特集
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すでに述べたとおり、Windows XPは現行のWindows MeとWindows 2000に取って代わるメジャー・バージョンアップ製品である。しかしアプリケーションから、Windows XPの内部OSバージョンを取得するAPI(VerifyVersionInfo)を呼び出すと、「5.1」が返ってくる。Windows NT 4.0とWindows 2000の内部OSバージョンはそれぞれ「4.0」と「5.0」だから、OSバージョンからみたWindows XPは、Windows 2000からのマイナー・バージョンアップということになる。
Windows XPのエクスプローラの[ヘルプ]−[バージョン情報]から表示されるダイアログ | |||
Windows XPの内部的なOSバージョンは、NT 6.0ではなく、NT 5.1である。 | |||
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しかしだからといって、Windows XPのカーネルがWindows 2000から大して改良されていないというわけではない。それどころか、機能拡張や性能向上はかなり多岐にわたっている。ざっと挙げれば、レジストリやデバイス・ドライバのサイズ制限の緩和、OSやアプリケーションの起動の高速化、ログオンの高速化、ハイバネーション/リジュームの高速化などに手が加えられている。
ネットワーク機能も大幅に強化された。Windows XPでは、次世代のインターネット・プロトコルとして整備が進められているIPv6が標準でサポートされる。また個人ユーザーやSOHOユーザーが安全にインターネット接続を行うためのファイアウォール機能も追加されている(Windows XPのファイアウォール機能の詳細は「Windows XPの正体:常時接続でも安心のファイアウォール機能」を参照)。ネットワークの診断ツールも大幅に強化され、コマンドラインのIPCONFIGコマンドに頼らなくても、GUIベースでDHCPサーバやDNSサーバなど、各種ネットワークの状態を確認できるようになった。
システムやネットワークを保守・管理する管理者向けのものなどを中心に、コマンドライン・ツールも大幅に強化された。Windows 2000のリソース・キットに含まれていた拡張コマンドライン・ツールが、Windows XPで標準的に用意されるようになったものが多いが、出所はともかく、システムやネットワークを管理するうえで便利なコマンドがすべて標準サポートされるようになった(その代わりというわけではないだろうが、『Windows XP Professional Resource Kit』の付録CD-ROMには追加ツールは収録されていない)。これらの詳細については「Windows XPの正体:強化されたコマンドライン・ツール」を参照されたい。
OSコアや管理者サポートなど、管理者の視点から見たWindows XPの詳細については、追って詳しくご紹介する予定である。ここではまず、ユーザーの視点に立ち、Windows XPを眺めてみることにしよう。
ユーザー・インターフェイスは「スキン」として実装
最も分かりやすいWindows XPでの変更点は、ユーザー・インターフェイスだろう。Windows XPでは、「Luna」(開発コード名)と呼ばれる新しいユーザー・インターフェイスが搭載された。最終的な製品では、これは「Windows XP」スタイルと呼ばれている。
ユーザー・インターフェイスが一新されたWindows XP |
Windows XPでは、特に初心者を意識したインターフェイスの改良が行われている。 |
今回のユーザー・インターフェイスの変更では、特に初心者に対する使い勝手の向上が念頭に置かれ、アイコンやボタンなどの操作部品をひとまわり大きくしたり、アニメーション効果を使ってコンピュータの動作を認識しやすくしたりしている。ただしWindowsを使い慣れたユーザーにとっては、「ありがた迷惑」というものも少なくないだろう。
Windowsのユーザー・インターフェイスは、Windows 3.1からWindows 95へのバージョンアップで一新され(米国版ではWindows for Workgroups 3.11からWindows 95)、これが現在の礎となった。このときには、ユーザー・インターフェイスをつかさどるOSカーネル自体が大幅に修正されため、Windowsのユーザー・インターフェイスを駆使するアプリケーションはWindows 95向けの大幅な改変を余儀なくされた。しかし今回のLunaでは、カーネル自体に手を入れるこのような手法ではなく、既存のWindows 2000 OSに対し、ユーザー・インターフェイス用の処理レイヤを一枚かぶせる形をとることで、OSのコア部分とユーザー・インターフェイス・レイヤの分離を図っている。「皮をかぶせる」という意味から、こうした手法はスキニングと呼ばれる(スキン:skin=「皮」の意味)。Windows Media Playerでは、「スキン」を変更することで、プレイヤーの「見かけ」をがらっと変えることができるが、それをWindowsのユーザー・インターフェイス全体に適用したようなものだと考えればよい。
現在のスキンは、デスクトップのテーマと連動しており、デスクトップ・テーマを切り替えることで、Luna以外のユーザー・インターフェイスを選択できる。デフォルトでは、Windows 2000のインターフェイスに相当する[Windowsクラシック]を選択することができる。テーマを[Windowsクラシック]に切り替えれば、デスクトップはたちまち、一見しただけではそれがWindows XPとは分からない、Windows 2000のそれに逆戻りする。テーマを切り替えて見かけがWindows 2000に戻ったからといって、OSカーネルは新しいWindows XPのままであり、Windows XPで強化されたエクスプローラの機能などはすべて使えるので、安心してテーマを戻してよい。
デスクトップ・テーマを切り替える | |||
Lunaは、Windows XPのユーザー・インターフェイスとなるスキンの1つでしかない。デスクトップ・テーマを切り替えれば、さらに別のインターフェイスに変更することができる。テーマを変更するには、デスクトップのプロパティを表示する。 | |||
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