたりするということがあったからだ。それに比べるとWindows XPでは、エクスプローラの右クリックのメニューで[取り出し]ができるし、FAT/FAT32の場合はさらにドライブ前面のイジェクト・ボタンを押しても取り出すことができる(NTFSフォーマットの場合はなぜかイジェクト・ボタンは使用不可能で、「取り出し」メニューを使う必要がある)。またいずれのフォーマットでも、書き込み中のデータが残っている限りメディアがイジェクトされることはないようだ。なお、この結果は筆者の手元にある環境での実験結果であるので、実際にMOを使用する場合は、事前に十分なテストを行ってから運用していただきたい。もともとMOは日本以外ではほとんど普及しておらず、XPでの扱いも十分にテストされていないかもしれないからだ。
■DVD-RAMサポート
DVD-RAMサポートもWindows XPの大きなアドバンテージの1つである。Windows 2000の場合とは違って、特別なアドオン・ユーティリティを使用しなくても、DVD-RAMメディアに直接書き込めるようになっている。とはいうものの、まだ制約も多いようだ。詳細については「Windows XPの正体――Windows XPで正式サポートされたDVD-RAM」を参照されたい。
■Convertの機能拡張
FATファイル・システムをNTFSファイル・システムに変換するコマンドとしてconvert.exeというコマンドライン・プログラムがある。Windows 9xやMeがインストールされているシステムをWindows 2000やXPにアップグレードして、ファイル・システムをNTFSに変換する場合に使用するコマンドである。
Windows XPのconvert.exeでは、MFTに割り当てるための領域をあらかじめユーザーが用意しておけるようになった。MFTはNTFSの管理用データを置くための領域であり、MFTが連続するように配置することはNTFSのパフォーマンスを最大限に引き出すためには重要なことである。従来のconvert.exeでは、MFTは空き領域のどこかに適宜作成されていたが、場合によってはMFTがフラグメント(分断して配置される)を起こしてしまう可能性があった(最初からNTFSフォーマットすると、最適に配置される)。これに対してWindows XPのconvert.exeでは、あらかじめMFT用に使用する領域をユーザーがファイルとして用意しておくことができる。MFTとして十分なサイズのファイルを用意して、最初からデフラグ・ツールなどをかけて最適化しておけば、変換後のNTFSファイル・システムでも連続して配置されることが保証される。
このほかにも、変換後のファイルに対してNTFSのセキュリティ設定が行われるようになったとか、変換後のクラスタ・サイズが512bytes〜4Kbytesまでサポートされる(従来は512bytesのみ)などの拡張が行われている。
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