特集
Windows XPとは何か?

13.ファイルのセキュリティ設定

デジタルアドバンテージ
2001/11/23
Windows XPとは何か?

 ユーザー・アカウントと同様に、ファイルのセキュリティ設定も、Home EditionではProfessionalに比べていくらか機能制限が行われ、より簡素化されている。ファイルのアクセス権は、Windows NT/2000やWindows XP Professionalでは、ファイルの「プロパティ」を使って細かく設定できるのだが、Windows XP Home Editionではそのような機能はない。Home Editionではユーザー・アカウントのグループが、制限付き(Usersグループ)と制限なし(Administratorsグループ)の2種類しかないことからも分かるように、なるべく煩わしい管理をしないでも利用できるようにしているのである。

 そのため、例えNTFSファイル・システムを使ったとしても、そのアクセス権の設定には少し違いがある。ここでは、Home EditionとProfessionalにおけるNTFSアクセス権について説明しておこう。

 いずれのバージョンでも、デフォルトではNTFSのアクセス権を隠蔽するようにセットされている。そのため従来のWindows NT/2000のように、エクスプローラなどでファイルやフォルダの「プロパティ」ダイアログで詳細(「セキュリティ」タブ)を見ようとしても不可能である。だがWindows XP Professionalでは、次のようにエクスプローラの[ツール]−[フォルダ オプション]−[表示]タブで「簡易ファイルの共有を使用する(推奨)」をオフにすれば、従来のように「セキュリティ」タブを表示させることができる。

Windows XP Professionalにおける詳細なセキュリティ設定オプション
Windows XP Professionalにおける詳細なセキュリティ設定オプション
Windows XPでは、「簡易ファイルの共有」という機能により、NTFSなどのアクセス権を意識しないでも利用できるように機能の簡略化が行われている(ただしドメイン参加時は従来と同様になる)。これをオフにするには以下のようにする。
  このチェックボックスをオフにすると、従来のWindows NT/2000のように、NTFSのアクセス権を詳細に設定、表示することができる。
  これはオフライン ファイルの設定タブ。Windows XP Homeでは利用不可。

 「簡易ファイルの共有(Simple File Sharing)」とは、NTFSのアクセス権のような詳細を意識することなく、簡単にファイルやフォルダを共有したり、アクセス制限したりする機能である。Windows 9x/Meユーザーなどにとっては、この方が簡単でよいだろう。ただしドメイン参加時には従来どおりになる。

 なお、このオプションはWindows XP Home Editionでは利用できない。どうしてもNTFSのアクセス権を設定しなければならないのなら、コマンドプロンプト上でcacls.exeコマンドなどを使う必要があるだろう(これはProfessional版でも当然利用可能である)。

Windows XP Home Editionにおける「表示」オプション
Windows XP Home Editionにおける「表示」オプション
Windows XP Home Editionでは、Professional版にある「簡易ファイルの共有」の設定オプションがない。そのため必要ならばcaclsコマンドなどを利用しなければならない。
  Professional版の該当オプションが省略されている。

 簡易ファイルの共有機能をオフにすると、以下のようにファイルのプロパティ・ダイアログに「セキュリティ」タブが表示されるようになる。これにより、従来のような詳細なアクセス権設定が可能になる。

ファイルのプロパティ設定におけるセキュリティ・タブ表示
ファイルのプロパティ設定におけるセキュリティ・タブ表示
NTFSにおけるユーザーやグループごとの細かいアクセス制御を行うためのダイアログ。Windows XPでは、初心者ユーザーのことを考えてか、デフォルトではこれよりも簡素化されたセキュリティ設定(他のユーザーからのアクセスを許可するか禁止するかのみ)を採用している。
  デフォルトではこのタブは表示されない。
  NTFSのアクセス権や監査、所有権などのさらに詳細な設定を行うためには、これをクリックする。

 Windows XP Professionalのセキュリティ・ダイアログでは、次のように「有効なアクセス許可(Effective Permissions)」設定を表示するための機能が追加された。複数のユーザーやグループを組み合わせて、複雑な許可/禁止のためのアクセス権を設定していると、実際にどのようなアクセス権が適用されるのかすぐには分からなくなることもあるが、この機能を使うと、実際に有効なアクセス権が簡単に分かるようになる。ユーザー名やグループ名を指定すると、そのユーザーやグループに適用される実際のアクセス権をチェックボックス形式で表示してくれる。NTFS下では、ファイル自体のアクセス権だけではなく、そのファイルが含まれるフォルダ自身のアクセス権なども組み合わせて実際の利用可能な権限が決まるため、複雑になりがちである。この機能を使えば、それらを簡単に調べることができる。

有効なアクセス許可の表示
有効なアクセス許可の表示
ファイルやフォルダに適用されているアクセス権を元にして、実際に利用可能な権限を簡単に表示するための機能が追加された。
  有効なアクセス許可の表示タブ。Windows XP Home Editionでは利用できないし、Professionalでも簡易ファイルの共有機能がオンならば利用できない。
  対象となるユーザー名やグループ名。
  の位置ユーザー名やグループ名を入力するためには、この[選択]ボタンをクリックして一覧から選択する。
  利用可能な権限。上記のユーザーで利用可能な権限に対して、チェックボックス形式で表示する。


 INDEX
  [特集]Windows XPとは何か?
     1. Windows XPのパッケージ構成
     2. プロダクト認証の影響は?
     3. Windows XPのインストール
     4. ユーザーから見たWindows XP
     5. 改良されたデスクトップ・パーツ
     6. 初心者向け/熟練ユーザー向け双方の機能拡張がなされたエクスプローラ
     7. 液晶ディスプレイの解像度を擬似的に向上させるClearType
     8. 遠隔地からのデスクトップ操作を可能にするリモート・デスクトップ
     9. SOHOユーザーや家族での簡易なデスクトップ切り替えを可能にする「ユーザーの簡易切り替え」
    10. ヘルプデスク業務を効率化するリモート・アシスタンス
    11. Home EditionとProfessionalで大きく変わるユーザー管理
    12. ファイルの共有設定
  13. ファイルのセキュリティ設定
    14. 暗号化ファイル・システム:EFS
    15. システム管理ツール
    16. バックアップ・ツール(システムの復元)
    17. バックアップ・ツール(自動システム回復)
    18. アプリケーション起動の高速化
    19. ファイル・システム関連の強化点
    20. Windows XPのネットワーク機能(その1)
    21. Windows XPのネットワーク機能(その2)
 
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