特集
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Windows XPでは、従来はサーバ向けバージョン(Windows NT 4.0 Terminal Service Edition/Windows 2000の各サーバ製品群)にのみ組み込まれていたTerminal Serviceが拡張されて標準実装され、これを応用したさまざまな機能が提供されている。Terminal Serviceは、Windows OSをマルチユーザー対応にするためのしくみで、これにより、1つのWindows OSに複数の仮想的な端末を接続して、それらが同時にWindows OSを利用できるようになる。具体的にWindows XPでは、このTerminal Serviceの機能を使って、遠隔地からのデスクトップ操作を可能にするリモート・デスクトップ、家族などで1台のWindows XPマシンを共有し、各ユーザーが同時にログオンしたまま、素早くデスクトップを切り替えられるようにする「ユーザーの簡易切り替え」機能、デスクトップを遠隔地から操作しながらのユーザー・サポートを可能にするリモート・アシスタンスが実現されている。
ここで最初にご紹介するリモート・デスクトップは、基となっているTerminal Serviceを最もストレートにユーザー・レベルの機能として提供したものだ。Terminal Serviceでは、RDP(Remote Desktop Protocol)と呼ばれるプロトコルによってクライアントからターミナル・サーバに接続し、サーバ側で構成する仮想的なWindows端末をクライアント側から利用できるようにする。簡単にいえば、サーバ側のWindowsデスクトップを、あたかもローカルで操作しているような感覚で、クライアント側から操作できるようにする機能である。
Windows 9x/MeやWindows 2000 Professionalにおいても、NetMeetingのリモート・デスクトップ機能を使えば、遠隔地にあるWindowsマシンのデスクトップを制御することができた。しかしこのNetMeetingのリモート・デスクトップは、ひと口で言えば操作される側の画面表示やキーボード入力/マウス入力をリモート・クライアントにリダイレクトするものであり、複数のユーザーが同時にコンピュータを操作するという前提で作られたものではない。これに対しTerminal Serviceは、Windowsをマルチユーザー対応サーバとして機能させるためのしくみであり、原理的には、複数のユーザーが同時にTerminal Serverに接続して使用することができる。
Windows XP Professionalには、このTerminal Serviceのサーバ機能が標準で組み込まれており、LANやインターネットを経由してクライアントからこれに接続し、デスクトップを操作できるようにしている。ただしこのサーバ機能が提供されているのはWindows XP Professionalだけで、Home Editionにはリモート・デスクトップのクライアント機能だけが提供されている。
前述したとおり、Terminal Serviceでは、原理的には複数ユーザーが同時にサーバにログオンできるのだが、Windows XP Professionalのリモート・デスクトップでは、ある時点でログオンできるユーザーは1人に制限されている。同一ユーザーがリモートから接続したときには、コンソール側はロック(ドメイン参加時)されるか、「ようこそ」画面に切り替わり(ドメイン非参加時)、デスクトップの内容(表示しているウィンドウなど)はそのまま引き継がれる。一方、異なるユーザーがリモートからログオンしたときには、コンソール側はログオフ(ドメイン参加時)または「ようこそ」画面に切り替わり(ドメイン非参加時)、デスクトップの内容は引き継がれない。
Windows 2000 Serverに組み込まれていたTerminal Serviceと比較すると、Windows XPのリモート・デスクトップでは、フルカラー・サポート(16bitカラー/24bitカラー、従来は256色まで)やサウンド・データのローカルでの再生(リモートからWAV音声データをクライアント側に送り、クライアント側でこれを再生する機能。従来は音声データはすべて無視)などの機能が拡張されている。
ただしWindows XPのリモート・デスクトップで使用されるRDPプロトコル自体はWindows 2000のTerminal Serviceと互換性があるので、上記拡張機能が使えないことを除けば、従来のTerminal ServiceクライアントからWindows XP Professionalのリモート・デスクトップ・サーバに接続したり、逆にWindows XP Professional/Home Editionに付属するリモート・デスクトップ・クライアントからWindows 2000 Terminal Serviceサーバに接続したりすることが可能である。
なお、Windows XPのインストールCD-ROMには、Windows 9x/MeおよびWindows 2000に対応したターミナル・サービス・クライアントのソフトウェアが提供されている。これを前出の環境にインストールすることで、Windows XPで拡張された機能を使って、ターミナル・サービスを利用できるようになる。
Windows XPのインストールCDのメニュー | |||
初期メニューから[追加のタスクを実行する]を選択するとこの画面になる。ここから、リモート・デスクトップ・クライアントを既存のWindows環境にインストールすることができる。 | |||
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Windows XPのリモート・デスクトップ機能の詳細については、別項「Windows XPの正体:リモート・デスクトップで遠隔操作する」を参照されたい。
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